伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

オトシブミ

2021年05月09日 | 
 新緑が伸びきった頃、風に揺られてる様子から見ると、葉っぱはまだ柔らかい。道端のコナラかクヌギの葉っぱにくるくる丸められているものがあった。その正体は良く分からず、とりあえず、葉巻虫と呼んでいた。

 自宅の庭にはバラが植えられている。毛虫が良くつく。放っておくと葉っぱが食べられ、丸裸になってしまう。ピンセットでつまんで駆除していると、葉っぱがつづら状に丸められていることに気がついた。



 あれ、オトシブミか・・。見ていると5mmの黒い虫が2匹重なっている。どんな虫か良く分からず、白い植木鉢皿に落としておいた。じろじろと見ながら、カメラを近づけたりしていると、2匹が離れて、それぞれの形態が分かった。黒い体に、首が長く見える肢体。葉巻虫の正体を調べて見たときに見た、オトシブミの姿が重なった。そう、オトシブミが、バラの葉を丸め、卵を産み付けていたのだ。



 卵を産み付けるために丸めた葉っぱは、揺籃と呼ぶという。オトシブミという名前自体がロマンチックだ。落とし文は、恋い焦がれる人に思いを伝えようと、恋する思いを綴った手紙を、その人の通り道にそっと落としておくものだという。思い人が、手紙を拾って読んでくれたらしめたもの。伝えられなかった思いを知ってもらうことができるわけだ。次から思い人が、自分を見る目も変わってくるだろう。

 誰か別の人が拾ってしまったら・・、そもそも拾ってくれなかったら・・、いろいろ疑問も湧いてくるが、こういう風習があった時代は、別人が拾ったら宛先の人に届ける、文が落としてあったら拾う、そういうお約束毎が、社会的に、あるいは若者社会にあったのではないだろうか。それはそれで、ロマンチックな物語になるそうだ。

 落とし文の巣が揺籃が落ちた様子から名前がつけられたようだが、名前がロマンチックなだけでなく、揺籃というゆりかごで子どもを育てるその習性にも、ロマンチックな世界観が広がるように思う。

 しかし、その姿はユニークだ。首がやたらに長い。いや、首というよりは頭がひょろっと長いのだ。写真のオトシブミは、その種の中のヒメクロオトシブミという。たんにオトシブミと呼ぶ種は、もっと首が長く見える。

 どんな理由があって、この形態を獲得したのだろうか。不思議でしょうが無い。

 ヒメクロオトシブミをカメラで追っていると、すぐに飛んでしまう。用心深い虫なのだと思う。





 首を上に伸ばしたと思った次の瞬間、どこかに飛んでいった。


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