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マーケティング研究 他社事例 440 「世界は人口爆発1」 ~タンパク質危機を救えるか~

2019-11-07 09:07:01 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 440 「世界は人口爆発1」 ~タンパク質危機を救えるか~


世界の総人口は現在の76億人から2050年には98億人に達する見通しで食糧危機が懸念されています。

日本は人口減社会ですが、世界で見れば毎年7000万人以上増えていくと行った計算になります。

これは、毎年、イランやトルコ、タイと同じ人口の国が出来上がるのと同じと言えます。

さらに言えば、一説には日本は人口8000万人をキープ出来なければ競争力が低下し続けると言われてもいるので、人口7000万人という数字が物語るものの大きさをご理解いただけると思います。

そして、食料危機よりも早く、2025年~2030年頃に到来すると予測されているのが「タンパク質危機」です。

新興国や発展途上国では、所得水準の向上に連れて肉や魚の消費量が急増している現状があります。

畜産や養殖には飼料として膨大な量の穀物や魚粉などが必要ですが、耕作地には限りがあり、漁業資源も枯渇の危機にひんしているようです。

その結果、飼料の供給が追い付かなくなり、肉や魚の需給がひっ迫する事態が懸念されているのです。

畜産の為に森林が切り開かれ、家畜が排出する大量のメタンガスが地球温暖化の一因としてクローズアップされるなど、食肉生産に伴う環境負荷も社会問題になっています。

こうした流れを受けて注目されているのが、植物由来の原料や細胞培養技術などを用いて作る「人工肉」や「疑似肉」と呼ばれる技術なんです。

人工肉が注目されている背景には、世界的なエシカル(倫理的)消費の潮流もあります。

欧米を中心に菜食主義や動物由来の原料を含む製品を一切消費しない「ビーガン(完全菜食主義)と呼ばれる人が増えており、生き物を殺傷せずに「肉」を食べたいというニーズが広がっているのです。

この分野で代表的な企業が、2009年に創業したアメリカのスタートアップ企業ビヨンドミートです。

大豆などを原料に植物由来のパティやソーセージを開発・製造する同社は5月にナスダック市場に上場しました。

2019年12月期の売上高が前年同期の2.4倍となる見通しを発表したことで同社への成長期待が高まり、株価は上場から1か月余りで公開価格の約6倍に跳ね上がりました。

アメリカでは2011年創業のインポッシブル・フーズも植物由来の人工肉で注目を集めています。

風味の元になる「血の味」を大豆の根から鉄分を含む成分を抽出することで再現し、バーガーキングがハンバーガーのパティに採用し早ければ年内にも全米で販売する見通しとなっています。

人工肉のビジネスは、日本でも拡大しています。

大手食品メーカーやハンバーガーチェーンなどが、相次いで大豆由来の人工肉を使った商品を発売しています。

その陰の立役者が、大豆油などの食料原料を手掛ける大阪の不二製油です。

同社は、1969年からひき肉などの代替え品として大豆ミートを生産して来ましたが、10年ほど前に製法を改良し、大豆の臭いを抑える事に成功しました。

消費者の健康意識が高まり、高タンパク・低糖質の食品が人気になったこともあり、大豆ミートの売上は「10年間で倍増した」と言います。

(続く)



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