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マーケティング研究 他社事例 441 「世界は人口爆発2」 ~タンパク質危機を救えるか~

2019-11-08 11:06:03 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 441 「世界は人口爆発2」 ~タンパク質危機を救えるか~


大豆ミートの製法は以下の通りです。

搾油した大豆に水を加え特殊な装置の脇の穴から一気に放出し、その際に水分が急速に気化して小さな爆発を起こす事で、原料がパフ状になり肉に近い食感になるというものです。

圧力のかけ方で粒だった感じや筋っぽい感じなど、様々な食感を再現できると言います。

風味は不二製油または納入先の食品メーカーなどが調味料を加えて本物に近づけるのです。

ひき肉だけでなく、トンカツや鳥のから揚げ、裂きイカ、エビ、ツナなどの代替え品を作る事も可能との事です。

不二製油は低脂肪の豆乳を乳酸菌で発酵させた業務用の大豆チーズも2012年に製品化しました。

当初はクリームチーズしか作れなかったのですが、2016年に固形タイプの製品化に成功し、5月に新発売した製品は過熱時の溶け方まで本物そっくりに再現したのでした。

大手ピザチェーンが採用するなど、徐々に市場に浸透しつつあります。

需要の高まりを受けて、不二製油は大豆ミートの原料である大豆タンパク素材製品の新工場を千葉市に、24億円を投じて、年間9000tのプラントを来年4月に建設し稼働させる予定です。

大豆は同じ摂取カロリーで比較した場合、生産に使用するエネルギーが牛肉の数十分の一、水の使用料も数分の一で済みます。

環境負荷の低い持続可能な高タンパク食材として、大きな可能性を秘めています。

大豆など代替原料から生産する方法とは別に、肉の細胞を効率的に培養する「培養肉」の研究も進んでいます。

それは、細胞レベルから肉を生産するといった研究です。

新宿区のインテグリカルチャーは2016年に、鶏肉のレバーの試作に成功したのをご存知でしょうか?

培養肉の研究は、これまで欧米の新興企業がリードしてきました。

ただ生産コストが極めて高く、100gの肉を作るのに数百万円かかっていました。

子牛の血が原料となる血清や成長因子などの成分を含む培養液が高額なためです。

ところが、インテグリカルチャーは、培養液を使わずに細胞を増やせる技術を開発しコストダウンのめどをつけました。

動物の体内では、様々な臓器が互いに連携しながら新しい細胞を作っています。

インテグリカルチャーは、各臓器の細胞片を入れた容器をパイプで連結した特殊な培養装置を開発したのです。

実際の体内に近い環境を再現することに成功し、高価な培養液を使わなくても、効率的に細胞を増やせるようになったという事です。

装置を順次大型化することで生産効率を高め、100g当たりの製造コストを2021年に数万円、2023年に同1800円、2025年には同300円に引き下げる計画となっているそうです。

培養肉は畜産に比べて肉を生産する際の温暖化ガスの排出量を99%、使用する水や土地を96%減らせると言います。

今後、プラントの外販を進め、培養肉の市場拡大を目指しています。

今年3月には日清食品ホールディングスが東京大学と協力し、サイコロ状の牛の筋組織の培養に成功したと発表し、大手企業も培養肉の分野に参入し始めています。

(続く)


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