伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

行く川のながれは絶えずして・・

2016年03月15日 | いわき市
行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし・・。
鴨長明 方丈記より


 議会棟の市議団の控室から空を見上げていたら、なんとなくこんなフレーズが浮かんできました。

 いわき市議会2月定例会は、本日は9時から議会運営委員会が開かれ、最終日の新たな日程として副市長に関する人事案の追加提案と、歯と口腔の健康に関する条例案の修正案提案が追加されることが確認され、その後、東日本大震災復興特別委員会が開かれました。

 委員会終了後、市議団の控室に帰ると、窓の外は青空。天頂近くにあるお日様(寒さの中に暖を感じさせるありがたさを感じる日々なので感謝を込めてきょうはこの呼称で)の側を次々と雲の塊が通り過ぎていきます。

 この様子が方丈記の冒頭を思い起こさせたのです。

 お日様の側を通り過ぎる雲は、虹色に染まり、通り過ぎると空に溶けこむように消えていきました。「かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし」の言葉通りです。





 以前、雲を見て地震を予測して的中させるいわゆる地震雲予言の“ペテン師”の謎解きをした本の中で、生じては消えていく雲があることを指摘していたのを読んで、「ほぉー、そんなものか」と思ったことがありました。

 地震雲の方は、確か、あらかじめ自分あてに出して消印が押された封筒を準備(差し出し人だけ書いて投函したと記憶しているけど)。次に地震雲が発生したので地震が起こると予言した文書を書いて、地震以前の消印がある封筒に封入。その後、知人の自宅のポストに自分で投函するという手口だったかな。知らずに読んだ知人は“すごい”となり、それを繰り返すと、100発100中の地震予言となる。大筋こんな話だったと記憶しています。

 問題の、生じては消える雲は、雲を消す超能力者の話の中で紹介していたような。数ある雲の中から特定の雲を指差して、「あの雲を超能力で消す」と宣言すると、間もなく本当に雲が消えてしまうというような話です。ご推察通り、実際にすぐに消えてしまうような雲は存在するので、雲の中から消える雲を選別することができれば、誰でもできるお手軽な“超能力”なのです。

 それはともかく、現実に、目の前で消えていく雲を見ると、自然の醍醐味というか、不思議を感じましたね。

 会議終了後は、議会報告「ほうれんそう」の原稿書きです。3日の質問終了直後には議会事務局から原稿を書くよう言われていたのですが、なかなか手につきませんでした。質問のどの部分を選ぶのか。自分の発言も予定稿通りということはありませんし、通告外の質問部分は、録音を聞いて活字におこさなければ原稿にすることができません。そこに、なかなか手をつけることができなかったので、伸び伸びになっていたのです。

 きょうが原稿の締め切りと言われていたので、議会最終日に向けた準備もありましたが、ここは腹をくくってやらなければなりません。結局、夕方までかかって原稿にしました。

 わずか「13字×54行」の原稿なのですが、書き起こせば1万6,000字程度になる質問と答弁から、ピックアップする部分を選んで、それを指定の分量に納めるのはなかなか悩む作業です。

 まずは質問の録音を聞いて、原稿を書き始めました。夕方5時半、勤務時間は終了していますが、書き終えた原稿を持って事務局に行くと、まだ仕事をしていました。1行だけオーバーしていた原稿を、担当者に「禁則処理などをした上でオーバーするようなら、最後の2行を削って」と手渡したのですが、さすが事務局と思い知らされました。別の行にある質問の末尾の「『何か』という部分を削れば1行減りますから」と即座の返答。この素早い判断に感服しました。

 しかし、原稿を書いていて思います。ここにも「行く川の流れは絶えずして しかも本の水にあらず」という世の本質があらわれているのだなぁーと。

 質問をする時は基本強気。自分の言いたいことは正しいという思いで、押せ押せの気持ちで論をすすめます。それが終わって、今度は原稿書き。録音を聞き、原稿にしながら、今度は反省の時間を過ごします。自信と反省。気持ちが一つところにとどまることはありません。

祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色 盛者必衰の理(ことわり)をあらわす
おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ 偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ
平家物語


 ここにも似たような思想が現れていますよね。昔々の人たちが残した名文には、現代に通ずる普遍的な教訓が現れているようです。過去に学ぶということは大切とあらためて気づきます。

 それはともかく、2月定例議会はまだ終わっていません。明日は市議会最終日に向けて事務整理のため休会となりますが、一つは修正案提出、二つに討論に向けた準備をしなければなりません。相談事も入ってしまった。できるのだろうか・・。

 とにかくがんばらなくては、です。 


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