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題名はT.P.Oを選ぶ

2005-03-15 22:51:22 | 本と雑誌
じっくり腰を落ち着けて読みたい本がある。かたや片付けなければならない諸々があって事情は許さない。
もっと時間がほしい。切に願うのはそういう時だ。何もかも打っ棄って没頭できたら、と願わずにはいられない。
検査でドック入りするという友人を羨んだことがある。当人の不安や恐怖に思い至るより、「いいなぁ、本が読めて」と言ってしまう。大した激励だ。
誰でもそうだろうが、当初、自制は利くものの、いつしか仕事への意志を上回るほど本に傾斜して行き、禁断の線を踏み越えてしまう。学生のころの司馬遼太郎の「 坂の上の雲 」がそうであったし、最近では、浅田次郎の「 蒼穹の昴 」が該当するだろうか。
ページをめくるのさえ惜しくなり、読破しているという実感よりも、残り薄くなる頁に読後の虚しさを予感し、怖れさえ覚えるようになる。文庫で数巻という量は圧倒するものがある。それでもページターンを急ぐのは健康だからできるのだろう。
その友人への差し入れは、「 八百万の死にざま 」、「 長いお別れ 」の2冊だった。突っ返されたのは言うまでもない。


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