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マーケティング研究 他社事例 438 「下火だった燃料電池車1」 ~EVシフトも何のその~

2019-11-05 08:05:07 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 438 「下火だった燃料電池車1」 ~EVシフトも何のその~


ここ1~2年、LTB(リチウムイオン2次電池)やLIBを搭載したEV(電気自動車)が社会的な脚光を浴びる中、水素を使ったFC(燃料電池)やFCV(燃料電池車)は「もう行き場所を失った」という見方が2次電池を開発する技術者や研究者に広がっていました。

しかし、これに反するように、FCの利用が急激に拡大しているのです。

既存の2次電池では実現が難しい要求条件がある場合で電源がFCに切り替える動きも出て来ているのです。

富士経済が2019年1月に発表したFCシステムの市場予測によると、2030年の市場が世界で約4.9兆円となる見込みです。

その結果、市場規模は2018年の約23倍になるとしています。

水素を供給するインフラ関連を含めれば、市場規模はさらに拡大しそうです。

拡大する用途の一つになっているのが、倉庫内などで昼夜なく作業するフォークリフトです。

それが最近になって駆動用電源の鉛蓄電池をFCに切り替える例が急増しているようです。

切り替えをけん引するのが、1997年創業の燃料電池装置メーカー、アメリカのプラグ・パワーという会社です。

2012年までほとんど無名だった同社ですが、2013年以降、ウォールマートやアマゾン・ドット・コムなどと数十億円規模の大口契約を次々に締結したのでした。

しかもアマゾンからは出資も引き出しました。

こうしたことから、プラグ・パワーはアメリカデロイトの選ぶ、最も急成長した技術系アメリカ企業500社に2015年から2017年の3年連続で選ばれたのでした。

500社は大半がシリコンバレーなどのIT企業ですが、プラグ・パワーはITからやや遠い存在です。

しかも創業20年超の企業が選ばれるのは珍しい事のようです。

FCを搭載したフォークリフトの導入が進む理由の一つは、稼働率の高さにあります。

通販サービスの普及で物流倉庫は24時間の稼働が求められています。

しかしながら、鉛蓄電池は充電や交換に時間がかかり、追加の人員も必要になります。

そのうえ、摂氏マイナス20度の極低温の冷蔵倉庫での場合、低温に弱いLIBは導入しにくいと言えます。

FCは航続距離が長く、水素の充填に3~5分しかかからない、そのうえ、低温にも強いと言います。

ウォールマートが2014年以降、鉛蓄電池からFCフォークリフトの大量導入を始めたのは大きなきっかけになりました。

FCの新たな用途でフォークリフトに続きそうなのがドローンです。

これまでLIBを電源にしたドローンのほとんどは重量当たりのエネルギー密度が低く、航続時間が積載荷物(ペイロード)なしで30分程度でした。

ペイロードありの場合は、15分ほどしか飛べないため、航空写真の撮影以外の実用化例が少なかったのです。

これに対して、FCの多くは重量当たりのエネルギー密度がLIBの5倍前後と高く、ペイロードありでも2時間飛べる製品が登場しています。

(続く)



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