『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1514

2019-04-11 08:39:32 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスら三人は、建造に関してアエネアスの意欲的な姿勢の真因はなになのかについて詮索する。
 パリヌルスが二人に話しかける。
 『俺な思うところはだな。建造の事業に民族の半分が携わっている、そのうえ、今年の暦の第一の月を半月後にむかえる。だからと考えられる』
 これを聞いて、オキテスが言う。
 『いや、それもあるかもしれないが、何かほかに統領の背中を押しているといったところがあるように思う』
 二人の思惑を耳にしてオロンテスが口を開く。
 『俺の感じでは、軍団長の対応で俺らがそのように感じているのではないかと感じている』
 これを聞いた二人は、『ホッホウ、感じの感じか。ハッハッハ!』と笑い声をあげる。
 イリオネスから声がかかる。
 『お~い!今日は会議だ、会所のほうへ行く!』
 この声がかりで五人は会所へと向かう、会所には朝食の準備が整っている、一同が席に就く、焼き立てのパンをほおばる、申し合わせたように『うまい!』と言いながら、ほおばったパンを咀嚼する、飲み物を口にする、朝食を終える。
 朝食を終えて一同がオロンテスに声をかける。
 『オロンテス、朝食、ありがとう!旨かった。感謝感謝!』
 言い終わって一瞬、静寂の時が流れる、イリオネスから声がかかる。
 『おう、一同、始めようか。実はだな、昨日のことだが、統領から不思議な声出しを教わった。君ら三人がやってみようと思うなら教える。でないならやめておく。すぐ会議を始める』
 『不思議な声出しですか?軍団長、聞きます聞きます、聞かせてください』
 『いやな、剣合では『ヤッ!』『トーッ!』の気合で打ち込むが、この声出しの効果については定かではない。身体の一部分が奇妙に振動する、震える。それだけだ、これは確かだ。お前ら聞きたいか?』
 『聞きたいですね』
 『よし、ならば、聞かせてやる』と言って、イリオネスは、昨日、アエネアスから聞いた声出しのことを三人に教えた。
 三人が起ちあがる、教えられたとおりに声を出してみる。
 三人が口をそろえて言う。
 『おお~っ!不思議不思議!』
 『オキテス、どんな具合だ?オロンテスお前は?』とパリヌルスが声をかける。
 『あ~~!と声を出したら、胃が体の中で振動する』
 『ん~~!と声を出して気張ったら、頭の中が妙に振動する感じがする』とパリヌルスが言う。
 『オロンテス、どうだ?』
 『何となく不思議だ!』
 アエネアスが『ハッハッハ!』と笑い声をあげた。