会所をあとにしたアエネアスとイリオネスの二人が広場への坂道を行く、地を踏みしめて歩む、広場の高みに到る、立ち止まる、浜を振り返り見る。
アエネアスが声をかける。
『なあ~、イリオネス、このクレタに来たことを考える。今日まで過ごしてきた日々、この広場の高みに気て考えた。何を考えたと思う?』
『そのことについては、統領の考えられたことが読めてはいませんが』
アエネアスの語りがトツトツとしている。
『築砦だ!どのように砦を築こうかと考えた。それを考えながら、砦を築くことなく今日にいたった』
二人は顔を見合わせる。
『そして、今の決断に到ったというわけだ。今、二人が立っているこの場所に立って、浜を見おろして考えた。沸々とそれを思い出す。このクレタ島は不可解な一面を持っている、砦なるものが不要の地であることにも一因がある。今の決断に到る遠因はこれある。それで築砦をしなかったという結論だ』
『そうですか、そのような話、全くなかったですね』
『おう、そうだ。その砦を築く構想がまとまらずに今日にいたった。そのようなことで話さなかった。そういうことだ』
このことをイリオネスに伝えることで、アエネアスは、長い間抱いていた胸のつかえをとりさる、そして捨てた。
これを聞いたイリオネスは、統領としてのアエネアスのこのたびの決断、決心の強固さを感じとった。
『おう、イリオネス、なが話になった。急ごう!』
二人は歩み始める、イリオネスの宿舎に着く。
即刻二人は、作業テーブルに就く、相対して着席する。
イリオネスが棚から、クレタ島離脱出航の計画案を書き記した木板をテーブル上に置く、談合の準備を整える。
『おう、イリオネス、ありがとう。準備よしだ!始めよう』
クレタ離脱出航の計画案の検討を開始する。
『統領、計画案に目を通されてどうでした?』
『おう、よくできている。非の打ち所がない!二、三の修正したいと考えるところがあるが、その場に到って話し合おう』
『解りました』
二人は作業を進めていく段取りを話し合う。
イリオネスが計画検討の段取りについて説明する。
『おう、その段取りでいい!』
意見がまとまる、イリオネスが身を正す、おもむろに口を開く。
『統領。検討を始める前に、私の希望するところを伝えたいのですが、聞いていただけますか?』
『おう、聞く。イリオネス言ってくれ』
『昨日ですが、会所において考えました。統領が民族を統率されているわけです。この計画の実行に際して、統率のスタンスを『愛』のスタンスで処していただければと希望しています』
『おう、イリオネス、よく言ってくれた。お前の言う、そのスタンスで事を処する。トコトンそのスタンスで事をやる、あとは野となれ、山となれといったいい加減な処し方は許さない!そのように心に決めている』
『解りました。よろしく願います』
イリオネスは、アエネアスと目を合わせ微笑んだ。
アエネアスが声をかける。
『なあ~、イリオネス、このクレタに来たことを考える。今日まで過ごしてきた日々、この広場の高みに気て考えた。何を考えたと思う?』
『そのことについては、統領の考えられたことが読めてはいませんが』
アエネアスの語りがトツトツとしている。
『築砦だ!どのように砦を築こうかと考えた。それを考えながら、砦を築くことなく今日にいたった』
二人は顔を見合わせる。
『そして、今の決断に到ったというわけだ。今、二人が立っているこの場所に立って、浜を見おろして考えた。沸々とそれを思い出す。このクレタ島は不可解な一面を持っている、砦なるものが不要の地であることにも一因がある。今の決断に到る遠因はこれある。それで築砦をしなかったという結論だ』
『そうですか、そのような話、全くなかったですね』
『おう、そうだ。その砦を築く構想がまとまらずに今日にいたった。そのようなことで話さなかった。そういうことだ』
このことをイリオネスに伝えることで、アエネアスは、長い間抱いていた胸のつかえをとりさる、そして捨てた。
これを聞いたイリオネスは、統領としてのアエネアスのこのたびの決断、決心の強固さを感じとった。
『おう、イリオネス、なが話になった。急ごう!』
二人は歩み始める、イリオネスの宿舎に着く。
即刻二人は、作業テーブルに就く、相対して着席する。
イリオネスが棚から、クレタ島離脱出航の計画案を書き記した木板をテーブル上に置く、談合の準備を整える。
『おう、イリオネス、ありがとう。準備よしだ!始めよう』
クレタ離脱出航の計画案の検討を開始する。
『統領、計画案に目を通されてどうでした?』
『おう、よくできている。非の打ち所がない!二、三の修正したいと考えるところがあるが、その場に到って話し合おう』
『解りました』
二人は作業を進めていく段取りを話し合う。
イリオネスが計画検討の段取りについて説明する。
『おう、その段取りでいい!』
意見がまとまる、イリオネスが身を正す、おもむろに口を開く。
『統領。検討を始める前に、私の希望するところを伝えたいのですが、聞いていただけますか?』
『おう、聞く。イリオネス言ってくれ』
『昨日ですが、会所において考えました。統領が民族を統率されているわけです。この計画の実行に際して、統率のスタンスを『愛』のスタンスで処していただければと希望しています』
『おう、イリオネス、よく言ってくれた。お前の言う、そのスタンスで事を処する。トコトンそのスタンスで事をやる、あとは野となれ、山となれといったいい加減な処し方は許さない!そのように心に決めている』
『解りました。よろしく願います』
イリオネスは、アエネアスと目を合わせ微笑んだ。
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