『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱   59

2019-07-04 07:58:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 テカリオンとの商談折衝が終わる、彼ら一同が昼食のテーブルを囲む、話題が飛び交う、和やかに過ごす。
 オキテスとダックスには、新々艇2艇の引き渡しの準備作業が控えている、気持ちが落ち着かない、早々に昼食の場を引きあげる、建造の場へと向かう、ドックスと打ち合わせる、引き渡しの準備作業に取り掛かる。
 テカリオンと船頭も気が急く。
 『統領殿、軍団長殿、昼食をおいしくいただきました。ありがとうございました。私らも船の引き取りの準備があります。これにて失礼します』
 『おう、そうかそうか。では後程、俺と軍団長は、ここにて失礼する。テカリオン殿、いろいろとありがとう』とアエネアスが言葉を返す。
 テカリオンと船頭が自船に戻って行く、引き取りと曳航の準備に取り掛かる、浜は作業で忙しさに沸く。
 双方の引き取り、引き渡しの準備が整う、艇を引き渡す、船頭が新々艇2艇を検収する、曳航の準備を整える。
 『オキテス隊長、ありがとう!君の配慮でもって、新々艇2艇を引きとることができた。厚く礼を言う。ありがとう。君の配慮がなければ、手ぶらで帰らねばならないところであった』
 『こちらこそ、当方が建造した新々艇2艇を引き渡すことができました。いい仕事ができたと喜んでいます。ありがとうございました。道中、気を付けて無事なることを祈ります』
 『おう、ありがとう。明日、キドニアにおいて、船の発注、引き取り、支払い決済のありかた等、取引上の諸事について、集散所の担当を交えて決めましょう』
 『了解しました』
 『私、統領殿と軍団長殿に挨拶に行きます。会所においででしょうね?』
 『はい、いるはずです』
 オキテスとダックスが会所に向かうテカリオンの後姿を見送る。
 テカリオンが会所にて、アエネアス、イリオネスと顔を合わせる、パリヌルスも同席している。
 『おお~、統領殿、いろいろありがとうございました。新々艇2艇受け取りました。曳航の準備も終わりました。帰途に就きます』
 『軍団長殿、当地に停泊中、いろいろとありがとうございました。大変に世話になりました。今後の事、明日、キドニアにおいてオキテス隊長と詳細を打ち合わせいたします。これからもよろしく願います。ありがとうございました』
 『おう、パリヌルス隊長、こちらにおられたか。軍団長殿、オキテス隊長の配慮で新々艇2艇を受けとった。ラッキーだった。キドニア、イラクリオンで用を済ませて帰途に就く、次回訪問は3か月後に予定している。元気でいてくれ』
 『テカリオン殿も元気でいてください。来訪を待っています。道中の無事を祈っています』
 パリヌルスは、そういって我に返る、テカリオンの次回訪問の時には、自分はここにはいない、別れのつらさが胸にこみ上げた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱   58

2019-07-03 08:41:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 建造の場に着いた二人、オキテスがドックスを呼ぶ、オキテスは木板と木炭を手にする、ダックスに声をかける。
 『おう、ダックス!これから俺のやる作業をよく観察する、いいな!』
 『判りました』
 ドックスがオキテスの傍らに立つ、声をかけるオキテス。
 『おう、ドックス、ご苦労。今月の建造のあがり具合はどんな具合だ?』
 『仕事の進み具合が、チョット遅れています。全艇の完成が5日後になります』
 『5日後か。解った。艇種と艇数は?』
 『戦闘艇が1艇、新々艇4艇の合計5艇です』
 『了解!それで引き渡し予定を立てればいいな』
 『はい、それでいいです』
 『ところで、在庫艇の艇種と艇数は?』
 『はい、戦闘艇1艇、新々艇2艇です』
 オキテスは手にしている木板に目をおとす、現在の受注保有数を読みとる。
 『ドックス、ところで在庫の新々艇2艇だが、即納は可能かな?添付品をそろえてだが』
 『はい、添付品は、キチット準備されています。即納が可能です』
 『よっしゃ!了解した。新々艇2艇だが、今日、引き渡すことになるやもしれん。そういうことだ。その時はよろしく頼むぞ!』
 『判りました。時間余裕は一刻余りをみてください』
 『おう、その件承知!』
 『おう、ダックス、よく見たか。解ったかな?営業の分野の中に、このような仕事もあるということだ。会所に戻ろう』
 二人は、会所に戻ってくる、オキテスが事情をイリオネスに報告する、イリオネスがテカリオンに話しかける。
 『テカリオン殿、新々艇ですが、2艇、今日、引き渡すことができます』
 『ホッホウ、それはそれは、ラッキーでした。引き取ります。手配していただければ幸いです。私のほうは、早速、曳航の準備に取り掛かります』
 テカリオンが船頭に声をかける。
 『船頭、聞いての通りだ。新々艇を2艇引き取る。午後イチから作業にかかってくれ。それができ次第キドニアに向けて出航する。その段取りで作業を完了させてくれ』
 テカリオンが船頭に指示を終える。
 用件を済ませたアエネアスが会所に戻ってくる。
 『おう、軍団長、テカリオン殿との折衝は終わったかな?』
 『今、終わろうとしているところです』
 『では、テカリオン殿、午後イチから新々艇の引き渡しをやります』
 テカリオンが答える。
 『この新々艇2艇分の支払い決済から新しい取り決めによる決済方法で行ってよろしいですかな?』
 『え~え、結構です。集散所のほうも喜ぶと思います』
 テカリオン方との折衝が終わる。
 『統領、今日ですが、新々艇2艇をテカリオン殿の方へ引き渡すことが決まって折衝が完了しました』
 『おう、そうか、それは重畳このうえなしだ!テカリオン殿、ありがとう。礼を言います』
 会所で顔を合わせ、商談の折衝を終えた一同が握手を交わす、彼ら7人が昼食のテーブルを囲んだ。


 昨日の投稿において間違えた個所が2か所あります。お詫びして訂正いたします。
 最終行から7行目   今回曳引きとれる  を  今回引きとれる  と訂正します。
 最終行から5行目   三社で話し合って  を  三者で話し合って と訂正します。
     
                                  山田 秀雄

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱   57

2019-07-02 10:46:37 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 テカリオンより少々遅れて船頭が到着する。
 パリヌルスとオキテスがダックスを引き連れて会所に姿を見せる。
 『おう、オキテス、ダックスを連れてきたのか、それはよかった。テカリオン殿への紹介は俺がする』
 『解りました。任せます』
 『おう、テカリオン殿、オキテス隊長の片腕としてて手伝っているダックスです。今日の折衝の場に同席します』
 『そうですか、ダックス殿、私が交易の仕事を生業としているテカリオンです。今後、よろしく願います』
 『私は、オキテス隊長の営業部門を手伝っているダックスです。よろしく願います』
 二人は握手を交わす。
 イリオネスが一同と顔を合わせる、口を開く。
 『テカリオン殿、始めようか。今日この頃の船舶の商況について話していただければ幸いです』
 『船舶の市場の動向、商況についてですかな。解りました。長かった戦役が終わって2年余り、今は落ち着いた動きで推移してますな』から始まり、テカリオンが動向 と商況について語る。
 『軍団長殿、それにしても、軍団長殿のところのねらい目は、よろしかったですな。ギリシアは、アテネ、ピレウス辺りの造船状況は小船もしくは大船であって、軍団長殿の造船の場が中型の船を造っておられる。これはいいねらい目でしたな。小型船の延長の中型船では、あのような航海における走行安定性を得ることは無理のようです。また、貴方のところで造られた船の大きさでの船速のノリがいいと評価されています。それからですが、あの防御楯が荷積みに大いに役立っています。それらをよくよく考えて、私の方針として船舶の営業に力を入れていこうと考えています。こちらへこれからをよろしく頼みたいと願っている次第です。これこの通りです』と言ってテカリオンは深く低頭する。
 イリオネスがテカリオンの言葉を受けて返答する。
 『それはそれは、ありがたい話ですな。何なりと要望を言ってください。要望と対処について言っていただければ幸いです。今、話を伺っただけでは、様子が見えてはいません』
 『それでは』と言ってテカリオンが姿勢を改める。
 『申し上げます。私がこちらへの訪問が年に2回くらいでしたが、三か月くらいに1回、年に4回くらいに訪問回数を増やして、船舶の引き取りをしたいこと。それに基づいて、船の発注と引き取り、支払い決済のカタチを整えたいと考えています。私としてですな、キドニアの集散所を取引の関係をないがしろにできない事情があるわけです。それと最後の一件ですが、今回曳引きとれる船のあるなしです』
 『解りました。当方としても、テカリオン殿の訪問回数が定まった時に、そして訪問回数が増えることは大歓迎です。二番目の件ですが、明日、明後日の2日間ですが、キドニアにおいて展示試乗会をやります。オキテス、ダックスがキドニアにいます。集散所のハニタス担当を交えて三社で話し合って、そのカタチを、約束事を決めていただいて結構です。その権限をオキテスに一任しています。三番目の件ですが3集散所からの受注状況と当月の建造の状態を照合したうえで即答いたします。少々時間をいただきます。よろしいですね?』
 『それで結構です』
 イリオネスがオキテスに指示する、オキテスとダックスが席を立つ、建造の場へ向かった。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱   56

2019-07-01 06:26:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスとイリオネス、二人は、朝食を食しながら話合う。
 『ところで、軍団長、計画と日程だが、進捗の状況は、どんな具合に進んでいるかな?お前の目で見たところを話してくれ』
 『まあ~、順調に支障なく進展しているといえます。テカリオンの来訪が予定していたより早かったことが幸いしています』
 『重畳と言えないまでも、うまくいって当たり前というところか』
 『はい、そのように思います』
 『そうか、謙虚な対処姿勢、それであって、いい決断と実行、悔いる、改めるを少なくしていい結果を売る。脚下照顧、確かな一歩だな、心して遂行していくだな』
 『統領!いいですね!その事を肝に命じて対処に努めています。ところで、これから、テカリオンと船のことで折衝します。統領、同席されますか?』
 『いや、俺が同席?その必要はないだろう。先行きを穴のあくほど見つめて折衝するだな』
 『私の懸念は、船舶の商況がどのように展開するかを手掛かりとしてつかんでおきたい、これが本音です』
 『それは言えている。経営を脅かす懸念の察知を忘れないでな、それを折衝でつかむよう心掛けてくれ。それで十分だ、それ以上考えるな』
 『解りました。折衝にはパリヌルスとオキテスが同席します』
 『おう、それはいい。オキテスが営業関係の者を連れて出席すればいいのだが。営業と言うカタチが見てとれる』
 『解りました。もし、オキテスだけだったら呼び寄せて対処します』
 『おう、それがいい。軍団長、折衝の結果は、いかなる結果でもいいとしてだな、結果を喜ぼう。身の丈を考えて欲張るなよ』
 『統領の言われることは十分承知していますが、営業の成果を考えると欲が出るのですな』
 『それはそういうものだろう。その欲が担当のやる気だからな。解る、解るだけに抑制の難しいところだな。イケイケドンドンもそうだし、ヒケヒケグングンもある!ハッハッハ!』
 『統領、やれ!おせ!ひくな!はっぱをかけることのほうが楽です』
 『そりゃそうだろう、イケイケドンドン!は常日頃言い慣れている。俺がいつも局面に立った時、勇み足に気を配るように心がけている。欲ばった時の勇み足で事を仕損じる、慎重対処でいけ!』
 『十二分に心がけますが、その場に立ったらよく忘れるのですな』
 『おおっ!十二分だと、十二分とはいい!ハッハだな。軍団長、それに対する妙薬のもちあわせがない』
 『妙薬ですか、薬があるわけがない!ですよ』
 話し合いながら、笑いを絡ませる、二人は朝食を終える。
 テカリオンが来る。
 『あっ!統領殿おいででしたか』
 『おう、テカリオン殿、来てくれましたか、ありがとう。俺は用事があって折衝の場には同席しない。俺にあるものは、用事と心配、ないものは、なんとかだ!テカリオン殿、信頼しています。何事もうまく整うと信じています。よろしく頼みます』
 『そのことは重々承知しています。信頼を裏切ることのない折衝です』
 『それは、ありがとう。俺はこれで失礼する。ところで昼めしを一緒にするというのはどうだ!』
 『いいですね!馳走になります』
 『この会所でやります。船頭も一緒にどうぞ!』
 『ありがとうございます』
 アエネアスは、会所をあとにする、リナウスのいる武闘訓練場に歩を向けた。