しみじみと物思う秋である。
とても寂しい?
灯台のように寂しい…。
レイモンド・チャンドラーの「かわいい女」の中の台詞だ。女性が尋ねる。フィリップ・マーロウが答える。短いセンテンスに鮮やかな情景がほの見える。男がギターの音色を懐かしむ瞬間か。
畏友北村氏に誘われてからというもの、クラシック・ギターの魅力にどっぷり浸かってる。多少なりとも腕に覚えのあるさっとんと違って、
ギターって指より一本弦の数が多いっしょ
との、ヘンな理屈をつけて遠ざかっていたのだが…。
秋の日のギターは弾けなくても、伝わるものがある。西洋の、何百年か昔から、連綿と受け継がれてきた音色が沁みてくる幸せ。大げさではなく、身近にあった音楽だ。北村主宰の解説が卓越していることの証左だろう。