伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

「これが答えだ!少子化問題」読み終えた

2019年02月16日 | 読書
 先月の視察の時に読み始め、もう少しで読み終えよるところだった「これが答えだ!少子化問題」(赤川学著、ちくま書房)を読み終えた。13年前に「子どもが減って何が悪いか!」を出版して、その続編という意味合いがあるだという。



 ざっくり内容をいうと、少子化対策を喧伝して様々なことをしようとしている、あるいはしているが、キャリアアップや豊かな生活を求めるという「生活期待水準」が高い社会では、より多くの結婚・出産・育児に対する支援を求めるようになるため、あまり役だたない。従って増田リポートの少子化対策関連の提起や外国の物まねの施策などは基本的に対策ならないと批判する。

 「子どもが減って何が悪い」という視点をお持ちの方だから、批判で終わるのかと思うと、そうでもなく、ご自身の視点として、少子化対策に必要な3つの視点を据えて、本書を終えた。何かというと、(1)現在の少子化を「国家存亡の危機」などと不必要にあおらない、(2)少子化対策を、政治家や官僚の手柄政争の具にしない、(3)さまざまな福祉施策を少子化対策の名のもとに行うことをやめる――この3点だ。

 なぜなのか、本書を読んでいただければわかるが、3点目だけ少し詳細すると、誰もが等しく生きられる社会のための施策を粛々と進めることが大切なことを指摘している。興味深い提起だ。

 確かに、現代社会では、政治の場面でも少子化対策と子育て支援が同じ土俵で議論され、政治主導のもとに子育てしやすい職場づくりなどが展開されたりしている。筆者は指摘しているが、これは、「国家によるセクハラ」だという。確かに、子どもを持とうと思っていない人、あるいは持てない人にとっては立派なセクハラになりそうだ。

 以前、産児制限などの過去の政策の結果と現在の若者たちの置かれている環境を考えれば、少子化が止まることはない。だからそれを前提にした社会づくりをしなければならないという講演を聴いた。その観点から本書に興味を持ったのだが、考えるに興味深い指針をいただいたと思う。




 読み終えたのは今朝。

 入院2日目の朝となるが、南向きの病室に陽が射すと、鏡の反射と思うが、ベットのシーツに虹が浮かんだ。



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