ペストの大流行を生き延びた人は免疫系に変化があった…その結果、自己免疫疾患の発生リスクが高まる
ペストの大流行を生き延びた人は免疫系に変化があった…その結果、自己免疫疾患の発生リスクが高まる
ペスト医師
10/31(月) 20:00配信
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1348年と1349年にロンドン東部で集団埋葬された、ペストによる死者の遺骨。
670年前にヨーロッパを襲ったペストが現代の人類にも害を及ぼしている可能性をある研究結果が指摘している。
【全画像をみる】ペストの大流行を生き延びた人は免疫系に変化があった…その結果、自己免疫疾患の発生リスクが高まる 人類がペストを乗り切るのを助けた遺伝子の突然変異が、慢性疾患のリスクを高めたのだという。
この研究は、疫病は大流行が終息した後も人類の健康を左右する可能性があることを示唆している。 約670年前にヨーロッパを襲った悪名高きペスト(黒死病)が、現代の人間の健康にも影響を与えていると先駆的な研究が明らかにした。
この研究は2022年10月19日、査読付き科学誌『ネイチャー(Nature)』で発表され、1300年代半ばのペストの大流行を生き延びた人々は何らかの突然変異を持つ可能性が高いということを明らかにした。 だが、この突然変異には否定的側面があると研究は述べている。例えば、クローン病や関節リウマチといった慢性疾患のリスク増加だ。
「これはペストを生き延びた人々が代価を払った、つまり、自分自身に対して反応しやすい免疫系を持つようになったということを示唆する」とシカゴ大学の遺伝医学教授で研究の著者、ルイス・バレイロ(Luis Barreiro)はCNNへのメールで述べている。
数百年の時を経て我々を悩ませる代償
「非常に素晴らしい研究だ」と、ロンドンにあるフランシス・クリック・インスティテュート(Francis Crick Institute)の疾患遺伝子メカニズム研究室を率いるジェームズ・リー(James Lee)はInsiderに語った。リーはこの研究には関与していない。
「DNAのさまざまな領域が、この種の疾患の一因になるということは分かっていた。
科学者は以前から、疫病の大流行が人間の遺伝子構造を形成するのではないかと疑っているが、それを証明するのは非常に難しい。 ペストは人類史上最も多くの死者を出している疾患で、調査対象としては完璧だとリーは述べた。
1346年から1350年のわずか5年の間に、ペスト菌によるパンデミックである黒死病は数千万人から数億人の命を奪った。その多くはまだ、子どもを持つこともできない年齢だった。
イギリスとデンマークの集団墓地に埋葬された206の遺骨の遺伝子情報をペスト大流行の前、最中、後で調べると、遺伝的変異と呼ばれる4つの変異が測定された。そしてその変異は人間の生存を助けたが、一方では妨げたことがわかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/06e06d93fe82d87cc00af79faaf129e2fd392170