表紙素材は、ソラ様からお借りしました。
「ユーリ・オン・アイス」「天上の愛地上の恋」二次小説です。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
勇利とアルフレートが両性具有です、苦手な方はご注意ください。
二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。
「本気なの?」
「俺が冗談で、こんな事を言うとでも思っているの?」
「もしかして、僕の所為?」
「違うよ、俺自身が考え、俺自身で決めた事だ。ユウリの所為じゃない。」
「でも・・」
「もうこの話は終わりだ、いいね?」
「う、うん・・」
勇利とヴィクトルは、互いに気まずい空気を纏ったまま、バルコニーから去った。
「じゃぁ俺、先にホテルの部屋に戻るから。」
「わかった。」
「ユウリ、浮気したら承知しないよ?」
「し、しないって!」
バンケット会場の前でヴィクトルと別れた勇利は、アルフレートが待っているレストランへと向かった。
『すいません、遅れました。』
『いいえ、今来た所ですので。』
アルフレートがそう言った時、店員が二人の元にやって来た。
『ご注文はお決まりですか?』
勇利はコーヒーを、アルフレートはハーブティーをそれぞれ注文した。
『あの、僕に話したい事って・・』
『ユウリさんは、ヴィクトルさんとはどのような関係なのですか?』
『えっ』
アルフレートの直球過ぎる質問に、勇利は思わずコーヒーで噎せそうになった。
「ぼ、僕とヴィクトルは、コーチと生徒だけど・・恋人同士かなって・・」
『そ、そうなんですか?ごめんなさい・・』
『い、いえ・・』
アルフレートは少し困ったかのように、首の後ろを掻いた。
その左手薬指に、真新しい結婚指輪が光っている事に勇利は気づいた。
『あの、それは・・』
『これは、ルドルフ様・・あの方から贈られたものです。』
『え、それじゃぁ・・』
『来年の夏には結婚式を挙げるつもりです。』
『おめでとうございます。』
『ありがとうございます。実は、家族が増える予定なんです。』
アルフレートは、そっとまだ目立たない下腹を擦った。
『そ、そうなんですか?じゃぁ、スケートは・・』
『年齢が年齢なので、引退しようと思っています。ユウリさん、あなたとお話出来て良かった。』
アルフレートはそう言うと、勇利に微笑んだ。
『また、会いましょうね。』
『はい。』
勇利とレストランの前で別れたアルフレートは、ホテルの部屋へと戻った。
「お帰り、アルフレート。外は寒くなかったか?」
「はい。」
ルドルフに抱き締められ、アルフレートはそう言った後彼に微笑んだ。
「お前は何故、あのロシア人の恋人と仲良くなろうとしているんだ?」
「それは、彼が・・」
「今日は疲れた、休もう。」
「はい・・」
グランプリファイナルを締めくくるエキシビションで、世界中の注目を集めたのはヴィクトルと勇利ではなく、表情で優雅なワルツを披露したルドルフとアルフレートだった。
「流石ウィンナワルツの国、やるね。」
「やっぱりルドルフさん、カッコよかねぇ・・」
「ユウリ・・」
「ヴィクトル、そんな顔しないでよっ、僕はヴィクトル一筋だからっ!」
「俺もだよ、ユウリ~!」
「あ~あ、バカップルがまたやってるよ~」
エキシビションの後、アルフレートをホテルの部屋に残し、ルドルフはある場所へと車で向かった。
『来ないのかと思っていたよ。』
『彼女は?』
『あの小屋の中さ。』
『そうか。これで‟後始末“を頼む。』
『はいよ。』
ルドルフは、“彼女”が居る小屋を一瞥した後、車でホテルへと戻った。
「お帰りなさいませ、ルドルフ様。今までどちらへ行かれていたのですか?」
「お前は、知らなくていい。」
「はい・・」
アルフレートには、“あの事”を決して知られてはいけない。