メキシカンセージと千日紅
今期は絶対に見逃さないドラマはあまりなくて、「ドクターX」「山女日記」に「アンという名の少女」くらい。
ルーシー・モンゴメリー原作の「赤毛のアン」は10代の頃より10回は読み直した愛読書だ。
その赤毛のアンがカナダでドラマ化されてNHK日曜日深夜に放送されている。
これがとんでも無く現代解釈が盛り込まれていて、目を見張るストーリーに。
葡萄酒で酔っ払ってしまったり、コンプレックスの赤毛を染めようとしたり、親友のダイアナのお金持ちの伯母さんの家に遊びに行ったり、そういうエピソードはちゃんと入っているのに、学校でのいじめ、人種差別や偏見、ジェンダー、LGBT、貧困などが大胆に盛り込まれている。
実際には1880~1890年代の話なので、こんな価値観はありえないというストーリーなんだけど、アンはただの夢見る少女ではなく率直に強く生きる人として描かれている。
やせっぽちで目と口ばかり大きくそばかすだらけの主人公が、昔の村岡花子の本の鈴木義治挿絵と似ているのがちょっとうれしい。
人権啓発のドラマに使えそうなくらい。
7日の放送のラストは、結婚式で逃げ出した友達の姉を追いかけ、雪原でアンたちが笑いながら駆け回るシーン、自らの意思を貫くことこそが幸せな人生に繋がるのだ。他人や世間がどう思おうと…