以下が討論の原稿です。
政策総務常任委員会での討論
議案第37号、令和2年度いわき市一般会計予算に反対の立場から討論いたします。
個人番号・マイナンバー制度
本案に反対する理由の1つ目に、2款総務費1項総務管理費7目企画費のうち地域情報化推進事業費に含まれる中間サーバー・プラットフォーム運用経費に係る交付金や、マイキーID設定支援事務委託料など、マイナポイントに関する予算の問題です。
個人番号制度、いわゆるマイナンバー制度は、そもそもそれぞれの自治体が活用の判断ができると執行部が答弁してきた経過がありますが、本市は国の方針を受けながら、その整備を進めてきました。
この間の審議では、マイナンバーカードの普及が進まず、政府にとって都合の良い制度も、国民にとってはさほど歓迎されるものではなく、この制度によって交付される個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードは、全国的に13%程度の国民が取得するにとどまっており、本市では昨年8月末段階で10.6%にとどまる状況が明らかになっていました。
政府はこの対策として、カードのICチップの空き領域を活用して、カードを保険証として使用するなど、カードを国民に事実上強制する措置を打ち出し、今、準備されているのがオリンピック後に予想される景気後退に対応するマイナポイント――カードと民間のキャッシュレス決済を紐づけして実施するマイナポイント制度です。
マイナンバーカードを所有する者が、民間のキャッシュレス決済を利用した場合、最大で5,000点のポイントを付与する制度で、総額2,500億円がこれにあてられるといわれています。
この制度で利益を享受できるのは、民間カード等の決済を活用している国民であり、比較的若年層で経済的にもゆとりがある層と考えられます。経済的に困窮する層にはほとんど恩恵が及ばないと考えられ、経済格差をいたずらに拡大するような、このマイナポイント制度には問題が多いものと思います。
本予算には、このマイナポイント導入の準備のために個人番号カードと民間カードを紐づけるための準備に要する費用などが含まれ、問題があると考えます。
また、以前からマイナポータルを利用して民間カードを統合するなどのマイナンバーカードの活用策が検討されるなどしてきましたが、今回の措置は、こうしたことの実験的な取り組みとも見えてきます。
マイナンバーカードの民間への活用拡大を図ることが、個人情報の漏洩の危険性を高めかねないとも考えられ、こうした措置には、この点からも問題があるものと思います。
自衛官募集事務費
2つ目は、第2款総務費1項総務管理費14目諸費の自衛官募集事務費です。
政府の憲法解釈のもとで、長らく個別的自衛権の発動たる専守防衛のための組織とされてきた自衛隊は、安倍内閣の一片の閣議決定で変更された憲法解釈のもと、集団的自衛権を担う組織とするために、その一歩として政府与党の多数のもとで安保法制が定められました。
この法制のもと、米軍との共同作戦が可能となり、早速、海上自衛隊と米海軍による共同訓練が行われたり、武装して紛争地に分け入る駆けつけ警護の任を帯びた部隊が内戦状態にあるソマリアに派遣されるなど、着々と海外派遣の実績が積み上げられてきました。
米国がイランとの核合意から一方的に離脱したことに端を発し、両国の対立が深まり、米国は有志連合構想を呼びかけました。
これを受けた我が国は、連合構想に直接参加せず、防衛相設置法の「所掌事務の推敲に必要な設置・研究」を根拠として、「調査・研究」のための情報収集活動にあたるとし、独自にP3C対潜哨戒機と護衛艦を派遣、イラン近海での活動を始めています。
この派遣は、法的根拠があくまで防衛省の事務規定であり、自衛隊海外派遣の根拠になりえず、拡大解釈による派遣の強硬だと批判がされています。また、収集した情報は、民間船舶のみならず、米国などにも提供するとされており、軍事行動の一翼を担うと判断されかねない事態もあります。
安保法制は憲法違反というのが大方の憲法学者の意見と伝えられており、憲法上からも、法律上からも問題となりかねないような自衛隊の運用を図る政府の姿勢には、市民共通の願いで採択された本市非核平和都市宣言の恒久平和の実現の理念から考えても問題があると考えます。
新入隊員の激励会に寄せる市長の言葉には、この間の政府の自衛隊の運用を是認するような言葉観られず、専守防衛の観点からの激励となっているようで、抑制がきいた内容とは思いますが、同時に法定受託事務として政府側から求められ散るものは、政府の考えに即して自衛隊を激励することとしか考えられず、これに対しては、市の宣言の立ちから、何らかの異論をさしはさむことも必要と思われます。
また、自衛隊の入隊者数は、25人程で推移してきたものが、本年度は17名に激減しており、全体としても定員割れが続く現状にある防衛相は、その理由に景気の回復と少子化があげているといいます。
一方、防衛大学校卒業生に任官拒否があるのは、安保法制によりリスクが高まる中、景気回復が進んできた民間への就職を選ぶからだという見方もあり、こうしたことを考え合わせると、自衛隊の災害活動を目の当たりにして、人の役に立ちたいという善意の思いと、自衛隊の入隊の現実に乖離が大きくなっていることを見てとることができます。
こうしたことから、激励会開催を本市が受託し、その準備作業に携わることには問題があり、開催を見合わせる予算とすべきと考えます。
以上、討論してまいりましたが、議案第37号には問題がありますので、是正を求めるため反対とすべきものと考えます。みな様のご賛同を心からお願いして、討論といたします。
政策総務常任委員会での討論
議案第37号、令和2年度いわき市一般会計予算に反対の立場から討論いたします。
個人番号・マイナンバー制度
本案に反対する理由の1つ目に、2款総務費1項総務管理費7目企画費のうち地域情報化推進事業費に含まれる中間サーバー・プラットフォーム運用経費に係る交付金や、マイキーID設定支援事務委託料など、マイナポイントに関する予算の問題です。
個人番号制度、いわゆるマイナンバー制度は、そもそもそれぞれの自治体が活用の判断ができると執行部が答弁してきた経過がありますが、本市は国の方針を受けながら、その整備を進めてきました。
この間の審議では、マイナンバーカードの普及が進まず、政府にとって都合の良い制度も、国民にとってはさほど歓迎されるものではなく、この制度によって交付される個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードは、全国的に13%程度の国民が取得するにとどまっており、本市では昨年8月末段階で10.6%にとどまる状況が明らかになっていました。
政府はこの対策として、カードのICチップの空き領域を活用して、カードを保険証として使用するなど、カードを国民に事実上強制する措置を打ち出し、今、準備されているのがオリンピック後に予想される景気後退に対応するマイナポイント――カードと民間のキャッシュレス決済を紐づけして実施するマイナポイント制度です。
マイナンバーカードを所有する者が、民間のキャッシュレス決済を利用した場合、最大で5,000点のポイントを付与する制度で、総額2,500億円がこれにあてられるといわれています。
この制度で利益を享受できるのは、民間カード等の決済を活用している国民であり、比較的若年層で経済的にもゆとりがある層と考えられます。経済的に困窮する層にはほとんど恩恵が及ばないと考えられ、経済格差をいたずらに拡大するような、このマイナポイント制度には問題が多いものと思います。
本予算には、このマイナポイント導入の準備のために個人番号カードと民間カードを紐づけるための準備に要する費用などが含まれ、問題があると考えます。
また、以前からマイナポータルを利用して民間カードを統合するなどのマイナンバーカードの活用策が検討されるなどしてきましたが、今回の措置は、こうしたことの実験的な取り組みとも見えてきます。
マイナンバーカードの民間への活用拡大を図ることが、個人情報の漏洩の危険性を高めかねないとも考えられ、こうした措置には、この点からも問題があるものと思います。
自衛官募集事務費
2つ目は、第2款総務費1項総務管理費14目諸費の自衛官募集事務費です。
政府の憲法解釈のもとで、長らく個別的自衛権の発動たる専守防衛のための組織とされてきた自衛隊は、安倍内閣の一片の閣議決定で変更された憲法解釈のもと、集団的自衛権を担う組織とするために、その一歩として政府与党の多数のもとで安保法制が定められました。
この法制のもと、米軍との共同作戦が可能となり、早速、海上自衛隊と米海軍による共同訓練が行われたり、武装して紛争地に分け入る駆けつけ警護の任を帯びた部隊が内戦状態にあるソマリアに派遣されるなど、着々と海外派遣の実績が積み上げられてきました。
米国がイランとの核合意から一方的に離脱したことに端を発し、両国の対立が深まり、米国は有志連合構想を呼びかけました。
これを受けた我が国は、連合構想に直接参加せず、防衛相設置法の「所掌事務の推敲に必要な設置・研究」を根拠として、「調査・研究」のための情報収集活動にあたるとし、独自にP3C対潜哨戒機と護衛艦を派遣、イラン近海での活動を始めています。
この派遣は、法的根拠があくまで防衛省の事務規定であり、自衛隊海外派遣の根拠になりえず、拡大解釈による派遣の強硬だと批判がされています。また、収集した情報は、民間船舶のみならず、米国などにも提供するとされており、軍事行動の一翼を担うと判断されかねない事態もあります。
安保法制は憲法違反というのが大方の憲法学者の意見と伝えられており、憲法上からも、法律上からも問題となりかねないような自衛隊の運用を図る政府の姿勢には、市民共通の願いで採択された本市非核平和都市宣言の恒久平和の実現の理念から考えても問題があると考えます。
新入隊員の激励会に寄せる市長の言葉には、この間の政府の自衛隊の運用を是認するような言葉観られず、専守防衛の観点からの激励となっているようで、抑制がきいた内容とは思いますが、同時に法定受託事務として政府側から求められ散るものは、政府の考えに即して自衛隊を激励することとしか考えられず、これに対しては、市の宣言の立ちから、何らかの異論をさしはさむことも必要と思われます。
また、自衛隊の入隊者数は、25人程で推移してきたものが、本年度は17名に激減しており、全体としても定員割れが続く現状にある防衛相は、その理由に景気の回復と少子化があげているといいます。
一方、防衛大学校卒業生に任官拒否があるのは、安保法制によりリスクが高まる中、景気回復が進んできた民間への就職を選ぶからだという見方もあり、こうしたことを考え合わせると、自衛隊の災害活動を目の当たりにして、人の役に立ちたいという善意の思いと、自衛隊の入隊の現実に乖離が大きくなっていることを見てとることができます。
こうしたことから、激励会開催を本市が受託し、その準備作業に携わることには問題があり、開催を見合わせる予算とすべきと考えます。
以上、討論してまいりましたが、議案第37号には問題がありますので、是正を求めるため反対とすべきものと考えます。みな様のご賛同を心からお願いして、討論といたします。
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