伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

電力は足りているは実態を知らないと批判されたので考えてみました。

2014年03月01日 | 原発
 いわき市議会2月定例会の一般質問が3月3日まで行われています。そのうち27日質問に立った東北電力出身の議員は冒頭、「原発がなくても電力は足りているという主張は、あまりに需給現場の実態を知らない見方です」と発言。私は25日の私の代表質問で、「現在、日本では原子力由来の電力は供給されていません。その中でも火力発電所などの活用と、省エネがすすんだ結果、電力の供給が不足する事態には至っていません」と発言していました。これに対する反論だったのかな。直接の反論でなくても何か違うという感覚があります。ということでこの問題を考えてみたいと思います。




 この質問で「需給現場を知らない見方」の理由としてあげられたのは、
①東京が2月15日から16日にかけて発達した低気圧による大雪と厳しい冷え込みの影響で、最大電力が95%まで上がり、電力需要が逼迫、他の電力会社の緊急の電力融通を受けて何とか乗りきった、
②膨大な燃料費をかけて老朽化した火力発電所をもフルに稼働し、電気料金を値上げしている今の受給体制は決して正常とは言いがたい、
の2点でした。

 一点目のことを考えると、ああいう厳しい状況の中でも、融通しあうことで電力は足りたということなので、むしろ原発からの電力供給がない現在の状況でも、電力エネルギーをまかなえることの傍証になるような気がして仕方がないのです。しかし、電力側に立つと、そうではないということなのですね。「もし停電して、人の命にかかわるようなことがあったらどうするのだ」。そう批判する声が聞こえてきます。

 それでは95%を超えたということをどう考えればよいのでしょう。
 そこで電力使用量が増えた原因を探ろうとしてみるのですが、発言で取り上げられた生データは見つけることができませんでした。ちなみに東京電力で2月に最大電力量は以下のリンクの通りで、供給量に対して利用率が90%を超えたのは8日(95%)、11日(91%)、14日(94%)となっています。


東京電力の最大電力実績カレンダー=http://www.tepco.co.jp/forecast/html/calendar-j.html

 どの時間帯がピークだったかが分からないのですが、次の記事によると、14日は午後5時台にピークになったと伝えています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140215-00000038-spnannex-soci

 この日は金曜日だったので、事業所も普通に開いているし、夕方なので一定の方が自宅に帰って暖房を使い始めたことも想定されます。そこでこの時間帯を想定して考えてみました。

 事業用と家庭用がどんな比率で電気を使っているかを示す生データはないので、下記リンクの夏季最大電力使用時の推計を参考にしました。電力利用率は産業用・業務用の合計で7割をしめ、家庭用は3割という推計をしています。電力の比率は、おそらくこの推計と大きな格差はないとでしょう。電力の供給が95%を超え綱渡りの状況になったのは、主に産業・業務向け電力の影響ということができます。


夏季最大電力使用日の需要構造推計(東京電力)=http://www.meti.go.jp/setsuden/20110513taisaku/16.pdf

 おまけに家庭用のピークはもっとも少ない時間帯の1.8倍の使用量に過ぎないのに、産業・業務用は2.1倍に増えています。すなわち東京の電力需要を考えると、この産業・業務用を平準化させることに、もっと力を注がなければならない、ということが、推論されるように思うのです。

 そのためには産業・業務の分野での省エネ化の余地があるなら、これを大いにすすめる。また、地方分散化をはかる必要があるのでしょう。ところが、東京はミニバブルでオフィスビルが次々と建設され、さらに産業・業務の一極集中が図られる状況です。アベノミクスの影響もあるでしょう。こうして東京には人が集まり、地方では過疎と高齢化がすすんで行きます。こうした状況の克服が必要なのでしょう。

 また、このエネルギー源を例えば石油ストーブの導入など電気以外に誘導させることも必要でしょう。そのために防火の取り組みもしっかりすすめることが必要となるでしょうね。

 二点目は、だからこそエネルギーの多様化に力を入れましょう、火力発電所の高効率化に力を入れてエネルギー効率を上げましょう、ということでしょう。

 ちなみに火力発電に関して「膨大な燃料費」と言っていますが、記憶に間違いがなければウラン燃料を安く使えるのは、ウラン鉱脈探しから燃料製造に関わる技術開発をはじめ様々な場面で補助金が入っていることが一つの理由でなかったでしょうか。またウラン燃料は決して安くないという資産もあります。
「ウランとLNGの燃料費試算(『環境問題』を考える)原発は燃料費さえ火力発電に劣る!!」http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/602.html

 また現状で燃料費を膨らませている原因は、実はアベノミクスという指摘があります。代表質問でも触れているのですが、アベノミクスで円安が誘導された結果、原油や天然ガスなどの単価が上がり、輸入量はほぼ横ばいにもかかわらず、全体の燃料費負担を引き上げていると指摘されているのです。

 おまけに、事故のリスクや使用済み燃料の最終処理いわゆるバックエンド対策を全面的に電気料金などに反映ささていない現実がありますので、原発の電気料金が安いというのも言葉通りではないでしょう。

 以上、勝手な推論を展開してきましたが、原発推進の立場からは、つっこみどころが満載かもしれませんね。




 PM2.5の注意報が出た翌日27日から、だいぶ暖かくなってきました。28日の空気は本当にぬるくなっています。そういえばしばらく前から、ガのような虫が飛んでいるのを見かけることがありました。遠野高校のところで高校生が木の棒でヘビを持ち上げているのを見かけました。春が深まりつつあるのですね。28日朝には犬の散歩の途上、ヒメオドリコソウが咲いていました。


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