
ここは奈良の依水園。県庁と東大寺の間あたりにある。
京都は市内全域が紅葉の名所だが、清水寺をはじめ東福寺も嵐山も人がいっぱいらしい。
そこで、あまり秋には訪れたことのない奈良へやってきた。

依水園は時代の異なる二つの池泉回遊式庭園からなる。
こちらは江戸時代前期に造られた「前園」だ。
奈良晒の将軍御用達商人の清須美道清が「三秀亭」という茅葺屋根の別邸と庭園を造った。

三秀亭から清秀庵を望む。前園は周りとは隔絶された空間を作っている。
また護岸の石組や灯篭の配置にも工夫をしているそうだ。

清秀庵の脇を抜けて進んでいくと目の前が開ける。「後園」だ。
明治の実業家、関藤次郎が茶の湯と詩歌を愉しむために築山式の池泉回遊式庭園を造った。
東大寺南大門や若草山や広がる空などを借景として「前園」と趣を異にする。

もみじの落ち葉を踏みしめて歩く。

水車小屋の横を下りて飛び石で小さな沢を渡る。

いろんな木々の紅葉が見られる。手前の低いのはドウダンツツジだ。

引き続き隣の吉城園(よしきえん)も鑑賞した。
吉城園は興福寺塔頭・摩尼珠院の跡地に造られた明治・大正時代の庭園で、
奈良県が昭和59年に取得して庭園鑑賞や茶会等に広く利用されるようにした。

園内には、この「池の庭」に加えて「苔の庭」と「茶花の庭」がある。

こちらが「苔の庭」で向こうに見えるのは茶室だ。

紅葉を見ながら3つの庭を巡り歩く。途中には隣の依水園の様子を窺える場所もある。

こういうアングルで見る紅葉も面白い。

茶花の庭の紅葉を逆光で見ると秀逸だった。
依水園と吉城園。さほど混雑もなく落ち着いて紅葉を楽しめた。