伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

童話「風がはこんだ物語」を読んだ

2019年03月28日 | 読書
 議会改革特別委員会が開かれた。議会基本条例作りに向けて具体的に一歩を踏み出す会議だった。次回までにどんな形にしていくのか、各委員の会派の意見をまとめてもらうことになった。

 新聞の本の紹介コーナーにあった「風がはこんだ物語」(ジル・ルイス文、ジョー・ウィーヴァー絵、さくまゆみこ訳)が気にとまっていた。

 取り寄せ、さっそく読んでみた。




 舞台は難民船。戦争から逃れるために乗り込んだボートの乗員たちが、夜の不安の中で、ラミの奏でるバイオリンの語りに耳を傾ける。ラミは乗り込む時にバイオリンが入ったケースだけを手にした。これだけは手放すことができなかったからだ。ラミの物語をこのバイオリンは全て覚えていたからだ。

 ラミのバイオリンが語る物語は、スーホーの白い馬。雪の中スーホーに助けられた野馬の子馬は、立派な白い馬に成長し、スーホーを乗せ競馬大会で黒い地主の黒馬を破った。激怒した黒い地主は白い馬を奪い虐待した。やせ細った白い馬は、スーホーを背に乗せ、後の力を振り絞って夜空のもとに駆け出した。生きてというスーホーに白い馬は・・。

 白い馬の言う通り、白馬の骨と皮を使って楽器を作った。その楽器が紡ぐ歌は土地にあふれ、耐えられなくなった地主は人々の前から消えた。

 バイオリンが語る物語は、ボートの人々の戦場の悲しい体験と重なった。人々はこの物語を忘れないと誓った。

 おおよそ、こんなお話だが、結びの言葉に希望が見える。

 風が出て
 海が荒れている
 それでも ささやかなボートは
 ささやかな望みをのせている


 どこか哀愁が漂う物語。希望はその中に静かにしみこんでいる。そんな物語だった。


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