おや? なんだろう? おもしろいね~ と自然に笑顔になり、楽しんで取り組みたいですね。 まさしくそれは彩りですね!!

卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 619 「社会課題とビジネスでの解決4」 ~インパクト投資~

2020-08-14 09:16:56 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 619 「社会課題とビジネスでの解決4」 ~インパクト投資~


社会的影響に配慮しない企業経営に対する投資家の目が厳しくなっています。

要するに、ESGの広がりで、企業が環境や人を傷つける経営をすることや、その基盤となるコンプライアンス整備に消極的なことに対して、投資家や消費者の目が厳しくなって来たという事です。

現在世界のでは、社会課題解決ビジネスに収益を期待して資金を投じる動きも出て来ました。

その動きを『インパクト投資』と言います。

従来との違いは、寄付のように資金を提供するだけに終わらずに、投資や事業活動として社会課題解決に取り組むことです。

実際に、どの程度解決に役立ったか?投じた資金からどのような収益が得られるかの立証にも強い規律が求められています。

インパクト投資には、2つのセグメントがあります。

1つはインパクト・ファースト・インパクト投資です。

収益より社会に与えるインパクトを優先する投資のことが、インパクト・ファースト・インパクト投資です。

こうしたインパクト投資を本業にする組織としては、発展途上国の貧困問題に取り組むアメリカの非営利組織アキュメンや、アメリカのイーベイの創業者がアメリカで設立した、社会課題解決を目指す国際的な投資会社オミダイアネットワークがあります。

インパクト・ファーストの人々は、重要な課題の解決を志す社会的企業に投資します。

お金が戻る事も期待しますが、必ずしもそれが一番重要なわけではありません。

最も重要なのは、社会課題の解決です。

そして多少の見返りを期待するのです。

もう1つは、ファイナンス・ファースト・インパクト投資です。

インパクト・ファーストとは別に、投資の見返りを最重視しつつ、投資先の企業活動を通じ社会課題の解決も狙うのです。

いずれにしても今の時代、ESG投資に積極的であることが、資金調達面で有利に働く環境になりつつあることは間違いありません。

「ESG投資の市場規模は、大体10兆ドル(約1100兆円)以上あるとされるのに対し、インパクト投資の市場規模はまだ5000億ドル(約50兆円)程度と見られています。

ESG投資市場から見れば、まだ小さいとは言え、急成長しており、スイスの世界でもっとも大きな銀行の一つである、クレディ―・スイスにはインパクト投資の部署があり、本気度がうかがえます。

インパクト投資部門の具体的な活動はどのようなものなのでしょうか?

クレディ・セゾンの場合、例えば、中国の貧しい農家にブルーベリー栽培で成功する手助けをしている企業に投資しています。

この会社は、農家が育てたブルーベリーを世界中に輸出出来る仕組みを構築しています。

高品質のブルーベリーに対する世界的なニーズは高まっており、仲介する企業には、大きなビジネスチャンスです。

一方、この動きは農家が貧困から脱する貴重な機会となり、社会格差の解消に結びつきます。

このブルーベリーの例は、投資の見返りでも、社会課題の解決でもともに相応の成果を得られた理想的なインパクト投資といえますが、実際にはここまでうまくいかない時もあります。

インパクト・ファーストの投資家なら、インパクト優先で低収益で妥協するかもしれませんが、ファイナンス・ファーストの投資家は、インパクトがあっても収益がなければ投資はしません。

CSV(共有価値の創造)の議論に似ていますが、ESG投資で資金調達を狙う企業もやはり、インパクトと収益を同時に満たす必要がありますが、意外にも、両方を満たせる機会はかなりあると言えます。

そうはいっても、どう工夫しても収益を出しにくいケースもあります。

年金基金のように、善管注意義務があり収益で妥協できないファンドもあります。

もうからないかもしれない場合、投資先として対象から外れてしまいます。

そういった場合であっても、インパクト・ファースト投資家からであれば資金調達は可能となるでしょう。

高い純資産価値を追求する個人資産家や、女性の活躍に大きな関心を抱く篤志家などがそうです。

もうからなくても、困難な課題に取り組む企業の手助けができればいいからです。

では、インパクト・ファースト・インパクト投資と、慈善活動の違いとは何でしょうか?

慈善事業は、簡単い言えば、最初からお金を失う前提です。

一方、インパクト投資は、少なくとも投資した分は回収することを期待しています。

緊急でビジネスモデルさえ作れない時、例えば台風でで村の多くの貧しい人々が犠牲になったり、地震があったりしたときには、まず資金支援が第一となります。

こうした場合は慈善活動が必要となるでしょう。

注意したいのは、環境配慮を表面的に標榜するのは危険という事だと思います。

インパクト投資では、高いインパクトがあると明確に証明しなければなりません。

確固たる戦略と方法論が必要です。

美談だけでは単なるうわべだけ環境に配慮していることを装う活動になってしまいます。

企業がCSR報告書で無関係な森林の写真を多用し「環境配慮」の誤解を与えることも、うわべだけを装う活動になります。

ビジネスを通じた社会課題の解決には、真剣な戦略と測定方法をつくり、良いインパクトを起こさなければなりません。

バングラディシュでグラミン銀行を設立し、マイクロファイナンスを普及しノーベル平和賞を受賞した、ムハマド・ユヌス博士は、お金持ちになるために起業したのではありませんでした。

貧しい女性の人生に前向きな影響をもたらすためであり、明確な戦略と方法論があったのです。

※投資の種類をまとめると以下の通りです。

・一般的な投資
⇒リターンをる為の投資

・責任投資
⇒特定分野を排除した投資(武器、たばこ、アルコールなど)

・サスティナブル投資
⇒ESG(環境・社会・統治)関連で先進的な企業や部門などに投資

・インパクト投資(ファイナンスファースト)
⇒計測可能な社会インパクトの創出と、投資収益の二兎を追う
⇒トレードオフ無し

・インパクト投資(インパクトファースト)
⇒計測可能な社会インパクトの創出と、投資収益の二兎を追う
⇒トレードオフやリスクが存在

・一般的な慈善活動
⇒給付と投資の組み合わせなどで、社会課題解決が目的の活動を支援

・ベンチャー的慈善活動
⇒社会課題解決が目的の企業を、給付型のファンドや投資などを通じて支援

(続く)



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マーケティング研究 他社事例 618 「社会課題とビジネスでの解決3」 ~価値観の転換~

2020-08-12 08:25:57 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 618 「社会課題とビジネスでの解決3」 ~価値観の転換~


世界の企業がESGに本腰を入れるようになったのは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が、2017年に出した報告書がきっかけとされます。

TCFDは、主要国の金融当局からなら金融安定理事会(FSB)が、G20の要請を受け2015年に設置した国際的な組織です。

報告書で起業や投資家、金融機関などに対して、財務に影響がある気候関連情報の自発的な開示を推奨したことで、投資家の視点が大きく変化したのでした。

気候変動が企業の長期的な業績を決定する主因の一つならば、環境保護や温暖化防止に積極的な企業は経済全体の発展にも貢献することになります。

実際、アメリカ投資ファンドのブラックロックCEOラリー・フィンク氏が2020年1月14日、ESG(環境・社会・統治)を重視する企業への投資を軸にした運用を強化すると表明しました。

逆に言えば、ESGに無関心な企業は本業がどうであれ、投資が集まりにくくなる事でしょう。

金融関係者によれば、欧州の投資家の間では化石燃料を扱う企業から資金を引き揚げようとする動きも目立つと言います。

「これからの企業はESGに対応しながら稼がねばならない」フランスのINSEADのジャズジット・シン教授はこう語ります。

さらにシン氏は続けます。

「企業サイドはESGを2つの視点で見ている。一つは、ESGに力を入れないと、社会や市民から評価されないという視点。もう一つはESGに消極的だと取引先として評価されないという視点だ。」

つまり企業から見れば、BtoB、BtoCの双方でESGに対するプレッシャーが高まってきたという事が言えると思います。

「我々は、消費者も従業員も企業のESGを大変気にかけているという調査結果を手に入れている。従業員を雇う時、とりわけ新世代のいわゆる2000年代以降に社会に進出するミレニアル世代を雇う時に、ESGで実績がないと、優秀な人材を採用するのが難しい。また過去それほど社会課題の解決に関心が無かった会社までが、良い製品をつくるだけで満足すべきでない、従業員を大切にし環境に負荷を与えるべきではない、と取引先に期待するようになった。」

そして、ここで言われているESGには、『寄付金』をはじめとする経営者の個人プレーは含まれません。

「象徴的な例が、アメリカのインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムだ。創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏は、2019年のアメリカフォーブス誌のランキング世界1位になった資産家だ。2018年、ベゾス氏が個人的資産から慈善事業に寄付したと報道された時、評価されるどころか数多くの批判にさらされた。世間は『寄付より、アマゾンの労働環境を何とかするのが先』と反応した。アマゾンには従業員を大切にしていないという評判が付きまとい、それをまず改善すべしというわけだ。」

つまり大企業ベゾス氏のような裕福な企業家は、個人的な慈善行為では評価されず、自らの経営の中で社会課題の改善に取り組むことが求められるのです。

従業員をきちんと処遇し、環境に配慮して事業を展開しなければ厳しい批判を浴びますし、そうした批判は社外だけでなく内側からも寄せられる時代になりつつあるのです。

「2019年秋、アマゾン本社で1000人以上の従業員が外に出て、会社に対し気候へのポリシーを改善するよう抗議したと報じられた。その数週間後前、アマゾンが40年までに達成する二酸化炭素排出量の努力目標を発表したが、従業員らは、環境対応をもっと積極的に速く進めるべきだとしたのだ。企業のCEOや管理職は今後、従業員や雇いたいと思う優秀な人からも、こうした期待を日常的に突きつけられる。」

一連の動きも受け、ベゾス氏は2020年2月17日、地球温暖化対策の個人的な基金を設立すると発表し、まず今夏100億ドル(約1兆1000億円)を投じる予定です。

ESGの広がりを加速させたTCFDでは、統治・戦略・リスクマネジメント・指標と目標といった内容を企業経営に盛り込むことを推奨しています、

耳を貸さなければ、国際社会の評価はじわじわと下がるという恐怖があります。

「『G』つまり、ガバナンス(統治)面の不備で社会的評価を落とした点では、フェイスブックが良い例だ。人々のプライバシーを十分に守っていないと厳しい批判を浴びてきた。ESG評価でフェイスブックについて、プライバシーをめぐる統治を整えるまで格付けをを低くすると判断した会社もある。企業活動の日々の問題点は、インターネットやソーシャルメディアで容易に見つかる。30年前であれば、会社が遠いどこかの国で従業員を手荒く扱っても表に出にくかった。今は局地的な振る舞いもソーシャルメディアで世界中に広がる。」

スイスのネスレも痛い思いをした企業のひとつです。

10年ほど前、スイスのネスレのチェコレート菓子「キットカット」に対して大規模な抗議がありました。

同社がインドネシアの森林で採取する原材料が持続可能ではないと環境団体が訴えたのでした。

昔なら取引先がしたことで当社は買ったけどと申し開きできたのですが、しかし世界は、大企業自身が間違いを犯さないように心がけるだけでは無く、取引先や提携先が間違いを犯さぬように目配りすることを期待しています。

企業が透明性を高め、自社だけでは無く、サプライチェーンの中で何が起こっているのか注意し、全体がクリーンだと立証する負荷が高まっているのです。

(続く)



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マーケティング研究 他社事例 617 「社会課題とビジネスでの解決2」 ~様々なコンセプトから解釈する~

2020-08-11 08:16:40 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 617 「社会課題とビジネスでの解決2」 ~様々なコンセプトから解釈する~


アメリカのハーバード大学のマイケル・ポーター教授が2011年に提唱したCSV(クリエ―ティング・シェアード・バリュー)(共有価値の創造)は、社会を改善する価値の創造を企業戦略に組み込み、収益を高めるというコンセプトです。

CSVの登場は、社会課題解決を目指すビジネスにおいて転換点になりました。

投資やビジネスによる「社会課題解決」に向けた意識の変化などについて、今回は考えて行きたいと思います。

社会課題解決ビジネスに関わる多くの人は、「ポーター教授のCSVが登場したおかげで企業による社会課題の解決に対して世間の関心が高まって、とても良かった」と言っています。

それでは、フランスのINSEADのジャズジット・シン教授の考察を見て行きたいと思います。

「企業と社会課題の解決をリンクさせることを最初に提唱したのがポーター教授かというとそうではない。以前から同じことは提唱されてきたが、ポーター教授がCSVという新しい言葉を生み出すことにより、世に広めた。ポーター教授の企業経営トップ層における影響力が大きいからだ。」

「CSVの登場は、この分野における転換点になった。つまり出発点ではなく、CSVをきっかけに、企業の社会貢献的な活動スタイルについて、より関心を集めるようになったということだ。CSVの登場以来、単なるCSR(企業の社会的責任)活動だけでは不十分である、と人々が言い始めた。ESGや持続可能性について、そしてCSVについて、事業と別ではなくビジネスの一部として考えなければならなくなった」

ポーター教授はもともと、ポジショニングに基づく競争戦略の5つの要因分析を提唱するなどでマーケティングの基本戦略をフレームワーク化し、ビジネス界に大きな影響を与えた研究者です。

CSVではさらに、社会課題解決ビジネスのおける戦略的な考え方を提示しました。

社会課題解決ビジネスのフレームワーク化に成功したという言い方も出来るかもしれません。

「広い意味でいう社会課題の解決のための投資には、長い歴史がある。徐々に企業を巻き込んで、今や一般市民も巻き込みつつある。だが投資家サイドと戦略サイドでは少し位置づけが違う。企業の間では投資サイドに比べ、自社の戦略の一環として、かなり以前から社会課題の解決に対して問題意識があった。」

「例えば、インドのタタ・グループが100年余り前に登場した時、創業者は労働者階層のためにかなり投資し、そのコミュニティーを充実させようとした。インドにはそのような会社がほかにもたくさんある。英蘭ユニリーバが100年以上前にイギリスで誕生した時代に戻ったら、同社の経営者が、労働者に投資する必要がある、労働者とその家族の面倒を十分に見なければならない、と言っている姿を見るだろう。いずれもESGの『S』パートの活動だ。こうした戦略としての社会課題解決は、一部の企業にとっては長年してきたことだ。」

タタやユニリーバがかつて労働者階層への投資を重視したのは、巡り巡って自社の経営基盤の強化につながると考えたからです。

さらに最近では、かつてはNGO(非営利組織)の持ち場だった「社会課題解決」分野が脚光を浴びていることで、自社のとはこれまで関係なくても、ここに取り組み企業が増えているという実態があります。

これは、投資家の変化が大きく影響しているのです。

「企業は長年ESG的な活動をしてきたが、投資家がESG的な活動により注目するようになったのは最近だ。企業は、事業拡大・安定戦略の一部として社会課題解決を考えてきた。一方投資家は今、(ESGに積極的な企業は)かなりの部分、リスク管理のレベルが高いと位置付けている。」

「今日、もし企業がESGを管理できなければ、投資家は大きなリスクと見なす。トラブルやスキャンダルに巻き込まれたり、政府から巨額の罰金を科せられたりしやすいと見なす。しかし企業がESGに適切に取り組めば、そうしたリスクが低減されると期待する。私は、リスク削減の意識が高い企業こそESGを大きく推進していると考える。あるいは、ESGに取り組んでもうまくいかない企業があれば、内部に何らかの対立やトレードオフが生じているはずだ。こうした企業は早晩問題を起こす可能性が高い。」

近年は投資家が、ESGの概念をさらに高めた「インパクト投資」を実施する企業に注目しています。

「インパクト投資」とはどのような活動なのでしょうか?

「ESGの考え方は、世界をなるべく傷つけないようにするというものだ。格差を拡大しない、二酸化炭素排出を増やさない、などというものだ。『インパクト投資』はそれを一歩進め、世界を修復しようとする。ESG全般に取り組むのは言うまでもなく、事業により社会課題の解決を試みる。」

「例えば、メーカーがESGに取り組むとする。ソフトドリンクメーカーなら、使う砂糖や水の量を減らし、工場の公害を減らそうとするだろう。それに対して『インパクト投資』は、健康改善につながる飲料を開発したり、飲料製造技術を活用し水質浄化に取り組んだりする。解決を狙う社会課題は様々だ。社会の格差、気候変動、生物多雨性の問題・・・。貧困国での教育問題に事業で関与することも含まれるかもしれない。世界に前向きなインパクトを起こすビジネスを創るのだ。」

「最初から『何をインパクトと呼ぶか』を定義するのが、『インパクト投資』で最も重要だ。解決しようとしている社会課題は何か?明確な戦略も必要で改善出来ているかどうか進捗を測る指標も必要。実際に課題を解決することが重要なのだ」

今後は金融機関や投資家から起業に対する、ESG対応を求めるプレッシャーは高まる一方です。

経営者の個人的な振る舞いやプライバシー対応も、ESGの一つと言えるでしょう。

しかし、そこには思わぬ落とし穴もあるようです。

(続く)


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マーケティング研究 他社事例 616 「社会課題とビジネスでの解決1」 ~ESGとは何か?~

2020-08-07 10:32:36 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 616 「社会課題とビジネスでの解決1」 ~ESGとは何か?~


国連のSDGs(持続可能な開発目標)の浸透などを通じ、社会課題の解決を目指すビジネスが本格的に脚光を浴びつつあります。

これまでもマイクロファイナンスをはじめ社会的企業、CSR(企業の社会的責任)、CSV(共有価値の創造)、ESG(環境・社会・ガバナンス)と様々なコンセプトが登場して来ました。

最近注目されているのが「社会インパクト投資」といった概念です。

「社会インパクト投資」について詳しい、フランスのビジネススクール、INSEAD(アジアキャンパス)のジャズジット・シン教授のレポートから、まずは考えて行きましょう。

「ESGは、環境、社会、そしてガバナンスを意味する。会社が社会にどう影響を与えているかを見極めるうえで重要な3つの側面だ。伝統的な経済取引では、お金を稼げている限り顧客の役に立っているから、既に社会に対して価値を創出できていると考えてきた。だが世界は、企業の財務データの数字を測るだけでは不十分だと考えるようになっている。」

「ESGの『E』は環境で、環境に対してどう影響しているかだ。ESGの概念では『E』としてほかと切り分ける。2番目の『S』は、社会のステークホルダーに与える影響に対して、どのような実績を出しているのかだ。『S』は従業員であり、取引先であり、コミュニティーでもある。そして『G』はガバナンス、つまり企業経営そのものだ。適切に会社を経営することである」

つまり、企業が数字だけでなく『E』『S』『G』という3つの分野でどう成功を収めているかが重要だという事です。

儲け主義の会社は評価されづらくなっていくのでしょうか?

「『G』(ガバナンス)とは例えば、適切な経営プロセスが取られているかどうか、(意思決定の)透明性、取締役会の多様性、報酬は適切か、株主の権利を守り、会社が(社内の権力を持つ者に)騙されることのないような、外部の株主が存在しているか、などのことである。この定義から考えれば、ガバナンスが重要になりつつある昨今のトレンドから読み取れるのは、市場メカニズムに依存するだけでは企業経営にはいつでもおかしなことが起こり得ると、世間が気付き始めたということだ。」

「資本主義のもと、我々は市場で商品を売買でき、仕事を得て富を生み出し、自分や家族の生活水準を向上させることが出来る。その意味で、企業の目標の一つは市場で高く評価されることだ。高く評価されればされるほど、手に入れる富や社員の生活水準は上がっていく。だが市場で高く評価される振る舞いが必ずしも社会にプラスに影響を与えるとは限らない。現在は、その影響に対する企業の認識や対応が恐らくまだ不十分で、しっかり考えられていない状況だ」

G(ガバナンス)が適正でない企業は、往々にして、EやSでも投資家を納得させられなくなって来ているのも昨今のトレンドでしょう。

「気候変動が激しくなり、昨今、最も関心が高まっているのが最初の『E』(環境)への対応だ。過去20年のデータでも、気候変動の現象がより多く見られるようになった。地球温暖化や資源破壊などが見られていることに、人々の関心が高まっている。そんな中、いくら収益を上げていても、環境に負荷を与える企業活動をしていては、投資家の賛同は得られない」

『S』(社会)に注目すると、さらにハードルが高くなります。

「今、問題になりつつあるのは、一般的には世界で貧困が緩和されているとしても、格差が必ずしも緩和されていない点だ。富める者は、貧困から裕福になるよりははるかに速いスピードでさらに豊かになる。言い換えれば、貧困層の生活が徐々に改善していても、その改善スピードより速いスピードで、富裕層にさらに多くのお金が流れ込んでいる。世界経済が市場メカニズムと資本主義に頼りすぎた結果だが、企業が格差を是正する活動をしてほしいと、政府や市民が期待している。企業は、これまでになくESGを重視する方向で活動する必要がある」

CSR部署を創設したり、植林活動をしたり、学校を作ったりするなどで社会貢献をしてきた企業は多く、そうした活動は今後も評価されるのでしょうか?

「これまで、社会貢献に熱心な企業がやってきたのは、儲かった時にCSR部署を創設したり、事前事業専門の部署をつくり社会に還元したり、寄付したり、貧しい人々に寄贈したり、学校や公園、運動場を造ったりするような事だった。」

「しかし、次第に単にビジネスの利益を社会に還元するのではなく、社会に不利益を起こさないやり方でビジネスをしていくことこそが社会貢献活動との認識が広まりつつある」

つまり、ESGは従来の社会貢献活動とは似て非なるものと言えます。

いずれにせよこれからは、投資家の目線から見てESGの取り組みに積極的でない企業の立場は、確実に悪くなっていきそうです。

投資家も変化しているという事です。

「歴史的に見れば、30~50年前まで環境は大きな問題ではなかった。だから『E』への注目はなかった。一方、社会的な貢献への期待はずっとあったが、かつては単なる利益の還元が期待された。それに対して、今は格差そのものの是正に貢献することが求められる。」

「ガバナンスは、企業倫理は言うまでもなくルールに従うこと。これも以前から重要だったが、優先順位は財務データの数字より低かった側面がある。さらに今、財務面と社会面の双方で目標利益を達成するため、社会に改善をもたらす社会的企業などを投資対象に組み込む『社会インパクト投資』に世界的な注目が集まる」

社会インパクト投資は、新たな企業評価基準にも影響しそうです。

社会インパクト投資のイメージ例は以下の通りです。

(何を念頭においてどこに2ドルを投資するか?)

(1)慈善事業 1ドルごとに20人の貧しい人が、塩を得られるが、リターンはない。

(2)社会的企業 1ドルごとに15人の貧しい人が塩を得られ、0.9ドルのリターンがある。

(3)営利企業 1ドルごとに1.2ドルのリターンがあるが、塩不足には何の影響もない。

(続く)


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マーケティング研究 他社事例 615 「無形資産投資(知財投資)を高める必要性について」 ~予算制度の在り方にもメスを~

2020-08-06 08:30:08 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 615 「無形資産投資(知財投資)を高める必要性について」 ~予算制度の在り方にもメスを~


昨年末、政府は総額102兆6580億円の2020年度当初予算案と、2019年10月の消費税引き上げの影響や多発する自然災害への備えを柱にした約13兆円の経済対策を決定しました。

経済対策は2020年度当初予算案と2019年度補正予算案にそれぞれ計上されるものですが、ここでは一体で考えてみたいと思います。

当初予算案だけでも、100兆円超えが常態化しつつある状況が、財政の持続性に懸念を抱かせていることは指摘される通りでしょう。

改革はぜひとも必要です。

最も課題だと考えているのは、肥大化した予算の使い方です。

日本の予算は経済成長につながるものになっているのでしょうか?

もっとそこを意識する必要があると思います。

主要24ヵ国の政府投資(ストックベース、2015)を見ると、日本はインフラなどを中心とした構築物への投資(建設投資)の占める割合が94%強で第1位となっています。

その後に続くのは、ポルトガルやハンガリー、チェコ、リトアニアなどです。

先進国ではイタリアがようやく9位といった所です。

建設投資に偏っているのはなぜでしょうか?

直近では、相次ぐ自然災害からの復旧や防災・減災のための対策もあります。

これは当然ながら必要な事ですが、それだけではないようなのです。

問題の一つは、建設国債制度ではないでしょうか?

政府の国債は発行目的別の分類があり、大きなものは建設国債と赤字国債です。

建設国債は、道路などをつくる公共事業を目的に発行するもので、資産が残る事から、負債を返済する将来世代に恩恵があるとしています。

そのため、財政法では建設国債以外の国債発行は原則、認めていません。

しかし、社会保障費など、インフラ整備など以外の経費にあてることになる赤字国債は毎年、特例法を制定することで発行しています。

考え方としては、建設だけを「投資」として扱い、他をすべて「費用」とするのに等しいのです。

一方、日本で低調なのが、無形資産への投資です。

有形・無形を含む政府の固定資産に占める研究開発やソフトウエア投資など知的財産生産物を見ると、日本のその比率は、主要国では下から4番目となっています。(日本より下は、イギリス・チェコ・ハンガリー)

産業の高度化に伴って、付加価値の源泉が知財に移っていることはもはや言うまでもありませんが、日本の政府投資は、今も有形の建設投資が中心になっているのです。

もっと知財など無形資産への政府投資を拡大していく必要があるはずです。

ただし難しいのは、近年の経済環境が、再び政府の財政出動拡大を求めるものになっていることです。

端的に言えば、金利引き下げなどの金融政策が効かなくなり、財政政策が重視され始めているという事です。

2008年秋のリーマン・ショック、2010年の欧州債務危機などを経て、先進国では超低金利、低インフレや超長期債利回りのマイナス化という現象が起きていました。

背景にあるのは、先進国における民間部門の過剰貯蓄です。

あえて分かり易く言えば、資金をより多くため込み続けた結果、使う分が減っているということです。

アメリカではリーマン・ショック後に、特に家計部門の貯蓄余剰が拡大しました。

欧州でも企業部門の貯蓄余剰が定着しました。

その後、やや落ち着いたところがありましたが、それでも危機以前に比べるとさらに早く、1990年代から起業部門が貯蓄余剰主体になり、足元では家計部門も余剰が拡大しています。

家計の余剰拡大は、高齢化によって貯蓄率が上昇してきたためでしょう。

日本の貯蓄率は、6~7年前ごろまでは低下傾向が見られましたが、以後再び上昇しています。

ここ数年、高齢者と女性の労働参加が進み、日本の総支払い賃金額は増えていますが、その層などが老後の将来不安に備えて貯蓄に走っているのではないでしょうか?

こうして、民間がお金を使わなくなると、中央銀行が金融緩和をしても資金需要が伸びません。

日米欧ともリーマン・ショック後に大幅な金融緩和政策を実施したにもかかわらず、効果が低いのはそのためです。

この結果、金融政策から政府による財政政策の役割を見直す動きが世界的に高まっています。

つまり民間が投資をしない以上、政府が投資をして景気を押し上げ、将来の経済成長のシーズを作っていく必要があるという発想です。

となれば、財政政策の重要度は今後、なかなか下がらないのではないでしょうか?

どう使うかが一段と重要になるはずです。

そのためにも、建設国債制度そのものを見直した方が良いという議論が必要かもしれません。

建設国債の使途は、制度的には毎年の予算総則で、建設国債による調達を何に使えるかを列挙するホワイトリスト方式を取っています。

その中身はインフラや施設整備費でほとんどが占められており、これが「政府の投資 = 建設投資」の元になっているのです。

霞が関の常として、この仕組みを残したままで使途を拡大する方法が取られやすいのですが、それでは重要な知財投資などに柔軟に対応することが難しくなると思います。

日本経済の強みをどう作るか?

予算制度の在り方にも、その鍵が潜んでいるかもしれませんね。


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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 





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