国連安保理は日本時間の15日未明、北朝鮮の核実験実施発表に「最も重大な懸念」を表明し、「国際社会の平和と安全への明白な脅威が存在する」と明記。「国連憲章第7章(平和に対する脅威への対応)に基づいて行動する。第41条(非軍事的措置)に基づいて措置を講じる。」とする、決議を採択した。
こうした決議が採択された場合のこととして、昨日、軍事アナリスト小川和久氏は、『毎日新聞』紙上で次のような論評を行っている。一部を抜粋、紹介したい。
【……憲章第41条による非軍事的措置にとどまるから心配ない。と北朝鮮は思っているだろう。ところが、この「非軍事的措置」が曲者で、経済制裁の範囲内にとどまるものではない。米国は国連決議に基づく非軍事的措置の一環として海上封鎖を準備しているからだ。
ひとつのシナリオでは、米国は北朝鮮の主要港6カ所について出入港の80%を規制することになっている。そして、北朝鮮の東西両岸沖で米国沿岸警備隊が船舶検査を実施、海軍の空母機動部隊がバックアップする。このとき協力するのは韓国の海洋警察とオーストラリア海軍とされる。地続きの中国も、食料とエネルギーの援助を停止して協力することになっている。
日本人には馴染みが薄いが、じつは海上封鎖は「経済制裁の最終段階」と同時に「軍事制裁の第1段階」でもある。積み荷を調べる船舶検査現場では北朝鮮側の抵抗は必至だ。小競り合いも予想される。銃撃戦にでもなれば、米国は「反撃」に出る根拠を手にすることになる。韓国に司令部、日本に後方司令部を置く国連軍としても米軍は反撃が可能となる。先制攻撃ではなく「反撃」である。そして核実験後のこともあり、本気で米国を非難できる国はない。
このとき、米国は寧辺(ニョンビヨン)の核施設などに対する外科手術的攻撃(サージカル・ストライク)から軍事行動を開始する。すでに韓国にはF117攻撃機、グアムにはB2爆撃機、という第一撃に投入されるステルス機が展開している。
外科的手術攻撃で北朝鮮の態度が変わらなければ、米国は本格的な航空攻撃に移行する。長距離砲と各種ミサイルによる北朝鮮の再反撃に対しては、韓国軍が一気に北進することになる。むろん長期化、泥沼化のシナリオもあるが、最短の場合、数日で北朝鮮の体制は崩壊するというのが米国の想定だ。
このように、北朝鮮には核保有国になる道は残されていない。北朝鮮はこの現実を直視し、一刻も早く核開発の断念を決断し、6カ国協議に復帰すべきだ。 】
というようなシナリオが最善のものかどうか、判断する能力はない。しかし、日本がそれにどういう形でかかわるのか。軽い役では済まないだろう。この際一気に憲法を改悪して、戦闘行動に参加することを可能に、などというヤツがきっと現れる。