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マーケティング研究 他社事例 450 「成功すれば数百兆円規模!?1」 ~リブラで考える統治体制の課題~

2019-11-21 09:42:05 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 450 「成功すれば数百兆円規模!?1」 ~リブラで考える統治体制の課題~


リブラが金融市場に与える影響は計り知れません。

ビットコインをはじめとする市中に流通する暗号通貨は、全て合わせて約30兆円~40兆円の価値があると言われています。

フェイスブックは、独自の暗号通貨「リブラ」の運用で、同社を利用する世界27億人が潜在的な顧客になり得ます。

各国の規制をクリア出来るのなら、リブラの流通量は、数百兆円規模にも達すると言われています。

世界経済やビットコインやリブラに依存していくことに、各国の金融当局や議会から警戒する声があがりますが、アメリカFRBのパウエル議長はアメリカ議会で「リブラはプライバシーや資金洗浄、消費者保護、金融の安定性の面で深刻な懸念が存在する」と証言し物議を醸しだしました。

暗号通貨を怪しいと捉える人は、いまだに多くいると思います。

何を言う、私もその一人です。

発行主体が国家ではなく、民間だというのが主な理由になると思います。

国家の主権には通貨の発行権が入ると最初に論じたのは、恐らく16世紀のフランスの思想家、ジャン・ボダンです。

彼は、主権の核心は立法権であり、それには通貨の発行権が含まれると論じたのでした。

とはいえ、歴史を振り返ってみると、民間が発行した通貨は過去、多数存在していました。

日本でも中世には宋銭や私鋳銭が流通していました。

それらが通用したのは、商品やサービスと引き換えられる「交換の媒体」として機能したからです。

これこそが通貨の本質です。

将来にわたって交換の媒体として使えるとの予想が、市中の皆に共有されることで通貨は成立すると、20世紀に活躍したアメリカ経済学者のポール・サミュエルソンは論じました。

この条件を満たすのであれば、通貨が存在する形態が紙なのか電子情報なのか、あるいは発行主体が国なのか民間なのかは関係ありません。

国家が通貨の発行を独占する現代にあって、ビットコインの登場は私たちに、通貨の本質を明快に突きつけたと言えます。

もし将来、法定通貨に代わって暗号通貨を使う人が増えれば、金融緩和など中央銀行による金融政策の効果は薄れる事になります。

これは、金融政策によるバブルが起きにくくなることも意味しています。

政府の施策によって私有財産の価値を増減させることができないという事だからです。

これは、経済自由主義の観点からは望ましいことかもしれません。

すでにビットコインをそのような「価値の保存」の手段とする見方は、それなりに確立しているように思えます。

注意したいのは、暗号通貨を管理する主体のガバナンス(統治)です。

法定通貨なら、ほとんどの国が、一定の民主的なコントロールを中央銀行に利かせています。

例えば、日本では日銀の総裁や副総裁、審議委員は国会の同意を得て内閣が任命するというような形です。

(続く)


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