伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

いわき市議会6月定例会の報告が完成しました

2020年06月23日 | 市議会





 記事は以下の通りです。



6月定例会

 いわき市議会6月定例会は6月4日から6月18日まで開かれ、全会一致で、市長提出の32議案を可決、人権擁護委員を法務省に推薦する諮問1件を承認、市民提出の請願1件、議員提案の意見書1件を採択しました。
 会議は2人掛け机を1人掛けに変更し、成立要件に配慮しながら入場数も減じて会派控室での聴講も取り入れるなど、できるだけ密を防ぐ新型コロナウイルス対策を施し開催されました。日本共産党・市民共同からは一般質問に、伊藤浩之、溝口民子、渡辺博之、質疑に渡辺の各議員が立ちました。


新型コロナウイルス対策

■あんしんコロナお知らせシステム運用
 登録した方が、新型コロナウイルスの陽性者と同一店舗に同一時間にいた場合に知らせるシステムを構築するとともに、一定期間内は、店頭で登録時に100円の割引、また、登録者に抽選によるクーポン券贈呈が用意されます。
陽性者の参加店舗来店が判明し、消毒が必要と判断された場合、上限30万円の消毒経費が補助されます。

■国民健康保険税の減免
 新型コロナウイルスの影響で、国保税の納税義務者が死亡または重篤な傷病を負った場合は全額免除され、事業収入等の減少が一定の要件を満たす場合には減免がされることになります。

■ひとり親世帯臨時特別給付金
 新型コロナウイルスの影響による、低所得のひとり親世帯の負担の増加や収入の減少に対する支援のため、1世帯当たり5万円を給付します。第2子以降は1人につき3万円、収入が大きく減少した世帯では5万円が加算されます。

■住居確保給付金
 経済的に困窮し、住居を失ったり、その恐れがある方に対し、求職活動に係る要件を緩和し、世帯人数と収入額に応じて家賃相当分の住居確保給付金を支給します。

■小中学校修学旅行等補助金
 一斉臨時休校の要請に伴う修学旅行の中止・延期により生じたキャンセル料について補助をし、保護者の負担軽減を図ります。

■放課後児童クラブ利用料減免事業費
 新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、保護者が放課後児童クラブの利用を自粛した場合に費用を返還するため、日割り利用料の返還相当額を、上限1日当たり500円で、放課後児童クラブに補助します。

■旅館業等事業継続支援金
  売上が大きく減少している旅館業等を営む一定の条件を満たす事業者に、宿泊定員に応じ30万円から60万円の支援金を給付します。

■店舗等新規出店支援事業費補助金
 市内の空き店舗等を利用して新規出店する事業者に、1店舗当たり上限150万円で店舗等改装工事費と上限30万円で賃借料を支援します。

■介護ロボット等導入支援事業補助金
 感染拡大防止や介護業務の負担軽減を図るため、障がい者支援施設等の事業者が介護ロボットを導入する際の経費を上限30万円で支援します。

※補助金には条件がある場合がありますので、担当課にご確認ください。



一般質問

■経済活動継続のためにも新型コロナウイルス検査の充実を図るべき
伊藤浩之

国の対応が後手では効果も半減

 休校措置等に伴う休業での収入減等への支援の必要が言われてから、政府は、和牛や日本産水産物商品券、条件付き30万円の給付の検討等を経て、1人10万円の特別定額給付金の決定まで、約2ヶ月を要した。市長の所見は。

 閣議決定、国会審議等を経て、結果として4月30日に補正予算が可決されたと受け止めています。

検査体制拡充を

 経過はそうだが、定額給付は感染拡大防止策であり、給付が緊急事態宣言後になったのは時間がかかりすぎ。新型コロナとの共存には、必要な対応を素早く実施することが求められる。
 経済活動を停めることなく感染拡大対策を進めるために検査は大切。
 PCR検査のこれまでの状況は。

 1日最大で合計108検体の検査ができ、1日最大の検査数は34検体です。

 濃厚接触者の検査は。

 基本的に自宅待機で、症状に応じて検査しました。一部の方は社会的な影響も考えて、早期に検査しました。

 北九州市は濃厚接触者全員の検査を実施し、6月1日までに確認された113人の陽性者のうち61人が無症状で、うち濃厚接触者は約9割だった。
 検査対象の拡大で、無自覚のままに感染増加をもたらす事態を回避できる。検査拡大への対応は。

 濃厚接触者は速やかに検査を行うよう変更されたことを踏まえ、県と連携し、検査体制の拡充のほか、唾液によるPCR検査などを取り入れ、より迅速で円滑な検査体制構築に医師会、地域医療機関と連携し対応します。

 新型コロナ拡大に伴う医療機関への支援策への対応は。

 5月26日に、中核市市長会から国に医療機関の経営安定化の財政支援を要望しました。


■準備が進む国保の県統合に向け低所得に配慮した国保税求めよ
溝口民子

自営業者も傷病手当の対象に

 7割、5割、2割の国保税の法定減免の該当世帯は6割以上に及んでいる。県内統一後に低所得者世帯に配慮した国保税の仕組みとなるよう求めてきた経過があるが、その後の状況は。

 今年度、県が「県国民健康保険運営方針」を見直すこととし、保険料水準の統一も具体的議論が行われますことから、低所得者世帯に配慮した対策を講じるよう要望して参ります。

 5月臨時会で国保加入の労働者に傷病手当金を支給する条例改正をしたが、自営業者は対象外である。本市が、対象外にした理由は。

 自営業者等の個人事業者向けには「持続化給付金」などの経済対策支援が実施されており、感染拡大防止のためには、労働者が休みやすい環境整備が重要であると考え、傷病手当の支給対象としました。

 1兆円の地方創生特別交付金を使い、対象拡大できるのではないか.

 様々な個人業者への支援を行っています。国保会計だけでなく、市全体で対応するものと考えます。

国保の子ども均等割額の減免を

 子どもの均等割り額減免を実施している自治体は、全国で24市5町に広がっている。本市で実施した場合のデメリットは。

 18歳までの加入者がいる世帯に実施すると、単純試算で約1憶4,500万円の減収が見込まれます。法定軽減でないため国県の財源補てんがなく、国保会計の新たな財政負担となります。

 全県的な実施実現に向け、本市は率先的に行動をすべきでは。

 国保加入者に特化した子育て支援策となり、受益者負担の観点から公平さを欠くものです。支援は市全体の施策として進めていくべきものと認識しています。


■夏井川の河川改修だけに頼らない水害防止対策を
渡辺博之

昨年の台風は計画流量を超える

 今年3月から夏井川の災害復旧事業が進められているが、昨年の台風の雨量では氾濫しなくなるのか。

 70年に1度の確率の豪雨を基準に整備しており、昨年の台風の雨量では計画流量を超えますが、氾濫せずに流下させることができます。

 国の河川審議会は平成12年の中間答申で「我が国の治水対策は、流域に降った雨水を川に集めて海まで早く安全に流すための河川改修とされてきたが、限界を生ずるようになってきている。従来の河川改修と合わせて、雨水の流出抑制対策及び、河川の氾濫等による水害の軽減対策がきわめて重要となっている」と指摘しています。

県は小玉ダムの事前放流検討を

 県は、大雨が予想される場合には、高柴ダム等を事前に放流し、洪水調節のための空容量をつくる計画です。一方、小玉ダムは放流ゲートが小さく事前放流が難しいと県は説明していましたが、検討するようになったことが示されました。

 小玉ダムでは、台風シーズン等に一定程度貯水量を減らして、大雨の予報で更に放流して洪水調節の空容量を作るべきでは。

 県の事前放流の検討状況を注視したいと考えます。

ため池の「洪水調整マニュアル」作成へ

 豪雨が予想される時には、農業用ため池の水位を事前に下げて、豪雨時に貯水できるようにすべきでは。

 新たに「ため池洪水調節マニュアル」を作り、洪水調節機能の確保に万全を期したいと考えます。


国民健康保険税・本年度の税率は据え置き

 本年度の国民健康保険税は、基金を繰り入れることで前年度同様に据え置かれることになりました。また、法定の2割、5割の軽減額の該当する基準が拡大され、低所得世帯の負担の削減が図られます。一方、課税限度額が3万円引き上げられ99万円となりました。




処理水対応の国民的理解に国が責任を持つべき


質疑で明らかになった国の不十分な取り組み

 資源エネルギー庁が設置した「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」が2月、多核種除去設備で処理後のトリチウムを含む処理水の対応について、海洋放出が「より確実に処分を行うことが可能」とする報告書をまとめています。
 報告について、同庁は漁業や農業はじめとした産業や自治体の関係者から意見を聴く機会を設け、県内の地方議会でも説明と意見聴取を行いました。いわき市議会は、新型コロナウイルス感染症の拡大で、緊急事態宣言が発令されたこと等を踏まえ、当初予定した全員協議会の予定を変更し、同庁と2度に渡る文書による質疑を行ないました。

国の対応方針決定前に意見を聞かず

 同庁の回答では、「時間をかけて検討するものではない」「スケジュールありきで進めるものではない」としながら、関係者等の意見を聴いた後に、政府が対応方針案を示して再度意見を聴く考えを持っていないことが浮き彫りになりました。

トリチウム等国民への説明不十分

 また、国は風評被害があれば賠償などの対応をしています。しかし、この被害を抑えるためには、トリチウム等の人体や環境への影響などを広く国民に知らせ、その理解を広げることこそが重要です。しかし、この間の政府の取り組みは、県内イベント等での説明にとどまり、幅広く国民向けの説明はほとんどされていないことが分かりました。風評被害対策に取り組む、国の消極姿勢は明らかです。


請願・意見書

 6月定例会には市民団体から、トリチウムを含む多核種除去設備の処理水について、請願を採択して欲しいと5月28日に、各会派に要請がされました。
 議会内では、処理水についての考え方に、会派間で違いがありますが、要請を受け、複数の会派が市民団体にそれぞれの考えを伝えました。
 この結果、6月10日、市民団体から提出された請願「『多核種除去設備等処理水』の処分決定に関する請願書」の項目は、①「政府の処分方法案を公表」し「関係者からの丁寧な意見聴取」を行なうこと、②国民に向けた「処理水の安全に関わる情報発信」と「風評対策の拡充・強化」をあわせて示し「国民の理解と合意」を広げる、③それまでの間は、処理水の「陸上保管の継続」の意思表明を「明確な文書」で市に求める内容となりました。
 請願の紹介議員は、志帥会、共産党・共同、創世会の3会派・3議員がなりました。
 同日、ほぼ同一の内容ながら、処理水の「陸上保管」の文言がなかった2月定例会の志帥会提出の意見書は、創世会が6月定例会も態度を保留したため廃案となりました。
 一方、請願を審議した政策総務常任委員会は12日、全会一致で採択すべしの判断を下し、本会議でも採択される見通しが開かれました。
 これを受け、15日、会派間で協議した結果、新たに請願と同趣旨の意見書の採択をめざすことになりました。
 「多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書」はこうして全会派一致で採択されました。


■国の丁寧な説明と理解で処理水対応決定を
一般質問・伊藤浩之


 市議会と資源エネルギー庁間の文書質疑で、トリチウムの安全性説明の国の取り組みは、福島県内等のイベントにとどまっていた。市長の所見は。

 未だに安全性や風評被害への懸念の声があり取り組みは十分とは言えません。トリチウムの化学的性質や人体への影響等についての情報発信強化と理解の拡大、今後の対策とその効果を明示するよう、改めて求めています。

 回答は、現在の意見聴取の後、一気に多核種除去設備処理水対応の政府方針を決定する考えを示しており、丁寧さにかける。政府案への意見徴収と、理解を広げてからの決定を求めては。

 国が、幅広く丁寧に説明し理解を得ながら、前面に立ち責任を持って対応することが重要です。関係者はじめ国内外からも広く意見を聞き、理解を得ること、拙速な結論ではなく、あらゆる可能性の検討結果をあらためて説明し、理解を得ること等について、強く求めています。

 資源エネルギー庁は「スケジュールありきで進めるものではない」と言っている。国に、少なくとも関係団体等の多くが放出に反対している状況では放出という方針を出すべきではないと求める必要があるのでは。

 時期ありきではなく、理解を得ながらの方針検討が重要と考えています。国が責任をもって前面に立ち、本市を含めた幅広い関係者や一般の方々からの意見を真摯に受け止め、具体的な風評対策を示し、理解を得ながら方針を決定するよう、機会をとらえて、強く求めていきたいと考えています。


■一般質問・溝口民子
無料低額診療事業の拡大を


 2019年1月から2ヶ所の医療機関が無料低額診療事業を開始したが、申請件数は。

答 本年3月末日までで、6件の申請があり、5件が承認された。

 この事業は、生活保護や国保法44条(市町村が特別な事情により医療費等の減額や免除等をできる)に繋げるための応急対応に過ぎず、国保法44条の減免を名ばかりにしない取り組みが必要。市内の医療機関に対して本制度を広げるための考えは。

 実施主体となる公益法人自らが、その実施を判断するもので、市が要請することは困難であると考えます。

少人数学級を進めるべき


 気軽に相談できるスクールカウンセラーや学習指導員などの人的体制強化は。

 悩みに関する対応については、必要に応じてスクールカウンセラー等を活用し、また、県のサポートティーチャー派遣事業などを活用しながら取組んでいます。

 現在30人程度学級となっていますが、更に少ない少人数学級を進める考えは。

 少人数学級を進めることについては、国、県による学級編成基準の見直しが必要となりますが、現段階では、その見通しが立っていないものと、認識しています。


■一般質問・渡辺博之
総合的な水害防止対策を


様々な対策を

  霞提とは、切れ目がある不連続の堤防のことで、河川が増水した時に意図的に水田等に氾濫させて、河川の流量を減らすものだ。霞提の設置についての考えは。

 郊外の宅地化されていない広大な田園地域では、有効な治水工法だと考えます。

 内水反乱で河川事業と下水道事業の連携は。

 より一層強化し、都市部での浸水対策を推進したいと考えます。

総合対策を協議する体制を

 国の河川審議会は、総合的な水害対策が必要だと指摘している。
 しかし、県が主催する「いわき方部水災害対策協議会」では、総合的な対策は協議されておらず、また、私は、県や市の関係部署等に話を伺って体制ができていないと感じた。住民参加で知恵を出し合う体制にするよう、市は努力すべきでは。

 流域全体の総合的な治水対策を進めるために「いわき方部水災害対策協議会」が有効だと認識しており、引き続き対策を進める中で、市民の役割や意見の反映方法、推進体制のあり方等について提案し助言を求めたいと考えます。


市営住宅の共益費を市が徴収できるようにすべき

 市営住宅の共益費の徴収には、そもそも徴収が困難、浄化槽設置の団地では徴収額が年間1,000万円以上になり管理が大変という問題などがあります。仙台市は以前から市が徴収しており、京都市では今年4月から希望する団地で市が徴収するようになりました。

 市営住宅の共益費を市が徴収できるようにすべきでは。

 共益費の滞納者に対しては市の滞納対策専門指導員等が戸別訪問を行う等、徴収支援に取組みたいと考えます。


次期定例会は7月16日の開会予定です。請願・陳情の提出等何でもお寄せください。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿