『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  75

2019-07-26 05:09:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは、航海途上において、起こりうる事態を思いつく限り想定する。
 対応を集約する、施策、造作工作方法を懸命に考える。思い付きを箇条書きに木板に書きつける。
 木板に書き付けた事柄を幾度となく読む、検討する、その対応を改造目標に設定した。
 
 建造の場の巡回に臨んだアエネアスとイリオネスは、建造の場の各場において、一同と顔を合わせる、彼らの日ごろの労苦をねぎらう、新暦のスタートのメッセージを告げる。
 それらを終えて会所に戻ってくる。
 『おう!パリヌルスとドックス、打ち合わせが終わったのかな?』
 『らしいですね』
 『おう、軍団長、小島へ行かないか?まだこの頃合いだ』
 『そうですね。昼前に終えますか』
 二人は、休むことなくハシケの浜に向かう。
 『統領、私が漕ぎます』
 『おう、あまえる。行こう』
 二人が乗ったハシケが小島に向かう。
 小島の張り番が彼らを見とめる、アレテスに報告する、アレテスが波打ち際に二人を迎える。
 『おう!アレテス、ごくろう。忙しいのか?』
 『はい!今日の釣果は大漁の一歩手前状態です』
 『そうか!それは重畳!喜ばしいことではないか』
 イリオネスが声をかける。
 『おう、アレテス、少し早いが、一同と昼食を共にしようと思うが、都合はどうだ?』
 『かまいません。キドニアへの昼便は、それを終えてから出ます』
 アレテスが担当に指示を出す、獲れたばかりの魚を焼く、小島の一同がアエネアスとイリオネスを囲んで昼食を共にする、和やかな食事の時が流れる。
 『お~お、この魚、旨い!軍団長どうだ?』
 『これこの通り、あごを手で支えて食べています』イリオネスの道化に一同から笑いが起こる。
 『アレテス、この魚の名前は何と呼ぶのだ?』
 『知りませんな。キドニアの魚売り場では、スダヌス浜頭が見ぶりで客に売っています』
 『ほう、見ぶりで売る。スダヌス浜頭もいい加減なところがあるからな』
 アエネアスが昼めしを食べながら一同と話す、一同から拍手が湧きあがる。
 『おう、今日はこうして君らに会えた、話ができた。俺はうれしい!』と話を締める。再び拍手が起こる。
 『おう、アレテス、これからキドニアに行くのか』
 『はい、そうです』
 『無事に行って来い!』
 『なれた航海ですから』
 『だから、よけいに気を使えと言うことだ!』
 『解りました。気づかいありがとうございます』
 二人は小島をあとにした。