県知事の提案説明の「子ども・若者育成」の項で、知事は次のように説明したとされている。
「県立高校改革については再編整備を予定している全ての学校で高校改革懇談会が開かれた。引き続き丁寧に説明を行い、県教委と連携して魅力ある学校づくりを進める。」
「引き続き丁寧に説明」。現場で伝えられる住民の意見とだいぶ隔たりがある印象がある。
県立高校改革に住民の疑問が吹き出したのは、2016年12月の福島県学校教育審議会の中間まとめにさかのぼる。
まとめで、「1学年3学級以下の学校」は「地域の関係者等の意見も聞きながら」も「都市部も含めて統合を推進する」ことが盛り込まれた。文章の修飾を取り除いてみれば、小規模校は統合してしまおうと言っているに過ぎない。
この考え方から判断すると、いわき市内の県立高校のうち、勿来高校、小名浜高校、好間高校、四倉高校、そして遠野高校が統合の対象になることは明らかだった。
私が分かるのは遠野の事だけなのだが、まとめを受けて遠野地区では、いわき地区の学校教育審議会教育公聴会での意見発表及び傍聴に取り組み、また県議会には「県立高等学校改革の慎重な対応を求める」内容で請願書を提出し採択を得、また区長会が先頭に立って遠野高校存続を求める署名を広げ1万筆余を集約し、県教育委員会と県知事に遠野高校存続を求める陳情書を提出するなど精力的に存続運動が進められた。
県教委は2018年5月に、2019年度から2028年度を期間とする「県立高等学校会改革基本計画」を策定し、「1学年3学級以下の高等学校」は「地域における学校の役割に配慮」しながら都市部も含めて統合を推進する」と記載し、県学教審の中間まとめを引き継いだ方針を示した。住民にしてみれば、「地域関係者の意見も聴きながら」というまとめの言辞を信じ意見を一生懸命届けたのに、その意見は振り向かれもしなかったとしか受け止められない現実があった。
そして2019年2月、県教委は2019年度から23年度を期間とする「県立高等学校改革前期実施計画」を公表した。ここには、湯本高校と遠野高校を22年度までに湯本高校校舎で統合、小名浜高校といわき海星高校を21年度までに小名浜高校校舎で統合し実習はいわき海星高校校舎を利用する考えが示された。遠野地区の関係者が一生懸命届けた声は県の計画には活かされなかったわけだ。
その後、小名浜・海星高校の関係者等による高等学校改革懇談会、湯本・遠野校関係者による高等学校改革懇談会が開かれた。報道等によると、いずれの懇談会でも統合に対する疑義が出され、湯本・遠野高校の懇談会では「少人数教育の観点から、遠野校を存続させる声も上がった」(いわき民報、7月13日付)とされる。
こうした経過や地元の声を受け止める時、県教委及び県のとる姿勢として「丁寧に説明」だけでいいのだろうか。「丁寧に説明」は、小規模校を統合するという県教委の大方針を住民に理解することを求めるにすぎない。意見に耳を傾けるのは、新しい学校の「魅力」アップにつなげるためで、統合ありきの意見にしか耳を傾けないことになってしまうのだ。
本市は、6月定例会の私の質問に遠野高校の果たしている市内学校教育上の役割の観点から県に意見を伝えていくと答弁した。遠野高校の役割の観点からの意見を踏まえるならば統合ありきはあり得ない。教育上の同校の役割を果たすために統合した方がいいのか、あるいは、統合しない方がいいのか、さらに別の道があるのか。ある意味、これはゼロからの出発の議論と考えなければならないと思う。懇談会であらためて意見を出す場が設定されているのだから、出された意見が活かされる検討がされていかなければ、懇談の意味がないのだ。
県知事の言う「丁寧な説明」という考えでは、結局、県が決めた小規模校の統合を進めるために、統合を理解をしてもらうために説明するということにしかならない。これでは何のための懇談会なのか、単なるガス抜きのための懇談会なのか、という住民の憤りの対象になってしまうだろう。
県教委及び県は、今回の高校改革で高まった住民の高校教育への関心を活かして、統合の結論ありきではない検討を住民・関係者とともに進め、より住民が共感できる高校教育のあり方を模索すべきなのではないだろうか。
「県立高校改革については再編整備を予定している全ての学校で高校改革懇談会が開かれた。引き続き丁寧に説明を行い、県教委と連携して魅力ある学校づくりを進める。」
「引き続き丁寧に説明」。現場で伝えられる住民の意見とだいぶ隔たりがある印象がある。
県立高校改革に住民の疑問が吹き出したのは、2016年12月の福島県学校教育審議会の中間まとめにさかのぼる。
まとめで、「1学年3学級以下の学校」は「地域の関係者等の意見も聞きながら」も「都市部も含めて統合を推進する」ことが盛り込まれた。文章の修飾を取り除いてみれば、小規模校は統合してしまおうと言っているに過ぎない。
この考え方から判断すると、いわき市内の県立高校のうち、勿来高校、小名浜高校、好間高校、四倉高校、そして遠野高校が統合の対象になることは明らかだった。
私が分かるのは遠野の事だけなのだが、まとめを受けて遠野地区では、いわき地区の学校教育審議会教育公聴会での意見発表及び傍聴に取り組み、また県議会には「県立高等学校改革の慎重な対応を求める」内容で請願書を提出し採択を得、また区長会が先頭に立って遠野高校存続を求める署名を広げ1万筆余を集約し、県教育委員会と県知事に遠野高校存続を求める陳情書を提出するなど精力的に存続運動が進められた。
県教委は2018年5月に、2019年度から2028年度を期間とする「県立高等学校会改革基本計画」を策定し、「1学年3学級以下の高等学校」は「地域における学校の役割に配慮」しながら都市部も含めて統合を推進する」と記載し、県学教審の中間まとめを引き継いだ方針を示した。住民にしてみれば、「地域関係者の意見も聴きながら」というまとめの言辞を信じ意見を一生懸命届けたのに、その意見は振り向かれもしなかったとしか受け止められない現実があった。
そして2019年2月、県教委は2019年度から23年度を期間とする「県立高等学校改革前期実施計画」を公表した。ここには、湯本高校と遠野高校を22年度までに湯本高校校舎で統合、小名浜高校といわき海星高校を21年度までに小名浜高校校舎で統合し実習はいわき海星高校校舎を利用する考えが示された。遠野地区の関係者が一生懸命届けた声は県の計画には活かされなかったわけだ。
その後、小名浜・海星高校の関係者等による高等学校改革懇談会、湯本・遠野校関係者による高等学校改革懇談会が開かれた。報道等によると、いずれの懇談会でも統合に対する疑義が出され、湯本・遠野高校の懇談会では「少人数教育の観点から、遠野校を存続させる声も上がった」(いわき民報、7月13日付)とされる。
こうした経過や地元の声を受け止める時、県教委及び県のとる姿勢として「丁寧に説明」だけでいいのだろうか。「丁寧に説明」は、小規模校を統合するという県教委の大方針を住民に理解することを求めるにすぎない。意見に耳を傾けるのは、新しい学校の「魅力」アップにつなげるためで、統合ありきの意見にしか耳を傾けないことになってしまうのだ。
本市は、6月定例会の私の質問に遠野高校の果たしている市内学校教育上の役割の観点から県に意見を伝えていくと答弁した。遠野高校の役割の観点からの意見を踏まえるならば統合ありきはあり得ない。教育上の同校の役割を果たすために統合した方がいいのか、あるいは、統合しない方がいいのか、さらに別の道があるのか。ある意味、これはゼロからの出発の議論と考えなければならないと思う。懇談会であらためて意見を出す場が設定されているのだから、出された意見が活かされる検討がされていかなければ、懇談の意味がないのだ。
県知事の言う「丁寧な説明」という考えでは、結局、県が決めた小規模校の統合を進めるために、統合を理解をしてもらうために説明するということにしかならない。これでは何のための懇談会なのか、単なるガス抜きのための懇談会なのか、という住民の憤りの対象になってしまうだろう。
県教委及び県は、今回の高校改革で高まった住民の高校教育への関心を活かして、統合の結論ありきではない検討を住民・関係者とともに進め、より住民が共感できる高校教育のあり方を模索すべきなのではないだろうか。
このコメントをブログ本文に転載しても良いでしょうか。
ブログ本文の方が、より多くの方の目に触れると思いますし、より多くの方にこういう思いを持っている方がいることを知らせたいと思っています。
「遠野高校の特性を尊重しての統合なら」とおっしゃられています。問題はそれが活かされる統合にはならないとの懸念があるんです。
たしかに遠野和紙の作成を自分でやるようなことは湯本高校の校舎を活かしてもできるでしょうけれど、コウゾの栽培などの取り組みはできないでしょう。そういう地域を活かした取り組みだけでなく、少人数だからこそできていた遠野高校での学習、また、遠野地区にあるからこそ成立する安心できる教育環境の創造、これらは湯本高校校舎への統合では提供することができないと思えるのです。
統合方法は、遠野高校としての募集停止をすることはなく、統合時に遠野高校の生徒が湯本高校校舎で確保された教室に通うことになると聞いています。
一つは、こうした統合により生徒の学習環境、学校生活環境が激変します。その環境に生徒達がなじむことができるのかという懸念が生じます。
二つには、統合後しばらくすれば、新しい高校の学習と生活に平均化され、遠野高校に培われてきた学習や生活スタイルはなくなっていくのではないか、すなわち遠野高校の特性は消えてしまうのではないか、私はそんな懸念も持っています。
どんな子ども達も市内で高等学校教育を安心して受けることができるように措置しておくことが必要だと思います。この間、学んだり、お話を聞いてきて、そのために遠野高校はどうしても必要な高校だと私は思っています。
湯本高校、遠野高校の関係者による高等学校改革懇談会では、遠野高校関係者からの継続を望む声とともに、湯本高校関係者からも統合反対の声があったと聞いています。
それぞれがそれぞれの伝統と校風を育んできました。その伝統と校風は、教育のあり方、内容とも深く関わっているでしょう。ことなる物を無理に一緒にすることで、本当に新しい魅力ある高校が生まれるのか。双方の側から問いかけていくことが必要なのではないかと思っています。
決まったから仕方ないとあきらめず、少しでも良い物を次の時代に繋げていくために声を上げ続けることが大事なのではないかと思っています。
9月定例会には質問しませんが、次の定例会には、懇談会がどのような状況になっているのか、そして市としては何を求めているのか、確認のための質問をしてみるのも良いかもしれませんね。考えてみたいと思います。