滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

カポディモンテ美術館展

2010年12月04日 | アート・文化
1ヵ月ほど前の記事で、京都文化博物館で開催されているカポディモンテ美術館展に行くつもりだったのが、結局行けなかったお話をしました・・・。それから行く機会がなくて、このまま行かず仕舞いになるのかな・・と思っていたのですが、先日京都市内に打合せに行く機会があって、これが最後のチャンスだと思い強引に時間をとって(2時間ほど行方不明になって・・)行って来る事ができました・・。

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カポディモンテ美術館は、ナポリを見下ろす丘の上に建つイタリア有数の美術館のひとつで、1738年にブルボン家のカルロ7世(後のスペイン王カルロス3世)によって建造が開始された宮殿が、そのまま美術館となっています。そもそもこの宮殿は、美術品を収納・展示することを目的のひとつとして建てられたものでした。というのもカルロは母エリザベッタ・ファルネーゼからファルネーゼ家の膨大な美術品コレクションを受け継いでいたからです・・。

今回展示されている作品は主に、ファルネーゼ家が蒐集したルネサンスおよびバロック美術の作品と、ブルボン家が蒐集したナポリ・バロック美術の作品です。
ルネサンスとバロック美術の作品ですから、作品に強い芸術性(神秘性)はありませんが、作品を通じてその時代背景(16~17世紀)をいろいろ想像しながら古の美の世界を楽しんで来ました・・。

興味ある作品はたくさんあったのですが、その中でも特にお気に入りの作品を2つ紹介します。
まずは、今回の展覧会のチラシやチケットの表紙になっている「貴婦人の肖像(アンテア)」(パルミジャニーノ作)です。[上の画像]
この絵のモデルは古来、ローマの高級娼婦でパルミジャニーノの愛人と言われた女性アンテアとされてきました・・。ただし、その根拠はなく、これまでに多くの研究者が彼女の正体を解明しようとしましたが、謎は明かされていないそうです。
衣服は北イタリアの貴族のものに近く、ふんだんな装飾を身につけているのは、彼女が新婦だからかも知れません。ともあれ、闇を背に強い照明を当てられた彼女は、その美しく、しかし注意深い顔立ちときらびやかな衣装によって、パルミジャニーノの代表作としてのみならず、16世紀の女性表現を代表する作例として知られています。

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もう1つは、「聖アガタ」(フランチェスコ・グアリーノ作)です。[左の画像]
聖アガタはローマ時代のキリスト教の聖女で、シチリアを治めていた権力者からの求婚を断った彼女は、キリスト教徒であることを理由に捕縛され、拷問によって乳房を切り取られます。そのためこの絵では衣服の胸のあたりに血が染み付いていて、彼女は右手で胸を押さえています。表情や衣服の自然主義的な描写や、闇を背に強い光を当てられた彼女の表現には、カラヴァッジョ派の影響が顕著に出ています。16世紀ナポリ派を代表する作品のひとつです。

とまぁ・・至極の名品を目の当たりにして感動していたワケですが、余韻が覚めないうちに次の打合せに行かなくてはいけなかった私は一機に現実モードに戻されて、何やら感動したのか・・損をしたのか・・分からない状態になってしまいました。(打合せと打合せの合い間に強引に行った事に無理があったのでしょうけど・・。)

みなさんも、謎の美女に会いに京都文化博物館へ・・と言いたいところですが、残念ながら開催期間が明日(12月5日)で終わりなんですよね・・・。


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