伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

いわき市議会12月定例会一般質問1 / 安保法制のもと自衛隊派兵への見解は

2016年12月19日 | 市議会
 いわき市議会12月定例会が閉会して4日間が過ぎましたが、今度は議会報告を作成しなくちゃ。どんなものにしようか・・思い悩むところですけれど、まずその前に私の質問をまとめなくちゃ、ということで取り組んてきたのですが、まとまったので大項目ごとにアップします。

 私の質問は、
(1)非核平和都市宣言を活かした取り組みについて
(2)環太平洋戦略的経済連携協定・TPPと農協改革について
(3)11月22日の地震の検証とより安全性を高めることについて
(4)非正規雇用職員の雇用のあり方の改善について
(5)いわき市体験型経済教育施設Elem活用時の交通費について
の5点でした。

 それではまず大項目の1からご覧ください。

 なお、いわき市議会のホームページの議会中継では、本会議の録画中継を行っています。私の一般質問もご覧いただけますので、こちらもどうぞ、ご覧ください。


こちらの画像にリンクを張っていますので、クリックしていただければ録画中継のHPにアクセスします。





伊 藤
 おはようございます。10番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。

 国政の問題は、広くいわき市民が平穏に、また幸福を覚えながら生活していく上で、そのベースになる環境を作る大切な問題であると思います。

 私たち日本共産党いわき市議団として、先だって市長に提出した来年度予算編成にあたっての要望書で、真っ先に国政にかかわる問題での意思表明を求めたのは、こうした観点からでした。

 市長は、国政問題は国のことだからと、これらの問題に触れることを避けられたわけですが、30分の懇談時間という時間がない中でのご配慮だったと思いますので、あらためて非核平和都市宣言にかかわり、いくつかの問題でご見解をうかがいたいと思います。


1 非核平和都市宣言を活かした取り組みについて
  (1)恒久平和の願いを活かす取り組みについて



 12月2日の新聞が、2017年度予算案の防衛費について伝えました。過去最大の5兆1000億円程度に増やす方向で調整していることが分かり、安倍政権になって編成した予算では、13年度以降5年連続の増額になっているといいます。また、年明けの通常国家に提出する方針の今年度の第三次補正予算案には防衛費の1,755億円の増額が盛り込まれることが明らかになったといいます。



 その記事は防衛費について次のように書いていました。

 「社会保障や教育費をはじめ他の予算を切り詰める中で異例の優遇ぶりが改めて浮かび上がった。」

 さらに、「日米同盟安定化アピール」と見出しのついた解説記事の中には次のような見方も示されていました。


 「防衛費増は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で自衛隊の新任務『駆け付け警護』が12日から遂行開始となるなど、安全保障関連法が運用段階に入ったことも踏まえたとみられる。」

 このように書いているのです。

 赤旗なら当たり前の記事でしょうが、一般の新聞、地方紙がこうした記事を一面に大きく掲載した。ここには一つの危機意識が現れているのではないか。そのように思うのであります。

 この先、どう展開していくのかは定かではありませんが、来年1月20日は米軍の駐留経費をもっと出せと選挙戦で公言したドナルド・トランプ氏が大統領に就任します。こうしたアメリカからの外圧、そして記事も紹介する安全保障関連法制による海外での集団的自衛権行使の拡大。こうしたものが防衛費拡大の圧力となって国家財政を圧迫する時が来るのではないか。そんな懸念がわいてきます。

 そして参議院選挙の後に安倍首相は、改憲議論の推進に期待をのべ「我が党の案をベースにしながら3分の2をいかに構築していくか、これが政治の技術と言ってもいいだろう」と述べましたが、この自民党の改憲草案には緊急事態条項が設けられ、緊急事態時には「生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他の公の機関の指示に従わなければならない」とすることが書かれています。

 このことについて自民党が発行する日本国憲法改正草案Q&A増補版では、「国民の生命、身体及び財産という大きな人権を守るために、そのため必要な範囲でより小さな人権がやむなく制限されることもあり得る」、このように解説しています。

 ある専門家は、人権に「大きい」も「小さい」もないといい、解説自体に異議を唱えていましたが、ここに書いてあることは、緊急時には防衛費確保のために生存権にもとづく社会保障をはじめ様々な施策が制限される、そんな社会が見えてくるわけであります。

 こうした状況の中で恒久平和への願いが織り込まれたいわき市非核平和都市宣言には大切な意義があると思います。宣言の願いを広くアピールし、宣言にもとづく取り組みを大きくすすめていくことが、市民が安心して暮らすそのベースとなる環境を作っていくことにつながると考えます。

 そこでまず、多くの憲法専門家から憲法違反と指摘をされ、国民からも慎重審議を求める声が吹き上がる中で採決が強行され、この11月にその任務を付与して自衛隊の部隊を海外に派遣した安全保障関連法制・戦争法の問題についてうかがいます。

 駆け付け警護など、戦場での救援活動の任務を与えられた自衛隊の部隊が、紛争の危険が大きい南スーダンのPKO活動に派遣されたことに関して、どのような認識をお持ちでしょうか。

市 長
 南スーダンにおけるPKO活動への自衛隊派遣につきましては、外交政策に関する国の専管事項でありますので、地方行政を預かる立場にある市長として、論評は差し控えさせていただきます。

伊 藤
 7月上旬に自衛隊が駐留する首都ジュバで、大統領派の政府軍と副大統領派の反政府勢力の間で大規模な戦闘が発生し数百人が死亡するなど、各地で紛争が続いていますし、民族紛争の一方の当事者である前副大統領が、「和平合意は完全に崩壊した」「近く総攻撃をかける」などと話していて、いつ戦闘が再燃してもおかしくない状況があります。

 こうした現地情勢を受けて、国連のアダマ・ディエン事務総長特別顧問が先月11日に、南スーダンの紛争は「政治的な対立で始まったものが完全な民族紛争になり得るものへと変質した」と述べて、ジェノサイド、いわゆる民族大虐殺に発展する恐れがあると強い懸念を示す状況になっています。

 PKOへの参加5原則では、その一つに紛争当事者間の停戦合意を掲げていますが、こうした前提そのものが崩れていると考えられる事態での派遣になっているという現実をやはりみていかなければならない。このように思います。

 安保法制の廃案を求める署名に、「身内が心配だ」と言って、人目をはばかるように街頭で署名した自衛隊関係者の家族がおりました。こうした方々の意を汲みながら、恒久平和の達成に向けて海外での武力行使に対する反対の意志を表明し、自衛隊の南スーダンからの撤退を求めるべきではないでしょうか。このように思っております。

 国の専管事項だから回答は差し控える。このようなことではなくて、やはり市民のみなさんの意をしっかり汲んでいく。このことが必要だと思いますが、市長、あらためて回答をお願いします。

市 長
 あらためての答弁になりますと、国の安全保障にかかわることでありますので、地方行政を預かる市長として、論評は差し控えさせていただきます。

―――「了解」と議員席から―――


伊 藤
 私は了解できないのでありますが、海外に派遣された自衛隊員のみなさんの命の危険を拡大することがあってはならない。このように思います。ましてや海外の戦場で命を落とすような状況に追いやってはならないと思っています。

 いわき市でも毎年、自衛隊入退者の激励会を開いています。どんな思いがこめられた激励会なのでしょうか。自衛隊員として任務をこなすための訓練をがんばってほしい、東日本大震災の時に献身的に行った救援活動のように、災害時に人々を支えるためにがんばってほしい、そして万が一、日本に攻め込むような国があった時には、この国を、この郷土をしっかり守って欲しい、そんな思いなのではないでしょうか。

 そこには、海外の戦場で戦闘をしてきてほしい、そこで命をかけて戦ってほしいという激励は含まれていないと、私は思っております。

 いわき市出身の自衛隊員もいます。この隊員たちの生命を1人の命も海外の戦場で失わせない、1人の命も海外の戦場で奪わせてはならない。そのためにもしっかり意思表明をすることをあらためて検討するというか、考えていただく。このことを求めながら次の質問に移ってまいりたい。このように思います。


(2)核兵器廃絶の本市の願いの発信と取り組みについて


伊 藤
 いわき市非核平和都市宣言は、「核兵器はつまらないからよせ」と、直接的には世界から核兵器を廃絶することをめざすものです。

 戦後一貫して増え続けた核兵器ですが、中距離核戦力全廃条約いわゆるINF、包括的核実験禁止条約・CTBTなどが国連で採択されるなど、削減に向けた取り組みがされてまいりました。

 まもなく任期を終えようとしているアメリカのオバマ大統領は、2009年4月に、チェコのプラハで演説し、「核保有国として、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」として、「米国が核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意であることを、信念を持って明言いたします」とのべ、核兵器廃絶をめざすことを宣言しております。

 そして、今年5月に広島を訪問した際には、「核を保有する国々は、勇気を持って恐怖の論理から逃れ、核兵器なき世界を追求しなければなりません」とあらためて核兵器廃絶の理想を語っておりました。

 それでもいまなお世界中に1万5,350発が存在するとされ、人類を何度も死滅させるほどの量が蓄積されているという点から見ると、核兵器の危険性は以前と変わっていない状況にあるものと思います。

 こうした状況の中で本市も、非核平和都市宣言を採択し、核兵器廃絶に向けた取り組みをすすめてきました。

 このいわき市非核平和都市宣言に盛り込まれた核兵器廃絶の訴えを届けるため、本市はこれまでどのように取り組んできたのでしょうか。

総務部長
 本市は、昭和61年3月に非核平和都市宣言を行い、核兵器のない平和な世界の実現に向け、庁舎や学校等の公共施設における宣言文の掲示や、非核平和都市宣言カードの小中学生への配布、庁舎等における原爆パネル展の実施、さらには、周年事業として、講演会の開催等により、非核平和思想の普及・啓発に努めてきたところであります。

 また、本市が加入しております非核宣言自治体協議会及び平和首長会議による、核実験実施国に対する抗議など、自治体間の連携に基づく取り組みをこれまですすめてきたところであります。

伊 藤
 答弁にあったような本市の取り組みをはじめ、世界の国々の核兵器の廃絶を求める声、あるいは運動が昨今の核兵器廃絶を求める国際的な声の高まりに結んできたのだと思います。この世論の高まりの中で、国連総会第1委員会(軍縮)は、核兵器禁止条約に向けた交渉を2017年に開始するよう求める決議案を賛成多数で採択しました。本市はこの採択をどのように受け止めていますか。

市 長
 国連総会第1委員会において、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議案を採択されたことは、核兵器の廃絶を訴える本市の非核平和都市宣言にも沿うものであり、核兵器禁止を求める世界の大きな流れが、この結果につながったものと受け止めております。

伊 藤
 この核兵器廃絶を現実のものにしていくためにも、核兵器廃絶に向けた積極的な活動を展開することが求められていると思います。

 本市が加入する平和首長会議は、先月、千葉県佐倉市で開かれた第6回国内加盟都市会議総会で、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」に、平和首長会議として賛同・協力することを盛り込んだ総会文書を採択しております。

 この署名に関して国民平和大行進が本市と懇談した際に平和首長会議の方針を受けて積極的に活動することを求める中で、本市は「内容に応じて取り組んでまいりたい」、このように答えておりました。

 あらためてこうした署名などの行動に、本市として取り組む、あるいは協力していくことが必要だと思いますが、いかがですか。

総務部長
 本市におきましては、先程もご答弁しました、日本非核宣言自治体協議会及び平和首長会議に加盟する立場から、核兵器のない平和な世界の実現に向けて、ただいまご署名の話がありましたが、これは団体に加盟する自治体間の連携等による取り組みを行うことにより、その取り組みを進めてまいりたいと考えております。

伊 藤
 連携の取り組みということで、署名については直接ふれていない。そういうお話でありましたけれども、ぜひ、そういうことも検討していただきたい。このように求めたいと思います。

 私は、先だって核兵器に関する本市中学生の弁論を聞く機会がありました。

 この弁論は、先にも述べたオバマ大統領の広島訪問に題を得たものでした。

 平和記念公園で核廃絶を訴えるオバマ大統領の傍らには、黒いブリーフケースがありました。大統領が核攻撃を指示するために使われる4つの品物が詰め込まれているケースで、「核のフットボール」と呼ばれているものだそうです。

 核廃絶を訴えながら、傍らではいつでも核攻撃をできる体制が作られている。この生徒は、「71年前の恐怖はいまも続いています。世界の平和は小さなカバンが握っています」と告発をしながら、本当の平和を作っていかなければならないと呼びかけ、平和というものは平等と人々の尊重のもとに築かれるので「未来に生きる私たちは新しい考えを打ち立てなければならない」と訴えておりました。

 そして、このブリーフケースに新たに、平等と尊重をはかる天秤、美しい未来を描く絵の具と大きな画用紙、互いに助け合う温かい心の3つを詰め込もうと提案しておりました。

 非核平和都市宣言にもとづく取り組みをすすめてきた本市で、平和のうちに繁栄する次の社会の担い手が育まれていることを見ることができると思いでした。

 こうした人材を育てる素晴らしい活動ができている本市ですから、核兵器廃絶に向けて、さらに積極的に取り組みをすすめていくことが必要だと思います。

 あらためて署名の推進など本市のさらなる積極的な活動を求めて、次の質問に移ります。




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