伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

いわき市議会6月定例会閉会・石原大臣「金目」発言に抗議文

2014年06月19日 | 市議会
 6月5日に開会したいわき市議会6月定例会は、市長提出の35議案と諮問1件を全会一致または賛成多数で、また議会提案の意見書案5件を全会一致で採択し閉会しました。日本共産党は提出議案のうち軽自動車税の引き上げ1議案と市営住宅等の管理を民間事業者に委託する指定管理制度の導入に関する2議案に反対し、会派を代表して溝口民子議員が討論を行いました。他に創世会の6議員も反対しました。

 議決された意見書名は次の通りです。

意見書第1号 ウイルス性肝炎患者に対する医療費助成の拡充を求める意見書
意見書第2号 手話言語法制定を求める意見書
意見書第3号 軽度外傷性脳損傷に関わる周知並びに労災認定基準の改正等を求める意見書
意見書第4号 総合的、体系的若者雇用対策を求める意見書
意見書第5号 鳥獣の捕獲促進体制強化の速やかな実施を求める意見書

 この議会に日本共産は以下の意見書案を提案しましたが、いずれも自民系会派や労働組合の「連合」系会派が反対あるいは継続審議とする態度のため廃案。公明等は全て継続審議とする態度をとりました。

○関西電力大飯原発3号機、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁の判決を尊重することを求める意見書(案)
○教育委員会制度改革の中止を求める意見書(案)
○消費税10%への再増税断念を求める意見書(案)
○日本国憲法の原理である立憲主義の立場に立って安倍首相及び内閣が行動することを求める意見書(案)

 また議決案件とはならなかったものの、石原伸晃環境大臣が6月16日行った「金目」発言に関して、議長名で抗議することに各会派が一致し、案文をまとめ送付することになりました。

 日本共産党市議団として昨日、決議の採択を求めて各会派に働きかけました。この中で創世会が環境大臣発言の取り扱いについて協議を求めて各派代表者会議の開催を要求しました。
 本日午前に開かれた各派代表者会議では、抗議文とすることが妥当とする意見が大勢となり、各派が一致し抗議文がとりまとめられました。

 抗議文は以下の通りです。



石原伸晃環境大臣の中間貯蔵施設に関する発言に対する抗議文

 6月16日の石原伸晃環境大臣の記者団取材において、中間貯蔵施設建設の交渉について、「最後は金目でしょう」と発言したことが報道された。

 中間貯蔵施設の建設については、5月31日から住民説明会が開催されたところであるが、住民の疑問に対し十分な説明がなく、多くの住民は生まれ育ったふるさとの将来への不安に苦しんでいるところである。

 そのような中、石原環境大臣の発言は、住民の尊厳を踏みにじるとともに、関係自治体の復興に大きな影響を与える中間貯蔵施設の建設を滞らせるものであり、被災地でありながら多くの避難者を受け入れている本市においても到底容認できるものではない。

 よって、本市議会は、石原環境大臣に対して、断固抗議するとともに、今後は大臣自らが真摯で誠意のある態度を住民に示すよう求めるものである。

       平成26年6月19日

 環境大臣 石原伸晃 様

             いわき市議会議長 根本 茂



 議案に反対した討論は以下の通りです。
 この他、創世会議員からは、軽自動車税について、経費の安さゆえに市民が期待する軽自動車をねらいうちにした増税であること、また市営住宅等の指定管理者導入に関して、指定管理機関が3年から5年で雇用される労働者は不安定雇用にならざるを得ず、市保有の個人情報が民間事業者にわたることで公務員の守秘義務が形骸化することなどを内容とする反対討論が行われました。



日本共産党市議団の討論


 21番、日本共産党いわき市議団の溝口民子でございます

 私は議案第3号、議案第8号及び議案第9号の3議案に反対の立場で討論をいたします。

 初めに、議案第3号、いわき市税条例等の改正について申し上げます。

 地方税法等の一部を改正する法律が、平成26年3月31日に公布されたこと等に伴い、所要の改正を行うものです。この議案には車体課税関係として軽自動車税の増税をする内容が含まれており、問題があると考えるものです。

 その内容の一つは、四輪以上及び三輪の軽自動車を平成27年4月1日以降に新規に取得する場合の税率が改正され、現行7,200円の軽乗用自家用車は改正後、税額1万800円となり、3,600円の増税で現行の1.5倍になります。

 二つに、車体課税関係です。

 平成28年4月1日以降において、新規登録から13年を経過した軽自動車の課税額を変更し、従来より増額するものです。

 これらの改正によって平成27年度以降、新規に軽自動車を取得しようとする方は1.5倍の1万800円を負担し続けることになり、一方、27年4月1日以前に登録している方には、車を長く使い、平成28年4月以降に13年を迎えると1万2,900円の税金を払うことになり、軽自動車にかかわる負担が重くなることになるわけです。

 加えて、原動機付き自転車及び二輪車等に係る税率の改正もあります。このことにより現行の税額1,000円の原付き50㏄以下は改正後には2倍の2,000円になります。

 軽自動車は庶民の足です。維持費が比較的安くすむことが多くの方に歓迎されています。

 このことは全国的な保有の状況をみれば明らかです。
 全自動車に占める軽自動車の保有率は増加を続け、平成16年6月に30.3%だったものが10年後の今年6月には37.9%に増加しています。

 一方では2,000cc以上の大型車の保有数が増加する一方、中小型車の保有台数が減少していることからみると、家族が揃って使える大型車を備える一方、生活防衛のために中小型車をやめ、より維持経費の安い軽自動車に移行することで、生活のバランスをとっている国民の知恵、生活防衛の姿を見ることができます。

 実際、軽の営業用トラックやワゴン車を利用しているある業者は、「燃費も良いし、小回りも聞いて便利。一番いいところは税金が安いところ」と、軽自動車を利用する利点を話していました。

 また年金暮らしという男性は、「買い物や通院、畑仕事にも使っている。年金が下がっているのに、税金の値上げは一番こたえる」と、軽自動車税引き上げの提案を知り、怒っていました。

 このように市民が期待する軽自動車の負担が増やされていく。この負担の増加について常任委員会の答弁では、本市における軽自動車の保有台数は例年2,600台程度の伸びがみられており、年間950万円程度の税収の伸びが見込まれるとのことです。これだけの市民負担が毎年増やされることになるのです。

 軽自動車税引き上げについて総務省は、「軽自動車の性能が高まり、小型自動車と比べて大きな差はなくなっているのに、税金の面で差があるのは問題だとして、公平な負担のための増税を提言した」としています。

 これに対し政府部内からも批判の声が上がりました。茂木経済産業大臣は、「軽自動車は特に住民の足であり、引上げられることがあってはならない」と強く反対の声をあげました。

 また、業界団体からも同様の声があがっています。
軽自動車を主力商品としているスズキの鈴木修(スズキオサム)会長兼社長は、「使っている人は低所得者層も多く、弱い者いじめだ」と語り、「4月からの消費税増税と同時に、軽自動車税を増税すれば市場は大きく落ち込む」と危機感をあらわにしています。

 そもそも軽自動車税引き上げが急浮上してきたのは、国の平成25年度税制改正が、消費税が10%になる段階で自動車取得税が廃止され、その廃止で生じる減収分、年間約1900億円の穴埋めが問題になり、軽自動車税の増税が検討されたと伝えられています。

 外圧もあります。
 軽自動車の規格は日本独自のもとであり、諸外国から見れば、諸外国の車の日本への輸出を拡大するためには、この軽自動車とも競争をする必要があります。

 ところが軽自動車の税は安いなど、経費が少なくてすむという特徴があります。日本国内で、この軽自動車と普通車と競争することは難しい。こうしたことから軽自動車税は、諸外国との関税・経済交渉等でやり玉にあがってきました。

 TPPと同時にすすめられるアメリカとの2国間協議でも問題になり、ある新聞はこう伝えます。
 政府関係者は「15年にも廃止される自動車取得税の代わりの財源として、地方財政への影響を最小限にとどめるため」と説明するが、TPPに参加させてもらうため、米国の要望に合わせて大幅譲歩したのはみえみえだ。立教大学経済学教授の郭洋春(カク・ヤンチユン)氏は言います。
 「米国は、以前から日本独自の規格である軽自動車の優遇税制に強い不満を持っていました。TPP交渉と並行して行われている日米2国間協議でも議題に上がっている。日本でアメリカ車が売れないのは、軽自動車のせいだというのです。優遇政策は非関税障壁だと指摘する声もあり、場合によっては“廃止”を突きつけてくる可能性もあります」

 こうして外圧を利用しながら、増税をゴリ押ししたのが今回の軽自動車税関係の税制の改正なのではないでしょうか。

 広域で、しかも公共交通が不十分な状況にあり、家族で自動車を複数台所有することが普通に見られる本市であり、しかも所得水準が比較的低い状況にあることを考えれば、軽自動車は、通勤はもちろん、子どもたちの通学や塾の送迎、買い物など、日常の交通、日常の生活を支える足として欠かすことができません。

 4月から消費税が5%から8%に増税されました。今回の自動車税の増税は、軽自動車を利用することで、さらなる市民の負担増となり影響が大きいと考えます。

 従って議案第3号には問題があることから反対とするべきです。

 次に議案第8号 いわき市市営住宅管理条例について、及び議案第9号、いわき市特別市営住宅管理条例の改正については、関連しておりますので一括して申し上げます。

 議案第8号は、市営住宅及び共同施設の管理について、また議案第9号は、特定市営住宅の管理について、それぞれ指定管理者に管理行わせるために、管理に関する業務や指定管理者の指定の基準及び管理の基準等について定めるために、所要の改正を行うものです。

 これらを指定管理者に管理させるにあたって執行部は、そのメリットとして年間約2600万円のコスト削減や新たな雇用創出、窓口時間の延長など市民サービスの向上を上げました。しかし、委員会の審議等を通じて、本当にそのようになるのか、大いに疑問がわいてくる状況になりました。

 一つには、家賃滞納徴収の仕事を指定管理業者に請け負わせることで「過度の徴収」にならないかということです。

 入居者が家賃を払うのは当然であります。しかし、これまで入居者には様々な理由で滞納にいたっている場合があるために徴収については慎重におこなってきました。 

 指定管理業者の業務は、答弁では、入居手続き、家賃の徴収、1件50万円未満の修繕等とされていました。

 このうち家賃の徴収に関して言えば、その徴収について将来的には、家賃の徴収率アップを図るために報奨金も検討するという答弁が、委員会審議の中であったと聞きます。

 かつて、他の自治体で、公共料金等について徴収率アップをはかるために徴収公社を設立して徴収させる事例がありました。ここで問題になったのは、徴収率向上のために、過酷な取り立てが行われたということでした。

 報奨金は受託業者の収益アップにつながります。収益アップのために、市営住宅利用者の生活実態を無視した「過酷な徴収」につながるのではないか、そういう懸念が生じてくるのです。

 二つ目に、小規模業者の仕事確保の問題です。

 本市には、小規模業者に「50万円以下の工事請負」については「簡単な見積もり」で仕事が出来る制度があり、小規模事業者に歓迎されています。

 答弁では、50万円以上の修繕は市が行うものの、50万円未満の小規模な修繕等は指定管理者が行うこととされました。

 そして小規模な修繕等を行う場合に、指定管理者とつながりのある業者が利用され、これまで受注をできていた事業者の受注機会が減るのではないか、という趣旨で質問がありました。これに対し執行部は「指定管理者に対し、各地域のバランスを考慮した業者選定に配慮するよう要請してまいりたいと考えております」と答弁をされました。

 しかし委員会審議の中では、指定管理者のサービス向上の一つとして「緊急時の修理などの対応が早くなる」とする旨の答弁があったと聞いております。

 これは、一般質問の答弁とは矛盾する内容を持っています。この内容によるサービス向上は小規模修繕に関する広範な業者の受注機会を減少させることにつながりかねないという、実態があるということです。ましてや、指定管理者の候補となる業種として不動産業やマンション・ビル管理業とともに、「指定管理者が行う業務には、市営住宅等の保守点検、修繕工事に関する業務もあることから、建設業などの事業者も想定されます」と答弁されています。

 建設業が指定管理となれば、小規模事業は自らまたは自らの下請け業者等を活用することが自然でありますので、ここでも広範な事業者が小規模事業の受注の機会を失ってしまうことになりかねないと考えます。

 三つ目に、サービスの向上が本当に図られるのかという問題です。

 修理が早くなるということでの問題点は、ただいま述べたとおりですが、委員会審議では車庫証明について、これまでは市が直接発行し、時間がかかることはなかったといいます。しかし、指定管理者が入ることによってワンクッションあることから、これまでより時間がかかる可能性があると説明がされました。必ずしもサービス向上ばかりではないということが分かります。

 そして四つ目に、入居者の個人情報の漏洩問題です。

 指定管理者が取り扱う個人情報は、入居者の住所、氏名、生年月日、収入状況などがあります。行政の手にあった個人情報が、民間事業者の手に渡ることによって、その漏えいなどの問題が生じる懸念があります。

 従って市営住宅を指定管理者に管理させる両案には問題があります。

 以上、議案第3号、議案第8号及び議案第9号には問題がありますので、反対とすべきです。みな様の賛同を心からお願いして討論を終わります。
 


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