鵜方の町っ子なら誰でも知っているミート・ボールがこれ。というより肉団子かな。おやつに、おかずに、これが出るとみんな笑顔になったものだ。これを隠れた地域資源と呼ぼう。歴史的資源になるのはもう30年ほど待たねばならない。
料理研究会の席でひょんなことから話題になり、M夫人のお孫さんの大好物だっただとか、kiyoさんの懐かしげな微笑みや魔法のじゅうたんさんの絶賛もあって少し場がにぎわった。ぼくの個人的嗜好と自信がなくて控えめにふったネタに意外にも返った反応が大きく、知らず知らず背筋が伸びたものだ。
「ベニエじゃないっすかぁ!」
撮影のためにお皿を借りに行ったぼくにシェフの一声である。
「…?」
「いえフレンチでは衣揚げのことをベニエと言うんっす。天ぷら風ですけど、カリッとしてますよねぇ」
どう、最近の料理知識の、この豊かさは…。
シェフ作のクリスマス・ケーキを見せてもらった。さすがシェフ、ヒネリが利き、個性的で、センスは抜群である。単にアピアランス(見映え)がよいというだけでなく、ストーリーを感じたのはぼくだけだろうか。ここらがヴィアンフェ流。スマート&シャープ。で、味の方は…? 残念ながら見せてもらっただけ。ナイフを入れた瞬間を見たかった。
オセチも若干数こしらえると言う。フレンチのオセチ、というよりヴェル・ヴァーグ・ヴィアンフェのオセチとして楽しみだ。
高校生の駿がジャズに興味を抱いた。感染源はぼく。トロンボーンをフィーチャーしたカーティス・フラーの"FIVE SPOT AFTER DARK"をでっかい屁、鈴木章治とピーナッツ・ハッコーの二つのクラリネットが交差する「鈴懸の径」を可愛い屁と喩えた教え方が良かった。ズンズンズンズンとフォービートで自転車を漕いでバイトに向かう駿の姿が目に浮かぶ。