『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱   63

2019-07-10 04:02:03 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 明日は新暦第一の月の第一日である、浜は暦が切り替わる最終日の朝を迎えている。
 オキテスは、明朝、展示試乗会の開催に出航する、気ぜわしい朝を迎えている。
 パリヌルスが朝行事の浜に姿を見せる、オキテスと顔が合う、朝の挨拶を交わす、パリヌルスが打ち合わせる用件について話しかける。
 『ところでオキテス、先日、話した打ち合わせをしたいのだが、時間をとってくれているか?』
 『おう、その件か、朝めしを終えたらすぐにとりかかれるようにしている。ドックスも呼んで話し合うように段取りしている。改造用材の件、造作工作の件、造作工作に使う金具類のこともある。それに加えて人員の件もある。明日から準備する建造計画のこともある。あれこれ広範囲にわたって検討しなければならない。午前中いっぱいの時間を当てている』
 『おう、そうか、それはありがたい。場所はどこが都合がいい?』
 『俺の席場でどうだ?話し合いに必要な木板類が準備できている』
 『了解した。朝めしを終えたらすぐに行く!』
 『おう、待っている』
 二人は、朝行事の浜でアエネアス、イリオネスと顔を合わせる。
 『おはようございます。いい朝です』
 『おう、おはよう、いい朝だ!昨日は、ごくろうであった。明日から東行だな』
 『はい、そうです』
 『キドニアでの展示試乗会だが上首尾であったな!今日まで何かと気遣い、誠意を尽くして来た成果と考えられる。そのあたりのことも後継者にうまく伝える。大事なことだと考えている』
 『解りました。統領はうまく言われる。それは大事なことだと考えています』
 『そういうことだ、オキテス。朝行事の場で言うのもなんだが、次なる者を教え育てる。事の成就の効果性を高める。時代が連なるだ。計り知れない大いなる未来がそこにある!俺はそのように考えている』
 『統領の想いが充分に理解できます。言われる通りだと思います』
 『おう、オキテス、お前、俺の想いに同調しくれる。ありがとう』
 『統領がそのように言われずとも、それが当然と心得てしっかりと努めます』
 オキテスは、アエネアスと目を合わせる、うなずいて話し合った場を去っていく。
 傍らにいるイリオネスがアエネアスに話しかける。
 『さすが統領、いいことを言われますな。言われる通りです。教えありてこそ、時代が連なる、そして、未来が構築されるですね』
 『それにしてもだな、イリオネス、今、俺は民族を背負って立っている、いろんなことを経験する、その経験則を持って育っていく、ところが今だ、その育ちを待つことのできない現場に立っている、出立を決めてしまっている。彼らの未来の責任をヒシット感じている』
 『言われる通りです』
 『教え育てる、知は力を拓く、国を建てる、国を興すことの要諦である。次なる者を教え育む。そうでなければ時代が連ならない!未来をつくることができない』
 イリオネスは、アエネアスの言う未来構想に心が震えるのを感じる。
 『未来の構築!自分がつくる未来に生きるか、他人のつくる未来に生きるかの分かれ目だ。未来が見えるのはどちらだと思う?イリオネス!』
 『統領の言われることにうなずけます。私では、統領の起ち位置に到底立てません。統領の想い、考えは、高遠にして大いなるものです。感じ入りました』
 イリオネスは、アエネアスと話し合って、建国に対するアエネアスの宿命感、民族の未来と希望の大きさを感じとった。