伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

じゃんがら念仏盆踊り大会と不戦の誓い

2013年08月17日 | 平和・戦争
 昨日の終戦記念日、遠野町では「じゃんがら念仏盆踊り大会」が行われました。51回目ということなのでだいたい1960年頃、すなわち私が生まれた頃には始まっていたのでしょう。なかなか伝統がある盆踊り大会ということになります。

 この盆踊り大会の特徴は、第1部で遠野地区の青年会や保存会が伝承する「じゃんがら念仏踊り」を披露して、第2部で盆踊りを実施(今年は私も見よう見まねで踊りました。なぜか子どもたちが脇について来て踊っていたので途中で抜けられなくなっちゃいました。15分あまりも踊っていたのでしょうか。なかなかハードでした)、第3部で戦没者慰霊の「じゃんがら念仏踊り」を青年会・保存会が一斉に演舞します。背景には花火が上がり幻想的な雰囲気。素敵な時間を過ごせます。

 参加者は400から500人もいたでしょうか。楽しい時間を過ごすことが出来ました。

 さて、その同じ日に東京では全国戦没者追悼式が行われました。

 この式辞で安倍首相は、1993年の細川首相依頼踏襲されていたアジア諸国への加害責任に言及せず、歴代首相が繰り返してきた「不戦の誓い」という表現を使いませんでした。「いわなくても『不戦の誓い』は前提としてあるのだから、目くじらをたてるほどではない」という論評も聴きましたが、この間、安倍政権をめぐる動きを考えれば、この表現の変更は大きな意味をもっているように思えます。

 第二次安倍政権になって安倍首相は、改憲をあけすけに狙ってきました。本丸の9条改憲をさけて、まずやりやすいところからと、96条改憲を言い出し、改憲の発議要件を衆参それぞれ3分の2の賛成とした規定を2分の1に緩和するよう主張していました。先の衆議院選挙では改憲の狙いは押し隠してきましたが、戦況終盤近く、選挙情勢で自民党優位が伝えられたことに気を良くしたのか、長崎国際放送のインタビューに「われわれは9条を改正し、その(自衛隊)存在と役割を明記していく」を言い出すなど改憲の狙いをあけすけに語り出していました。

 また、改憲に至る前にも、自衛隊の海外派兵をできるようにしようという動きも強まりました。長い間、現在の憲法のもとでは集団的自衛権を行使できないというのが歴代政府の公式見解でした。これは内閣法制局がこういう見解を堅持してきたことからとられてきた見解でしたが、この法制局長官に集団的自衛権行使を容認する立場をとる小松一郎氏(外務省出身)を送り込みました。内閣法制局の長官人事は次長から繰り上がるのが通例だといいます。内閣法制局の見解が、こうすることで維持できるという判断で行われているようです。今回のいわばクーデター的に行われた人事は、公式見解を変更し、集団的自衛権行使に道を開こうとする狙いがあるとみられています。つまり、日本の自衛隊が現実に戦闘行為に組み込まれていく方向が示されているわけです。

 そこに来て改憲に関わって麻生副首相の「ナチスに学べ」発言が飛び出しました。「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と発言したものですが、この発言を「全体とすれば、マスコミのリードで国民が喧騒の中で判断すると、かつてワイマール憲法というすすんだ憲法の中でも選挙でナチス政権が誕生した事例があったのだから冷静に議論すべき、という趣旨でナチスに学べと行っているのだから問題がない」を擁護する論調もあるようです。しかし、「手口」という言葉自体が「犯罪などのやりかた。また、その特徴」とされるように、あまり真っ当な意味ではないことを考えると、どんな意識を持って発言しているのかが疑われる内容であることは間違いありません。

 こうした状況の中で戦没者追悼式の首相式辞から「不戦の誓い」が消えてしまったのですから、これは大問題です。式辞の内容の変更は、安倍首相の強い要請があってのことだと報道されています。改憲で9条を変えて軍隊を持ち海外派兵をできるようにすることを狙い、集団的自衛権行使にも踏み出そうとしている状況を踏まえて意図的に消されたと考え方が自然でしょう。

 追悼式に参加した遺族は、99歳が最高齢だといいます。「最年長遺族の青柳よし乃さん(99)=埼玉県宮代町=は「今回が最後になるかもしれない」と参列を決意した。隣には長男夫婦が寄り添う。戦死した夫に「平和な世の中が続くように見守ってください」と祈る」。毎日新聞はこう伝えていました。また、NHKは同じ青柳さんのコメントをこう伝えました。「夫のことは一日も忘れたことはありません。夫に、子どもも孫もみんな丈夫に育ったことを伝えたいと思います。家族が死ぬのは嫌なので、絶対に戦争はしてほしくないです」と話していました。首相の式辞はこうした遺族の願いにも反しています。

 「盆踊り大会」の祝辞では、「68回目の終戦記念日です。みなさんといっしょに戦没者の追悼ができて良かった。また今日を平和を考える一日したいものです」と祝辞をしました。海外派兵と戦争参加に向けて着々と地ならしをすすめている安倍政権のもと、平和願う国民世論で包囲をするために力を尽くさなければならない。短い祝辞ですが、そんな思いを込めさせていただきました。


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