「いくさんのお部屋」つぶやきNo.3

日頃の何気ない日常をつぶやいています。

久しぶりの山歩き

2009-08-24 16:08:00 | 登山
母と同居するようになってから、早3ヶ月になろうとしている。引越もあって、長い間山には行けていなかった。山歩きは,昨年秋に白山の紅葉を見に行って以来だ。覚悟をしていたとはいえ、ストレスはどんどん蓄積していて爆発寸前となっていた。
夏を遊び終えた娘が、留守番をしてくれるというので思い切って行って来た。
家のことや母のことはいろいろと心配だったが、山に行ったらすっかり忘れてしまっていた3日間であった。
このような状況で山に登ると、喜びも感動もより増幅されるようだ。それと山行中は、ずっと携帯電話が繋がらなかったのも良かったのかもしれない。

場所は前から一度行ってみたいと思っていた福島県側から尾瀬へ入ることにした。以前に雨で登れなかった燧ヶ岳も登りたかった。せっかくだから、会津駒ヶ岳へも登って見たいと地図を見ながら思い立った。
今回はどうしても一人で行きたかったのだが、そうすると車では運転が大変だ。いろいろネット検索していたら「とちの木号」という高速バスが見つけた。このバスは山へ向かうバスではなくて大阪~京都~栃木~宇都宮への高速バスだ。
夜行バスで栃木駅に早朝着き、入山は昼前になる。山中2泊しか余裕が無いので結局は会津駒ヶ岳の駒の小屋で1泊。次のは富士見林道と大杉林道で尾瀬御池に下山して、その日に燧裏林道から見晴まで行き弥四郎小屋で2泊目に泊まり、燧ヶ岳へ見晴新道から登って尾瀬御池へ下山する。その日の夜行バスに栃木駅から乗り次の日の早朝帰るという計画にしたところうまく日程がおさまった。
ネットでバスのチケットを予約して、コンビニで支払ったらその場でプリントしてチケットを受け取れた。コンビニとは何と便利なものだとしきりに感心した。

高速バス約8時間、東武鉄道約2時間、会津バス約2時間というこの長旅も、家から解放されたせいかウキウキした気持ちにさせてくれた。会津駒ヶ岳登山口でバスを降り、11時頃に登り始めた。下山する人には結構出会ったが、駒の小屋での宿泊は全員で6人だった。会津駒ヶ岳は、どうも日帰りが多いようだ。
次の尾瀬の弥四郎小屋では、私ともう一組のご夫婦のみで、なんと尾瀬ケ原と至仏が一望出来る最上の部屋に貸し切りだった。
次の日、見晴から燧ヶ岳に登る人は私の他に男性の単独のみ。頂上には御池や尾瀬沼から登って来た人で賑わっていたが、この時期は概ね静かな山だった。

会津駒ヶ岳の頂上は樹木で覆われ展望が無かったが、駒の小屋周辺は美しい。小屋から片道1時間湿原を歩いて中門岳への木道歩きは夏のお花畑もきっと素晴らしいに違いない。中門岳は湿原の中に大きな池があり、その辺一帯を言うという案内板があった。夕方で時間が無かったのが残念だったが、こんなところでいつまでもぼ~っとしていたいものだと思った。

燧ケ岳の見晴からの登山道は樹林帯の急登で疲れた。しかし頂上近くになると少しずつ視界が開けてきて頂上からの尾瀬の眺めは最高だった。朝から曇り空で頂上では少し雨もぱらつき風も強かった。お天気が良ければ、もっと綺麗に尾瀬ケ原や尾瀬沼が見えただろうと思うとちょっと残念だった。

尾瀬も美しいが、今回のハイライトは何といっても燧ヶ岳から尾瀬御池への途中の熊沢田代だった。一面のキンコウカ畑で、地面にはモウセンゴケが貼り付いている。目の前にこの熊沢湿原が広がったときには,誰もいないことをいいことに思わず歓声をあげてしまった。
(還暦祝いのデジカメでムーブのスイッチを入れ、実況中継入りで木道を下って行った。帰ってから母に見せた所、とても喜んでくれた。)
振り返って燧ヶ岳を見ると,正面から見る山容とは全く違い,緑の穏やかな姿がキンコウカの黄色に映え何とも美しかった。誰もいない熊沢田代からなかなか去りがたく、いつまでも未練が残った。

今回歩いた3日とも快晴とは行かなかったが,だいたい天気が良かった。最近は歩いていなかったので心配だったが3日間無事に歩き終えた。

今度は,いつ行けるのだろう。
帰るのが少し寂しい気持ちだった。

国民宿舎尾瀬御池ロッジで3日間の汗を流し、また来た時と同じ長い帰路についた。

追記
尾瀬御池から会津高原尾瀬口駅に向かうバスの中で,携帯電話がやっと繋がりメールが来ているのに気がついた。「訃報です」という題名にまだ深い意味も考えないまま、メールを開いてみて吃驚してしまった。
何回かクライミングでご一緒したKさんが、前穂高の登攀で事故で亡くなったというメールだった。何ということだ。「どうして」という思いが、頭を空回りする。帰って昨日葬儀に参列したが、未だに詳しいことは分らない。
最後にお会いしたのは7月末パンプでだった。いつもながら、前向きに登られていた。
そのときにはこんなことが起こるとは夢にも思わなかったのに。
人の命は、何とはかないのだろう。
ご冥福をお祈りします。