『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1509

2019-04-04 07:18:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『受注に転じた引き合いの艇種は、戦闘艇か、新々艇か?』
 イリオネスの問いかけにオキテスが答える。
 『はい、受注に転じた引き合いの艇は、2艇とも新々艇です。イラクリオンが1艇、マリアが1艇です』
 『解った。次は、新しい引き合いについてたずねる。引き合いの艇種は?』
 『はい、戦闘艇が1艇、新々艇が5艇です。レテムノンが新々艇が1艇、イラクリオンが戦闘艇が1艇と新々艇が2艇、マリアが新々艇が2艇の合計6艇です』
 『ほう、新々艇の引き合いが多いのか。なぜ、新々艇なのか、そのあたりの事情について、相手方と話し合ってみたか?オキテス』
 『はい、イラクリオンのエドモン浜頭とそれとなく話し合ってみました』
 『エドモン浜頭とな、それで』
 『浜頭の話では、クレタ島における船舶を所有しての事業者の営業規模に関係があるように言っています。そのうえ、彼らが使用する船が、彼らが営む事業に最適の大きさの船がなく、彼らの要望を満たしていないといっていました』
 アエネアスがうなづく。
 『ホッホウ、新々艇に要望が集まるのは、そのような事情によるのか。ものを造って売る、いろいろな事情がある。そのあたりをよく知ってもの造りをやらなければならんということか、そうであろうな』
 イリオネスが答える。
 『いま、統領が言われたことがもの造りの大事な点ですな』
 『このような事業をやっていくには、このあたりのことを熟知してものを造ることが大事なのだな』
 『そのあたりを熟知して、業務をやっていく、しくじり、失敗を避けて仕事をやり遂げれる』
 『おう、オキテス、すまんすまん。話がチョット横にそれた。その今回、発生した引き合いについてたずねたい』
 『と言われますと、どういうことですかな?』
 『これまでの引き合いと今回の引き合いだが、展示試乗会を催行したわけではない。引き合いの発生にどのような違いが感じられるかだが?』
 アエネアスが口を挟む、声をかける。
 『これまでの引き合いは、船を試乗してみての引き合いだが、今回の引き合いは、試乗をしてみての引き合いではないわけだ。これまでに試乗をしてみたことによる引き合いか?また、今後において、試乗してみたうえで引き合いを発注するか?』
 アエネアスが間をとる、話し続ける。
 『そのあたりの観測をどのように感じている?引き合い発生の状況をどのように推測しているかを話してみてくれ』
 オキテスがアエネアスと目を合わせる。
 『はい、難しい質問ですね。いま、言われたことについて考えたこともありません。私として答えがたいことです』
 オキテスは、返答に戸惑った。