伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

条例制定で太陽光発電事業の規制を / いわき市議会9月定例会一般質問_Vol.1

2018年09月17日 | 市議会
 いわき市議会9月定例会の一般質問で、9月13日、質問者のラストで登壇しました。

 30分の持ち時間で、大項目3問。時間が足りなさそうなので、機関銃のように言葉をつむぐ質問になり、最後の最後、あと15文字程で質問を終えるという時に、時間切れのブザーがなる結果となった。

 以下、3回に分けて掲載します。

 まずは第一回。




1 太陽光発電施設にかかわる事故と事業を適正に誘導する市の施策について                      

伊 藤
 10番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。

 一般質問のトリを務めることになりました。そのプレッシャーで、今朝、悪夢で目が覚めました。

 答弁をいただいた。その後の質問がどうしても思い浮かばない。原稿をめくっていっても、その後の質問が出てこない。5分、3分、1分、ああ時間が無くなった。そこで目が覚めてしまいました。

 質問の方では、自分を見失わない、方向を見失わない、そういうふうにがんばりたいと思っています。



 さて、6月定例会の一般質問で、私は民間の太陽光発電施設の設置に関して取り上げましたが、市の答弁では太陽光発電に関して、国が「事業計画ガイドライン」を策定してしているのおりますので、問題が発生しても大丈夫ですよ。おおよそこういう答弁をいただいたところであります。

 その後、市内で、本当にそうなのかと思わせる事態が続いておりますので、今回、また改めて太陽光発電事業の事故等について、まず伺ってまいりたいというふうに思います。


(1)太陽光発電事業に関する事故等への対応について                                         

伊 藤 
 まず一つは、高野町に㈱アイラックが建設を進めてきた太陽光発電施設の法面が8月13日に崩落した事故についてであります。
7月3日に現地を見た段階で、地元住民は「市道は通学路であり崩落が心配」、このように話しておりました。その不安が的中し法面が崩落し、通行止めとなる事態になったわけでありますが、この太陽光発電施設の設置の経過はどのようなものであったのか、お伺いします。

農林水産部長
 内郷高野町の太陽光発電事業の開発区域は、森林法第5条に基づく地域森林計画区域内にありますことから、伐採届と小規模林地開発計画書を受理し、安全性について確認したところであります。

 しかしながら、開発事業者は届け出の内容に反し、開発区域を拡大していたことにより、法面が急勾配となり危険な状態になっておりましたので、開発事業者に対し、是正対策を指導しておりましたが、去る8月13日に発生した強い雨により、法面の一部が崩落してしまったものであります。

伊 藤
 で、そのアイラックの建設現場、例えば高野小・内郷三中の目の前にあったりもするわけなんですが、現在ではブルーシート等で養生していたりするわけでありますけれど、雨が降りますと、通学路脇であったり、土砂流出の状況なようであります。こうした状況に保護者など関係者が非常に不安を覚えている、そういう状況であります。この問題に、今後どのように対応していくのかお伺いします。

農林水産部長
 今回の崩落事故の対応につきましては、開発事業者を招集した上で現地立ち合い調査を行い、ブルーシート張りや大型土嚢の設置及び排水対策等を指導し、8月21日に応急対策が完了したことを確認いたしました。

 今後につきましても、開発事業者による、急な法面の安全対策、排水対策の本格的な是正工事を確実にさせるため、庁内関係部署と連携を図りながら、強く指導を行ってまいりたいと考えております。


伊 藤 
 次に、小名浜上神白にエナジー電力株式会社が設置した太陽光発電施設もあります。法面の崩落対策がブルーシートだけで、非常に危険な状況にあるように見えます。この施設設置に関わっては、どのような経過があったのか、お伺いします。

農林水産部長
 小名浜上神白の太陽光発電事業につきましては、森林法等の規定に反し、一部区域の伐採届と、開発区域全体の小規模林地開発計画書の提出がなかったため、その提出を行うこと、及び、提出するまでの間、工事を中止することを指導してまいりましたが、開発事業者はこれに応じないまま、より多くの太陽光パネルを設置するため、急な勾配に造成し、排水対策も不十分な状態で、工事を進めてきたものであります。

 このため、市は、法面崩落防止に向けた対応を早急に行うよう指導したところであります。


伊 藤
 非常に危険があるような状況っていうのは、いまだに続いているようでございますけれども、今の答弁だと違法な状態で開発が始まったということが分かるわけであります。それでは、今後、この施設に関してはどのように対応していくのか、お伺いします。

農林水産部長
 今回の事案につきましては、周辺住民の生命、安全及び財産に危険を及ぼす可能性が高い悪質な開発であり、市民生活の安全安心を優先し、一刻も早く危険な状態にある法面等を改善していく必要がある考えております。

 このため、市として庁内関係部署と連携し開発業者に是正対策を強く求めるとともに、国におきましても、現地調査の結果等を踏まえ事業者へ改善指導を行っているところでありますので、国ともしっかりとした連携を図ってまいりたいと思います。


伊 藤 
 改善とか、是正とかいうことでありますので、基本的には、あの現場で、発電施設は設置する、作らせる、こういうふうな方向で対応が進んでいくというように答弁を受け止めました。

 例えば高野町の場合だと、地元の住民の皆さんに説明していなかったり、小名浜の場合も同様の状況があるようですし、同時に違法な状況で開発がすすめられた、すなわち、太陽光発電に関する事業計画ガイドライン通りに物が進んでこないで、結果、問題を起こしているという、こういう事態になっているわけであります。

 市長に伺いたいのですけれど、こういう問題がいわき市で起こっているこの事へのご所見を伺いたいと思います。

環境企画部長
 この2件の案件につきましては、FITのガイドラインができました、平成29年4月1日以前にFIT法に基づく認定を受けている事業でございまして、ガイドラインの暫定的な措置としまして一定の猶予期間の中で事業計画を提出して、ガイドラインを満足させるような形の事業計画にするという暫定的な措置で開発された事業であります。

 今後におきましても、庁内関係課と連携しながら、そういった法令を遵守しない事業者に対しては指導してまいりたいと考えております。


伊 藤
 ま、ガイドライン前だからっていう話ではあるんですけれども、その後にガイドラインが作られているわけですし、内郷高野町の場合にはガイドラインが作られた後に(林地開発の)申請がされているっていう現実があったはずで、今の答弁はちょっと違うんじゃないかな。

 やっぱり、後でガイドラインが作られたとしても、そのことに基づいて進められるよう、確か(工事の)着手は後のはずですので、市として指導していったり、かかわっていくことが求められているんじゃないかなーというふうに思うんですね。


(2)太陽光発電事業に対する自治体の動向について


伊 藤
 で、これらは、事業計画ガイドラインがああいう形で定められたと言っても、実際には、それが守られずに進むっていうことが実証されている事例でありますし、しかもこれを撤去して現状回復させることさえもできないということが、今回の小名浜の事例なんかでは明らかになっているわけですよね。いわば作ったが勝ちという状況で事業が進んでいく。

 おまけに、ガイドラインによるペナルティーは、FITの登録取り消しなので、利益度外視で、取り消しでも構わないと事業者が開き直って事業を進めれば、ガイドラインと関係なく発電所の設置がすすんでしまう、そういう状況もあるわけです。

 こうした中で、適正な太陽光発電設備の設置に誘導をはかる方策がどうしても必要になっているというふうに思うのであります。

 報道では全国各地の自治体が太陽光発電設備設置を独自に規制し、適正に誘導しようとする動きが広がっているように見えます。

 これらは先に上げたようなガイドラインの弱点を補うものとして、各地方自治体が景観保全等の観点から条例の制定を進めているものと考えます。本市は、太陽光発電事業に独自の対応をとっている自治体について、どのように掌握しているのか、うかがいます。

環境企画部長
 本年8月末現在における、各自治体の太陽光発電事業に係る条例制定の状況を申し上げますと、中核市54市のうち、単独の条例として制定しているのは4市、
既存の景観条例等を改正して規定しているのは2市であり、
また、中核市を除く県内56市町村のうち、単独の条例としてる市町村はなく、既存の景観条例等を改正して規定しているのが3市となっており、
さらに、隣県である茨城県では、44市町村のうち、単独の条例として制定しているのは8市で、既存の条例等を改正している市町村はございません。


伊 藤
 こういう独自に対応する自治体の取り組みを、太陽光発電施設で崩落等が発生しているという本市の現時点で、どのように評価しているのか、おうかがいします。

生活環境部長
 条例を制定等している自治体の取り組みといたしましては、主に、地域において、自然環境や景観との調和を図ることを目的として、自然公園や景勝地など地域特有の自然環境や景観などを保全するため、独自の取り組みがなされているものと考えております。


(3)本市独自の対応策の策定について
       


伊 藤
 乱開発を防ぐということでありますよね。あとで別の事例も紹介するんですが、次に6月定例会では、「事業者は、ガイドラインに基づき適切に対応するものと考えています。なお、条例制定の必要性は研究していきたいと考えています」というふうに答弁をしていましたが、崩落等が発生している現状を見ても、この認識に変わりはないのでしょうか、うかがいます。

生活環境部長
 国が定めた、太陽光発電に係る「事業計画策定ガイドライン」には、関係法令等の順守や土地開発、施行、維持・管理、撤去・処分に関する遵守すべき事項などが示されており、事業者においては、本ガイドラインに基づき、適切な事業運営が図られるべきものと考えております。

 しかしながら、今回の小名浜神白の事案につきましては、ガイドライン及び関係法令等が順守されず、法面崩落等が発生したものであることから、市といたしましては、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」いわゆるFIT法に基づき、違反事案として、国へ情報提供するとともに、庁内関係部署と連携を図りながら対応しているところであります。

 また、市独自の条例制定につきましては、現在、他自治体の状況を調査しておりますことから、引き続き、国・県等の動向を注視しながら、その必要性について、研究してまいりたいと考えております。


伊 藤
 条例についての答弁いただきましたが、それ最後の方で聞こうと思っていたんですけどね・・なるほど、思いました。小名浜上神白の前提でお話しているんですけど、内郷高野町だって、伐採木を脇っちょの方に放置するなど、必ずしも適正な工事が行われたとは思えないような状況があったわけですよ。

 やっぱ、今の状況はちょっと違うようなところがあったんだろうな。そこをしっかりとらえて考えていただくことが必要なんだろうと思います。

 適正に設置、管理、運営をさせる上で、最低限、設置事業者にガイドラインの趣旨を徹底させる必要があるが、本市としてどのように取り組むのか、おうかがいします。

市 長
 市といたしましては、太陽光発電施設の適正導入を促すため、事業者に対し、導入にあたっての留意事項や関係法令等の申請届け出一覧及び、国のガイドライン等を市ホームページに掲載し、周知を図っているところであります。
 また、本ガイドラインに基づき、関係法令等が順守されるよう、庁内の情報共有及び連携を図るための組織を設置するなど、適切に対応してまいりたいと考えております。


伊 藤
 そういう対応ではですね、私、不十分だっていうふうに思うんですね。

 神戸市が、西日本豪雨での太陽光パネルの崩落で、近くを通る山陽新幹線が一時運行を見合わせたことを受けて、出力10KW以上の事業用太陽光パネルを設置する際は届け出制にする条例を制定する方向で検討をしているということが8月末に報道されています。

 新設の施設を対象に、土台を組み地上に設置する場合は届け出にし、山の斜面や住宅地などは許可制とし、土砂災害警戒区域などは禁止区域にする、既設のパネルも対象に設置者に維持管理状況の報告を求め、そこには、撤去費用の積み立て状況も含め、事業終了後の始末まで、見届けることができる内容が検討されているようなんですね。

 先程答弁にあった条例の制定とはまた若干違った角度から迫って行こうというのが、この神戸市の条例です。6月定例会で、北茨城市の条例制定を紹介しましたが、こうした動きに学びながら本市も取り組んでいくことが必要だと思うんであります。

 条例については、先ほどのご答弁の中で、研究・・研究でしたっけか・・研究していくというふうな答弁があったわけでありますけれども、この神戸市長は、会見で、「運営会社が倒産するなどで、太陽光パネルが放置されるとなると、周辺環境が悪化するばかりか災害時の危険性も大きくなる」という見解を示し、「安全を守るためには既存の法令では不十分」だ。このように指摘しているんです。

 本市では、実際に住民に危険が迫る事態がすでに発生しております。もし万が一、不良な事業者がいて、事業終了後にパネルを放置するような事態になったならば、土地を貸した市民と周辺住民に危険な不良債権が残される。そういう状況にもなるわけなんであります。

 1期目、市長はですね、スピード感がスローガンの一つだった。ということを言っていたように記憶しております。ここでこそ、スピード感を持って、研究というのではなくて、条例の制定に向けて動き出す。これが求められていると思います。進めていただきたい。

 条例等の制定について、あらためて市長自身の見解をおうかがいしたいと思います。

市 長
 市独自の条例の制定につきましては、現在、他自治体の状況を調査しているところでありますが、自然公園や景勝地など地域特有の自然環境や景観との調和を図ることを目的とした取り組みが主であり、今後、さらに調査を進めるとともに、国県等の動向を注視しながら、その必要性についても研究してまいりたいと考えております。


伊 藤
 それでは遅すぎる。
 どんどん建設は進んでいくという状況があるので、早急に条例制定に向けた取り組みを始めていただきたい。このことを要望して次の質問に移ります。





 第2回、第3回は以下の通り。

アカシア風力発電事業への評価は / いわき市議会9月定例会一般質問_Vol.2

超過勤務の抑制の取り組みを / いわき市議会9月定例会一般質問_Vol.3


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