伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

風の谷のナウシカと福島

2019年01月04日 | 文化
 風の谷のナウシカを見た。



 何回目だろう。今日の放送はノーカット版ということで、その意味では久しぶりの鑑賞ということになるのだろう。

 物語は、人類が開発した全てを焼き払う能力を持つ巨神兵の戦争から1,000年後、汚染された環境の中で人類が細々生きる未来を舞台にすすむ。人類が住む地域と、人類が住むことができない蟲に支配される腐海とよばれる地域に分断された世界で、自然に全てをゆだねて生きようとする風の谷の人々と、生きるために過去の遺物である巨神兵を利用しようという人々との価値観の違いを軸にすすむ。蟲は過去の人類の誤りを背負い、汚染を攪拌する存在として描かれる。蟲が支配する腐海の森は、汚染された土地を浄化する役割を持っていた。蟲は、実は生存環境再生の擁護者としての絶大な力を持っていたということになる。

 ナウシカは腐界の役割を理解し、蟲にも思いを寄せる。その眼差しは、汚染された世界が美しくよみがえる未来に注がれているのだろう。



 風の谷のナウシカは、たしか、全人類を何度も破滅させることができるといわれる程多数の核兵器が核保有国によって保有される中で、核戦争後の世界の再生を描いたものだったと記憶している。巨神兵は核兵器の象徴ということか。征服し支配しようとする道には未来はなく、共生にこそ希望の道が開かれることを訴えているように思う。



 東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の拡散という状況は、ナウシカの世界と重なる世界を見せた。ただ幸いにナウシカのように人が住めない程ひどい汚染ではなかった点に違いはあるが。

 腐海の森の役割は除染作業及び雨等による自然減衰が担い、安心と安全を高めながらかつての営みが取り戻されてきた。植物が吐き出し人を排除し腐界を守っている瘴気は、さしずめ除染廃棄物ということになるだろうか。これも生活環境から排除する作業がすすんでいる。

 福島で生産されるコメなどの農産物は検査がされ安全性が確認されており、食べても何の問題もない。私自身、実際に、自宅の畑で採れた野菜を毎日食べている。最近は、計測していないが、以前2度ほど(うち1度は事故原発の視察に入る際)ホールボディーカウンタの計測でセシウムが検知されたこともない。

 ネットでたまに見かける、福島は危険とするような書き込みは、現実をしっかり見た上で判断してほしいと思う。福島は危険というのは、そこに住む人々のことを思ってのことからもしれないが、現実からかけ離れた評価は人々を傷つけ苦しめることになる。

 物事をしっかり見て、ありのままの情報発信をすることが、風の谷のナウシカが描いた共生による希望を広げることにつながるのじゃないだろうか。

 ナウシカを見た後、何となくそんなことを書いてみたくなった。



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