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「情けない老人」
もっともらしいことなら堂々と言える。
知識をひけらかすことなら最も得意
人の話をさえぎったりしてでも
知識の多さと自分の論理の正当性を主張する。
ゴルフのテクニック、地酒の評価、地方の祭り
古代日本の歴史の話
得意中の得意
ちょっとでも違ったことを言おうものなら
その老人に一斉攻撃を浴びてしまう。
自分から何もしないのに
退屈だとぼやき
誰かが何とか気を使ってくれると思い込んでいる。
誰かが訪ねてこないかと期待したり
待ち構えたりする。
地図を利用して知らないところへ旅するればいい
と誰もが思うけれど、一人では退屈なのだ。
お山の大将を演じていたいのだ。
だから、そのような老人は敬遠されてしまう。
「近づき難い」を演じながらも
「親しみがある」という評価も欲張りたいのです。
淋しそうな表情も作って見せる。
でも、そうはいかない。
自己評価と他者評価が違っていることに気づかないふりをする
敬遠されているもいいじゃないかと言い聞かせている。
そんな無理が表情に出てしまう。
自分の人生の苦労が身につけば美しい顔になるけれど
でも、自分史に刻む自分がないから
知識や世間の常識で勝負する。
(そんなの現役のときの仕事の付き合いのときだけだろう!)
もう、そんなの止めたら
それより、小さな生活の知恵とか
上手に世間を歩く方法とか
そんな知恵がポケットいっぱいに入った年寄りの方が重宝する。
可愛い年寄りとは世間の常識をはみ出し
間を外す程度のテンポがいい。
知らなければ、教えたがりがよってくる。
知らないくらいが丁度いい。
どうせ、そんな知恵は天国にはもっていけないのだから。