やはり「禁じられた遊び」なんだろうか、ギターという楽器に惹き込まれたきっかけは? いえ、「夜霧のしのび逢い」です、なんて声も聞かれたりする。わたしゃボサノバで。フラメンコってのもあったりする。高校時代、「カルカッシギター教則本」なんてのを持って来てたヤツがいたっけ。
契機となった楽曲で年齢が分かる
「子ども向けにジブリの曲を弾こうとしても歓んでくれるのは…たとえばトトロだって…もう二十代の立派な大人なんですよ」
とは、広垣進氏の言葉。音楽こそ世代によって大きな差異が生まれるような、そうでもないような。クラシック・ギターは面白い。深いし、胸を揺さぶられる。
で、今夜の会もいい会で素晴らしかった。地元甲賀の女性ギタリスト、小林恵子さんの「童神(わらびがみ)」、「アルハンブラの思い出」、「第三の男」とこれらの選曲の妙というか素直にすーっとギターの世界に包まれて行った。ふだん町ですれ違う方がこんな凄い才能をお持ちだとは存じ上げず、ましてや名古屋のコンクールで入賞されてらしたことも知らなかった。世の中は広い。小さい頃からお父上の薫陶を受けられたとか、素敵なギターとの出会いをされている。
今夜の広垣氏、ヴィラロボスの5つの前奏曲が素晴らしく心ときめいた。
- 第1番ホ短調~「叙情のメロディ」
- 第2番ホ長調~「カパドシオの歌」
- 第3番イ短調~「バッハへの賛歌」
- 第4番ホ短調~「インディオへの賛歌」
- 第5番ニ長調~「社交界への賛歌」
畏友K氏によると、このヴィラロボスというブラジルの作曲家はギター音楽史上に果たした役割が大きいという。こともなげに、さり気に広垣氏は弾きこなす。低音弦の豊かさ、それがメランコリックに沁みてくる不思議、初めての体験だった。