アエネアスは、6尺の身と心に持している己の果たすべき想いに熱を込めて、イリオネスに吐露している。
二人は会所に着く、向かい合って座す。
『おう、軍団長、今日の予定は?』
『はい、午後になってですが、オキテスと完成する艇種と艇数、引き渡し納入予定等の打ち合わせをやります。それからですが展示試乗会の開催予定を打ち合わせておきます』
『その2件か、ほかにないな。オロンテスと引き継ぎの件の話をしたかな?』
『はいそれは、昨夕に終えています』
『解った。朝めしにしよう、腹が減った、熱を込めて話をしたからかな』
うなずく、朝食の支度を整えるイリオネス。
『統領、朝食の支度が出来ました。焼いた干し魚が冷たくならないうちに食べましょう』
『おうっ!』
『この話題は食事をとりながら話した方がいいように思う。真剣につきつめて考えると胃に悪い』
アエネアスは、まじまじとイリオネスの顔を見る、目を合わせるイリオネス。
『実はだな、クレタを出航してみた、模擬実験航海だ。最も、クレタの地図とギリシアのペロポンネソスの地図が手元にあったからだが、ペロポンネソスの海岸に沿って北上した。どうにかオデッセウスの領地であるイタケ島についたまではよかった。問題はその先だ。俺は迷ったな、恥ずかしい話だがそういうことだ』
『そうなんですか』
『海岸に沿って、もっと北へ行くべきか、西に向けて島影ひとつ見えない、陸地があるのかないのか全く判らない海洋を目指そうかと迷った』
『へえ~、それからどうされたんですかな?』
『それから、俺はじっくりと考えたな。おう、イリオネス、めしを終わってから、また、それからの話しする』
二人は朝めしを終える、少々の間くつろぐ。
『航海をするには地図なるものが大事なものだなと感じたな。俺が持っている地図なるものはだな、クレタ島の地図2枚とぺリポンネソス半島の南端から北に向けて伸びている西海岸の状態を書いた簡単なものだが、それでも何となくわかるような気がする』
自分のありようを思い起こして話し続ける。
『地図の先が全く見えない。如何なる暗闇でも目の先は見えるように思うが、目の先々が見えない。地図の線が途絶えるとその先が全く解らない。途方に暮れるとはこういうことかと認識した』
『統領が迷われる状態が、何となくわかるような気がしますな』
『そこでまた、俺は別のことを考えた。なにを考えたと思う?』
『それは私には想像がつきません』
『クレタの地図が俺の手元に2枚もある、2枚が同じかと言うと、どことなく違っている。よく見比べて見た。島の海岸線が少し違っていrることに気が付いた。島は一つなのに2種類の地図とは、これ如何にである。俺は考えたね!イリオネス、お前はどう思う?』
『統領、それは、その地図を描いた奴が違う。そういうことです』
『俺は、それもあるが、地図を書いた奴の視点が違うと思ったね。一方の地図は、イデーの山頂から島全体を俯瞰して作った地図であり、もう一枚の地図は、3つある山の頂上に立って目の前に見える海岸線を3枚に書いて、海岸線を繋ぎ合わせて1枚の地図にしたのだと思う。クレタ島は文明が進んでいた。地図も確かなものを造れたのではないかと考えられる。また島全体を考えると地図なるものをつくりやすかったのだろうと考えたね』
この時代には、初期に作られた粘土板に描かれた地図、以来、地図が造られた記録がないのである。だがクレタ島には、記録されていないクレタ島の古代地図が存在していたのである。
二人は会所に着く、向かい合って座す。
『おう、軍団長、今日の予定は?』
『はい、午後になってですが、オキテスと完成する艇種と艇数、引き渡し納入予定等の打ち合わせをやります。それからですが展示試乗会の開催予定を打ち合わせておきます』
『その2件か、ほかにないな。オロンテスと引き継ぎの件の話をしたかな?』
『はいそれは、昨夕に終えています』
『解った。朝めしにしよう、腹が減った、熱を込めて話をしたからかな』
うなずく、朝食の支度を整えるイリオネス。
『統領、朝食の支度が出来ました。焼いた干し魚が冷たくならないうちに食べましょう』
『おうっ!』
『この話題は食事をとりながら話した方がいいように思う。真剣につきつめて考えると胃に悪い』
アエネアスは、まじまじとイリオネスの顔を見る、目を合わせるイリオネス。
『実はだな、クレタを出航してみた、模擬実験航海だ。最も、クレタの地図とギリシアのペロポンネソスの地図が手元にあったからだが、ペロポンネソスの海岸に沿って北上した。どうにかオデッセウスの領地であるイタケ島についたまではよかった。問題はその先だ。俺は迷ったな、恥ずかしい話だがそういうことだ』
『そうなんですか』
『海岸に沿って、もっと北へ行くべきか、西に向けて島影ひとつ見えない、陸地があるのかないのか全く判らない海洋を目指そうかと迷った』
『へえ~、それからどうされたんですかな?』
『それから、俺はじっくりと考えたな。おう、イリオネス、めしを終わってから、また、それからの話しする』
二人は朝めしを終える、少々の間くつろぐ。
『航海をするには地図なるものが大事なものだなと感じたな。俺が持っている地図なるものはだな、クレタ島の地図2枚とぺリポンネソス半島の南端から北に向けて伸びている西海岸の状態を書いた簡単なものだが、それでも何となくわかるような気がする』
自分のありようを思い起こして話し続ける。
『地図の先が全く見えない。如何なる暗闇でも目の先は見えるように思うが、目の先々が見えない。地図の線が途絶えるとその先が全く解らない。途方に暮れるとはこういうことかと認識した』
『統領が迷われる状態が、何となくわかるような気がしますな』
『そこでまた、俺は別のことを考えた。なにを考えたと思う?』
『それは私には想像がつきません』
『クレタの地図が俺の手元に2枚もある、2枚が同じかと言うと、どことなく違っている。よく見比べて見た。島の海岸線が少し違っていrることに気が付いた。島は一つなのに2種類の地図とは、これ如何にである。俺は考えたね!イリオネス、お前はどう思う?』
『統領、それは、その地図を描いた奴が違う。そういうことです』
『俺は、それもあるが、地図を書いた奴の視点が違うと思ったね。一方の地図は、イデーの山頂から島全体を俯瞰して作った地図であり、もう一枚の地図は、3つある山の頂上に立って目の前に見える海岸線を3枚に書いて、海岸線を繋ぎ合わせて1枚の地図にしたのだと思う。クレタ島は文明が進んでいた。地図も確かなものを造れたのではないかと考えられる。また島全体を考えると地図なるものをつくりやすかったのだろうと考えたね』
この時代には、初期に作られた粘土板に描かれた地図、以来、地図が造られた記録がないのである。だがクレタ島には、記録されていないクレタ島の古代地図が存在していたのである。
