BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

光と闇の邂逅 第1話

2025年01月08日 | ハリポタ×天上の愛地上の恋 クロスオーバー二次創作小説「光と闇の邂逅」


「ハリー・ポッター」「天上の愛地上の恋」二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。

「ルドルフ様、起きて下さい。」
「ん・・」
ルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=ハプスブルクは、気怠そうな様子で寝台の近くに立って自分を揺り起こした恋人を蒼い瞳で見た。
「もうそろそろ起きませんと、汽車の時間に遅れてしまいますよ。」
「わかった。」
少し不貞腐れたような顔をしたルドルフは、浴室でシャワーを浴びた後、素早く身支度を済ませ、恋人・アルフレート=フェリックスと共にキング=クロス駅へと向かった。
「こうしてホグワーツ特急に乗っていると、何だか“昔”の事を思い出すな。」
「そうですか・・」
アルフレートはそう言うと、窓の外に広がる田園風景を眺めながら、初めてホグワーツ特急に乗り、組分け帽子を被った時の事を思い出していた。
オーストリアの名門伯爵家・ハプスブルク家の嫡子として生まれたルドルフと、孤児であったアルフレートが出会ったのは、ルドルフが家族と共に避暑の為に訪れた、シュタルンベルク湖近くの別荘地だった。
そこの管理人をしていたアルフレートの遠縁の伯父・マティアスの手伝いをしていたアルフレートは、その日人気のない湖の近くで守護霊を創る練習をしていた。
“いいかい、アルフレート、守護霊を創り出す為には、人生で一番幸せな事を思い出すんだ。”
「エクスペクト・パトローナム!」
アルフレートがそう叫びながら杖を振ると、その先から白銀の一角獣が現れ、湖を駆けていった。
「やった、出来たぞ!」
「凄い・・僕と同い年で・・」
背後から突然声が聞こえ、アルフレートが振り向くと、そこには自分と同い年位の少年が立っていた。
金褐色の髪を揺らし、美しく澄んだ蒼い瞳で自分を見つめている少年が、貴族だとアルフレートは一目でわかった。
「君、名前は?」
「僕は、アルフレートだけど、君は・・」
「ルドルフ様、どちらにおいでですか~」
別荘地の方から、数人分の慌しい足音と共に、ルドルフとアルフレートの前に現れたのは、ハプスブルク家の使用人達だった。
「ルドルフ様、奥様が捜していらっしゃいますから、どうかわたくし達と共にお屋敷へお戻り下さい。」
「嫌だ!」
「ルドルフ様・・」
頑としてその場から動こうとしないルドルフにハプスブルク家の使用人達が困り果てていると、二羽のフクロウが滑るように彼らの元へと舞い降りて来た。
フクロウ達は嘴に咥えていた二通の手紙をそれぞれルドルフとアルフレートの足元に落とすと何処かへと飛び去っていった。
「一体、何だこれは?」
「さぁ・・」
アルフレートが手紙に目を通すと、そこには“H”という蜜蝋が捺されており、手紙には、こう書かれていた。
『アルフレート=フェリックス様、貴殿のホグワーツ魔法魔術学校への入学を許可いたします。』
「ホグワーツ?」
「もしかして、君は何も知らないのか?まぁそうだろうな、見たところ・・」
「ルドルフ、こんな所に居たのね。」
「母上・・」
「奥様、こちらを。」
使用人の一人が、そう言ってルドルフの元に来た手紙をルドルフの母・エリザベートに見せた。
「まぁ、ホグワーツからだわ。これから、色々と忙しくなるわね。」
「はい、母上。」
ルドルフはそう言った後、チラリとアルフレートを見た。
「あら、あなたは・・」
「初めまして、奥様。僕は、アルフレート=フェリックスと申します。あの、僕はこれで失礼を・・」
「勝手な真似は許さないよ。君は僕とホグワーツへ行くんだ。」
「え・・」
こうして、ひょんな事からアルフレートはハプスブルク伯爵家で暮らす事になった。
ロンドンのダイアゴン横丁で学校に必要な物をエリザベート達とひと通り買い揃えたルドルフとアルフレートは、あてもなくブラブラと歩いていた。
そんな時、ルドルフが足を止めたのは、ショーウィンドーに高価なネックレスや指輪などが飾られている宝飾店だった。
「あの、ルドルフ様?」
「サイズは合っているな。」
ルドルフは店員から出して貰ったサファイアの指輪を、そう言って躊躇う事無くアルフレートの左手薬指に嵌めた。
「え、あの・・」
「これを、指輪の裏に彫ってくれ。」
「かしこまりました。」
慣れた様子で店員に注文するルドルフの姿を、アルフレートは顔を赤く染めながら見つめていた。
「あの、そんな高価な物、頂けません。」
「僕も同じ物を創るから、大丈夫だ。」
「そ、そういう問題ではなくて・・」
「友情の証だ。」
「は、はぁ・・」
9月1日、二人はホグワーツ特急に乗り、ホグワーツ魔法魔術学校に入学した。
「フェリックス=アルフレート!」
アルフレートが緊張した面持ちで椅子に座ると、ミネルバ=マクゴナガルが彼の頭に組分け帽子を被せた。
すると、帽子はすぐさま、“レイブンクロー”と叫んだ。
「ハプスブルク=ルドルフ!」
ルドルフの頭に帽子が被る前に、帽子は“スリザリン”と叫んだ。
―スリザリン・・
―ハプスブルク家の方が・・
―そんな、嘘だろ・・
「ルドルフ様・・」
「さっきは驚いただろう?ハプスブルク家の者は皆、グリフィンドール出身なんだ・・僕以外は。」
そう言ったルドルフの横顔は、少し寂しそうに見えた。
「そんなに落ち込まないで下さいよ。僕なんて、今まで自分が魔法が使えるなんて知らなかったんですから。」
アルフレートはそう言うと、宝石のような美しい翠の瞳でルドルフを見つめた。
―わたしの地上の神は、あなたです、ルドルフ様。
(あぁ、お前は今も“昔”もわたしをまっすぐな瞳で見つめるのだな。わたしは、その瞳が愛おしくもあり、恐ろしくもある。)
「ルドルフ様?」
「すまない、少し考え事をしていた。」
「そろそろ降りる準備をしませんと。」
そう言ってトランクの中からローブを取り出したアルフレートの首には、あの日自分が贈った指輪が光っていた。
「まだ持っていたのか、その指輪。」
「はい・・あなた様から頂いた、大切な物なので。」
「アルフレート・・」
ルドルフがアルフレートを己の方へと抱き寄せ、彼の唇を塞いで舌で口内を犯すと、アルフレートもそれに応えるように舌でルドルフのそれと絡め合うかのような濃厚なキスを交わした。
骨盤同士をぶつけ合うように互いの身体を密着させ、二人だけの世界に浸っていたルドルフとアルフレートだったが、二人が居る個室のドアが何者かによって激しくノックされ、ルドルフは舌打ちしてアルフレートから離れた。
「おい、いつまでイチャついているんだ!さっさと降りるぞ!」
そう怒鳴りながら個室に入って来たのは、二人と“昔”から因縁があるヨハン=サルヴァトールだった。
「大公、いつも良い所を邪魔して・・」
「ルドルフ、さっさと降りろ!」
「あぁ、わかった。」

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