実家や会社の土地も続々…山上徹也の母親が統一教会に寄付していた「5000万円資産」の中身《会見で明かされなかったこと》

統一教会会長は「諸事情は把握していない」
現場近くの献花台 (c) 現代ビジネス

「統一教会のおかげで家庭が壊された。インターネットで調べて安倍元首相が統一教会と近いとわかり、狙っていた」
【写真】安倍元首相を撃った山上徹也が供述した、宗教団体「統一教会」の名前
こう動機を語っているのは、安倍晋三元首相を密造した銃で射殺した山上徹也容疑者だ。7月10日、参議院選挙の投開票日に送検された。
「すごい数のマスコミがきて写真を撮っていたが、山上容疑者は終始平然として、特別な反応もなかった。取り調べにも淡々と応じている」(捜査関係者)
山上容疑者は、安倍元首相をターゲットにする前には、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の最高幹部の殺害も計画していたという。
「現代ビジネス」が複数回にわたって報じてきたように、山上容疑者の母親は統一教会の信者であり、多額の寄付をして破産に至っていることが、客観的な証拠からも明らかになってきた。
7月11日、統一教会は都内のホテルで田中富広会長、澤田拓也総務局長らが記者会見を行った。山上容疑者の母親が信者であることも認めたものの、多額の献金については「破綻された諸事情は私どもも把握していません。献金問題については捜査中のため言及を避けます」と答えるにとどめた。
なぜ、山上容疑者はそこまで統一教会を恨んだのか?
山上容疑者は、自作の銃や爆弾の製造、安倍元首相の参議院選挙の遊説予定などをインターネットで調べたと話している。また、安倍元首相と統一教会の関係については、「ネット上の動画を見て安倍晋三と統一教会がつながっていると思い、殺さねばならないと考えた」と供述している。実は、安倍元首相とこの団体が「親密」だったことくらい、ネットで検索すればある程度は把握できる。

安倍元首相は、官房長官時代の2006年、統一教会のダミー組織とされる「天宙平和連合」(UPF)に祝電を送付している。
安倍元首相の「文鮮明の妻に敬意」
集会でオンライン演説する安倍氏
また2021年9月12日に「天宙平和連合」が開催したオンライン集会「THINK TANK 2022希望の前進大会」で、安倍元首相はアメリカのトランプ前大統領らと並んで演説している。山上容疑者はこの演説をYouTubeで目にしたことも、銃撃のきっかけだったと供述している模様だ。
実際、ここでの安倍氏の発言内容を見れば、たしかに統一教会との関係は密接だと誤解されても仕方がない部分がある。以下の発言を読んで欲しい。
《日本国・前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPF主催のもと、よりよい世界の対話と諸問題の平和的解決のために、およそ150ヵ国の国会首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で世界平和をともにけん引してきた、盟友のトランプ大統領とともに演説する機会を頂いたことを、光栄に思います。》
《今日に至るまでUPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁ら、皆様に敬意を表します。》 ここで言及されている韓鶴子総裁とは、言わずと知れた文鮮明の妻で、統一教会の代表者である。
《さて、いまだ収束のみえないコロナ禍でありますが特別な歴史的意味を持つことになった東京オリンピック・パラリンピックを多くの感動ともに無事、閉幕することができました。ご支援いただいた世界中の人々に感謝したいと思います。
イデオロギー、宗教、民族、人種の違いを超えて東京オリンピック・パラリンピックで感動を共有できた。世界中の人々が人間としての絆を再認識できたと信じます。》
《人と人の絆は自由と民主主義の原則によって支えられなければならないと信じます。一部の国が全体主義、覇権主義、国家が力による現状変更を行おうとする活動を阻止しなければならない。私は自由で開かれたインド太平洋の実現を継続的に訴えてきた。いまや米国の戦略となり、欧州を含めた世界の戦略となりました。》 《UPFの平和ビジョンにおいても、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします》
安倍氏が統一教会をこのように礼賛する発言は、今もYouTube上に残っている。
<略>
実家を「相続から半年で売却」のワケ
山上容疑者の母親の実家は、かつて奈良市内で建設会社を経営していた。母親の両親が死亡後、1998年に自宅と会社の不動産を相続している。
この自宅は国宝、唐招提寺から徒歩10分ほどの閑静な住宅街に位置し、70坪あまり。土地の評価額で、2000万円ほどという。
また、建設会社は幹線道路に面し、高速道路の出入り口に近い便利のいい場所に70坪ほど所有。こちらは、土地の評価額で2500万円程度とみられる。
この母親は、両親の死後に建設会社の社長にも就任していた。建物の価値を加えれば、5千万円を下らない資産を有していたことが不動産登記などから明らかだ。 ところが、母親は1998年10月3日の相続後、たった半年で自宅、会社の不動産をともに売却している。 その3年後に母親は家賃7万円ほどの賃貸マンションで破産宣告を受け、建設会社も清算した。山上容疑者も似た時期に大学を中退したと見られる。
これまでの山上容疑者の供述と総合すれば、この売却で得た現金が統一教会に寄付された可能性は極めて高い。それを裏付けるように、母親のことを記憶している統一教会の元信者が語る。
「何が入信の原因かわかりませんが、お母さんはとても熱心に統一教会を信仰され、活動にも加わっていたのを私も横で見ていました。
近所の人にも『心が汚れるといけないので綺麗にしましょう』などと勧誘もしていた。問題になった、数珠や多宝塔などではなくて、訪問販売メンバーに入って食品などを売って寄付に充てていたこともありました。当然、そのぶん家族はほったらかしです。
確かに、ご実家は建設会社でかなり裕福だったはず。不動産を処分して、それまで一戸建ての大きなおうちにいらしたのに、急にマンションに引っ越した。統一教会に寄付を余儀なくされてしまったのかもしれない。とにかくおカネが大好きな教団ですからね」
この証言は、不動産登記の移動と明らかに符帳が一致する。この元信者はこうも続ける。

「山上容疑者が安倍元首相を銃撃したのは、近鉄西大寺駅前です。実は、統一教会の関連施設はそこから徒歩数分で、駅からも見わたせる距離にあります。事件後の土曜日、日曜日は安倍元首相の死を悼み、献花に訪れる人が500m以上の行列をなしていましたが、その行列が統一教会の施設のすぐ近くまできているの見て、すごく驚きました。これも因縁なのでしょうか」

7月11日の統一教会の会見では、田中富広会長が「破綻された方の家庭が破綻された諸事情は、私どもも把握しておりません。現場に問い合わせても、当時のことをわかってる方もおらず、把握しきれてないのが現状です」と答えるに留めた。だが、この一家の破綻に統一教会の存在が関係していることだけは、疑いようのない事実なのである。
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