『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章    クレタ離脱    1

2019-04-16 05:48:50 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 2月期の17日の朝が明ける。
 朝行事でにぎわいを見せている浜、オキテスとオロンテスがイリオネスと顔を合わせる。
 『軍団長、おはようございます。いい朝です』
 『おう、おはよう。いい朝だ』
 『今日これより、キドニアに出かけてきます』
 『おう、そうか!ここしばらくスダヌスに会っていないな、元気を確かめてきてくれ』
 『はい、解りました。言伝てはありませんね?』
 『ない』
 オキテスは場をあとにする、オロンテスに同道してキドニアに向かう。
 キドニアにおけるオキテスは、要領よく用件をテキパキと処理する。
 集散所のトミタスと業務の打ち合わせを終える、マリア集散所、イラクリオンのエドモン浜頭、レテムノンのテムノス浜頭への飛脚便の手配も済ませる、昼を広場でスダヌスと過ごす。
 『スダヌス浜頭、頼みだ!キドニス浜頭のところへ出向きたい。一緒に行きたいのだが』
 『おう、行こう』と二つ返事で、二人はキドニス浜頭の屋敷へと出向く、オキテスは挨拶を交わし用件を伝える。
 『おう、オキテス隊長、心得た、お前とスダヌス浜頭の二人に頼まれる。いやとは言えない、お前ら二人、業務のつぼを抑えている。事が実を結ぶわな』
 『キドニス浜頭の力添えがあればこそです』
 『お~お、スダヌス!その気にさせるな、ハッハッハ!』
 オキテスら二人は用件を終える、キドニス浜頭の屋敷をあとにする。
 『おう、オキテス、軍団長によろしくだ!近々中に伺うと伝えてくれ』
 『解った。伝える』
 用務を終えた二人はわかれる、オキテスが頃合いを測る、アレテスの昼便には間に合わない、パン売り場に歩を運ぶ。
 『オロンテス、アレテスの昼便には間に合わなかった。帰りは同道だ。よろしく頼む』
 『おう、お前、毎日、多忙の時を過ごしている、まあ~、ゆっくりしろ!』
 久しぶりに場所を変えて二人きりの時間を過ごす、二人が手を携えてやっている船舶の営業の業務について話し合う。
 『なあ~、オキテス、今、お前が軸になってやっている営業活動だが、あのやり方はいいと考えている。いい結果に結びついている。ともにやっている俺は心強く感じている』
 『そうか、そのようにお前に思われているとは、俺は嬉しい限りだ。結果がいいと結果を考えずに業務を遂行する。そこにこの業務の醍醐味を感じている。多くの客と出会う、船について語り合う。これが結構楽しい。商談が決まる、快感を感じる』
 『それは重畳と言えるな、俺もそこまでやってみたい。集散所から受注を受け取るだけでもうれしく思っておるのだが』
 『この業務、俺に向いているのかな?』
 『俺から見ると、うってつけと見える』
 二人は、感ずるところを話題にして、キドニアにおける午後の一時を過ごした。