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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 456 「食品サプライチェーンのデータを結ぶ1」 ~他業界にも横展開~

2019-11-29 15:10:22 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 456 「食品サプライチェーンのデータを結ぶ1」 ~他業界にも横展開~


「今日買った惣菜にアレルギー物質が入っていないか知りたい」

スーパーなどの小売りには、消費者からこうした問い合わせが入ります。

担当者はそのたびに商品の説明を記載した分厚い紙の「仕様書」をめくるのです。

仕様書にはアレルギー物質や原材料名など細かい情報が記載されており、担当者は一つひとつ確認します。

つい10年ほど前まで当たり前だったそんな光景を変えたのが、スーパーなどの小売りに商品情報管理のデーターベースソフトを販売する「eBASE」です。

小売りは商品情報の管理を紙からデータに切り替えることで作業効率を高め、消費者からの問い合わせにも迅速に対応できる様になります。

食の安全への意識の高まりを背景に商品情報管理も重要となり「今では国内スーパーの売上上位50社のうち、半数がイーベースのソフトを採用している。このデータベースを商品業界のプラットフォームにしたい」とイーベースの常包社長は語ります。

小売りから加工メーカー、さらに素材メーカーや生産農家までを統一したソフトでつなぎ、サプライチェーン全体で情報の交換をスムーズにすることが同社の狙いです。

創業の原点は、常包社長がかつて勤めていた凸版印刷での経験にあります。

住宅業界のカタログを作成していた時に、各社から送られてくる画像の解像度が異なるなど非効率な点が多いと感じたようです。

そこで、業界全体で使えるCD-ROM形式のフォーマットを作成し、まず大手4社に無料で提供しました。

4社が使い始めると、その実績を基に、「業界標準のフォーマット」と他社にも持ち込み、ユーザーを増やしていきました。

ユーザーの反応は良かったものの、会社には「本業の紙の印刷需要がなくなる」と反対されてしまいました。

結果、社内で事業化出来ずにいたところ、一念発起し2001年に独立し、イーベースを立ち上げたのでした。

当初はギフトカタログ会社などにDBソフトを開発しましたが、個別企業ごとにソフトを開発していたのでは、素早く事業を拡大できないと感じていました。

そこに生協からの依頼が舞い込みました。

国内で初めてBSE感染牛が確認されるなど、食の安全に対する消費者の意識が高まっていた時期でした。

生協も、正確な商品情報を消費者に開示する必要性を感じていたのでした。

当初は地域ごとの独立性が強く、各生協がそれぞれのイーベースのソフトを導入しました。

しかしその後、生協同士で検討を重ねて商品情報の項目などを揃え、徐々に生協全体で商品情報を管理する体制を整えたのでした。

取引のある卸やメーカーには無料でソフトを提供し、商品情報の入力に協力してもらいました。

すると次第にさらなる構想が浮かび上がりました。

「食の安全を担保するには、生協だけではなく、食品業界全体で商品情報を管理する仕組みが必要だ」

以前からソフトの業界標準化を目指していた常包社長の思いも同じでした。

結果、生協や小売り、メーカーによって、どのような商品情報の項目が必要か検討されていったのでした。

イーベースは食品業界全体で使えるDBソフトを開発して発売に踏み切る事が出来ました。

(続く)


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