ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

歴史紀行 ドーヴァー海峡(前半)

2022-10-06 19:28:34 | ヨーロッパあれこれ

 

歴史紀行 ドーヴァー海峡
東潔 著
振学出版 発行
平成6年7月30日初版発行

少し前に「フランスが生んだロンドン、イギリスが作ったパリ」という本を読んだ流れで、図書館で偶然発見したこの本を借りて読みました。
1993年春、ドーヴァー海峡を挟んだ両岸(ノルマンディーと南イングランド)を二週間ほど車で走った記録とともに、両岸を舞台にした歴史的出来事を振り返っています。

 

序章 海峡王国の誕生
ノルマン・コンクェストによって、英仏海峡を挟んだフランスとイギリスにまたがる”海峡王国”の誕生。

ヴァイキングの出現は、ヨーロッパの人々にとって悪夢のような事件だった。
フランス初の女性首相となったエディット・クレッソンの強硬な対日批判は、日本のヨーロッパ進出を「ヴァイキング襲来」のイメージとだぶらせていたのではないか。
そう考えると、彼女の強硬発言は、実は悲鳴の裏返しのような気がする。何しろ、彼女の夫は自動車メーカー、プジョーの重役だった。p27-28

 

第1章 恩讐の海 ブルターニュ
ジャンヌ・ダルクの奇跡は、いってみれば「素人」(アマ)ゆえの破天荒さがもたらしたものだった。彼女の「志」を受け継ぎ、軍・政両面で組織を立て直し、精強になった軍を縦横自在に操り、対英戦を勝利に導いた「専門家」(プロ)がいたはずなのだ。
ブルターニュ公アルチュール・ド・リッシュモン(1393-1458)こそ、その人であった。p39

民族的自覚が端的にあらわれるのは「ことば」である。
イギリスは百年戦争の最中、1362年に公式の場で英語が復活する。議会が英語で開会を宣言し、法廷で訴えるときに英語を使ってもよいこととなった。
約300年ぶりである。p46

 

アーサー王物語といえば中世以来、ヨーロッパで最も人口に膾炙した英雄譚だが、ケルト人の嘗めた歴史の苦汁の中から生まれた伝説なのだ。 アルチュール・ド・リッシュモンはまさにケルト直系で、アルチュールは英語に直せばアーサー、つまり、伝説の英雄にちなんで名付けられたのである。p74

司馬遼太郞曰く「革命には三段階ある」
第一段階として思想家があらわれ
第二段階では革命家が思想家の理念を実行に移し
そして最後に実務家が革命の混乱を収拾して、新しい時代がはじまる。
思想家や革命家といった先駆者はたいてい非業の死を遂げる。
革命の果実を味わうのは実務家である。彼らは人生をまっとうし、現世での栄誉や栄達も受ける。このアンバランスを解消するために、後世は先駆者に対して様々な称賛を捧げるのだ。
リッシュモンはジャンヌダルクと違い、後にブルターニュ公となり、ナントの居城で大往生を遂げている。
リッシュモンは忘却の彼方に追いやられたが、ジャンヌダルクとともに「フランスの解放者」であることに変わりない。p82-83

 

第2章 戦争の海 ノルマンディー
フランスで国営企業が多いのは「コルベール主義」の伝統といわれている。
コルベール主義とは、17世紀、ルイ14世の下で財務総監をつとめたコルベールが、富国強兵と王室収入増大のために実施した重商主義をさす。
コルベールは補助金、税の減免、生産や販売の独占権付与など強力な国の保護と介入で経済の強化に努めた。p101

フランスは「エタ」(人工的な統治機構としての国家)が「ナシオン」(同じ民族、国民としての共同体意識を持った人間集団)よりも先にできた国といわれている。
同じような国としてアメリカ合衆国がある。p102
 
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ジョワニー市庁舎前にはためくEU旗

2022-10-01 15:18:09 | フランス物語

 

ジョワニー市およびブルゴーニュ旅行、最後の画像になります。
秋ののんびりした青空のもと、青いEU旗がはためいています。
旗がはためいているのを見るたび、ナントカのひとつ覚えで「旗ははたはたはためくばかり」という、中原中也の詩のフレーズを思いだしてしまいます。
あくまで旗を中心に撮ったのですが、背景にはちょうど市庁舎と以前紹介したゴンディ城、そしてサン・ジャン教会の鐘楼部分が写っていました。
ジョワニー市のHPより、簡単な市紹介の文章を載せておきます。

 

JOIGNY :
Ses habitants : les Joviniens
Population totale : 9 997 habitants au 1er janvier 2018 (source INSEE)
Superficie : 4 667 hectares
Altitude : 77 m dans la vallée et 225 m à Beauregard
GPS - Latitude : 47.981432 - Longitude : 3.398961

ジョワニー:
その住民: Jovinians
総人口: 2018 年 1 月 1 日現在9,997 人の住民(ソース INSEE)
面積: 4,667 ヘクタール
標高: 谷で 77 m、ボールガールで 225 m
GPS - 緯度: 47.981432 - 経度: 3.398961



Le site de Joigny bénéficie d'une avantageuse position stratégique : un éperon rocheux du plateau de la forêt d'Othe dominant l'Yonne, voie de communication.
Dès la fin du Xe siècle, le site est fortifié, sans doute à le demande de Rainard le Vieux, comte de Sens. Au XIe siècle, la ville prend forme : un château avec sa chapelle et son enceinte, un ensemble monastique à l'est et une simple chapelle entourée de vignes à l'ouest.

ジョワニーの立地は、交通路であるヨンヌ川を見下ろすオットの森の高原にある岩の多い露頭という、有利な戦略的位置の恩恵を受けています。
10 世紀末から、サンス伯レナール・ル・ヴューの要請により、この場所は要塞化されました。11世紀には、町が形成されました。礼拝堂と囲いを備えた城、東には修道院、西にはブドウ畑に囲まれたシンプルな礼拝堂がありました。



Au pied de la fortification se développent progressivement trois paroisses :
- à l'est, la paroisse Saint-André,
- au centre, la paroisse Saint-Jean,
- à l'ouest, la paroisse Saint-Thibault.

城塞のふもとに3つの小教区が徐々に発展していきます。
東にはサン・タンドレ教区
中央にはサン・ジャン教区
西にはサン・ティボー教区

 

Du Moyen-âge, Joigny a conservé, outre quelques vestiges de ses enceintes, le réseau de petites rues pentues reliées entre elles par d'étroits passages ou escaliers et de nombreux toponymes. En 1530, un terrible incendie ravage la cité. Grâce à la richesse qu'elle tire du commerce et à la générosité du comte, la ville se relève rapidement de ses cendres, comme en témoignent aujourd'hui les nombreuses maisons à pans de bois sculptés datant du XVIe siècle. Ces demeures en bois, le château et les églises font de Joigny une ville de la Renaissance.

ジョワニーは、中世から、その城壁の痕跡に加えて、狭い通路や階段、および多数の地名によって結ばれた小さな急な通りのネットワークを保存してきました。1530年、大火が街を襲いました。交易で得た富と伯爵の寛大さのおかげで、町は灰から急速に立ち直りつつあり、今日では 16世紀に建てられた多くの彫刻が施された木骨造りの家々がその証拠となっています。これらの木造家屋、城、教会が、ジョワニーをルネサンスの町にしています。

 

今回、ブルゴーニュのオーセール、アコレイ、ジョワニーという、3つのコミューン(市町村)を振り返りました。
オーセールはよく知られた街ですが、アコレイは小さな村、ジョワニーは人口一万人ほどの街で、三者三様の様子を回顧することができて、楽しかったです。
 
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