三流読書人

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ピカピカの一年生 なりたい職業

2006年04月08日 09時02分08秒 | 教育 
『毎日新聞』4月8日付 「発信箱」 中村秀明記者(経済部)のコラム
何になりたい?
《ピカピカの一年生の「なりたい職業」で野球選手、フィギュアスケート選手の人気が上昇している、というアンケート結果(クラレ調査)に思わずほおが緩んだ。目にしたものを素直に受け止める真っ白な心を持ち、「どうせ無理」という後ろ向きの発想とは無縁な”可能性の宝庫”ならではである。
しかしこの調査には続きがある。自らの未来にワクワクしている子の親にも「子どもにはどんな職業に就いてほしいか」と尋ねている。結果は、男子のトップ3が「公務員」「スポーツ選手」「医師」で、女子は「看護師」「公務員」「教員」。公務員は、男子では10年以上も不動の1位、女子でも99年からトップ3の常連である。
公務員への風当たりが強まっても、「うちの子は内気だから市役所にでも入ってほしいのだけど」という話は、いまだによく聞く。安穏と安定が約束された職業を、という親心なのだろう。いろんな役所で「積極性に欠ける」「非社交的」な人が目につくのは、長年に及ぶ親心の集積とも言える。公務員を減らせ、給与も高すぎるとの批判は建前で我が子の時代も厚遇を期待するのが本音なのか。
春は公務員がドッと退職する季節。知り合いから届いた挨拶状の末尾は「第二の人生は上司の計らいにより……」。そんな、「天下りしますよ」って堂々と書いていいのかな。
イチローや静香を夢みる子が、どの時点で、何がきっかけで、どう変って行くのか?そんなことを考えると、緩んだ顔も次第に引きつってきた。》

どんなに手厳しく役所や役人を批判していても、本音は、自分の子どもには、安穏と安定、権力、高収入の側にたたせたいということ。
家庭も学校も”可能性の捨て場”にならないことだ。