有限会社人事・労務の髙橋です。
ここ数年、「健康経営」が注目されています。健康経営とは、社員の健康面に投資して、会社として持続的な成長を図る経営戦略です。健康経営には、①社員の定着率アップ、②生産性向上、③会社のイメージアップなど様々なメリットが語られます。
なぜ、健康経営が今注目されているのか。
少子高齢化に伴う若手世代の労働人口の減少、コロナ禍による健康不安、ワークライフバランスの考え方の変化など、様々な要因が考えられます。今回は働き方改革に伴う法改正との関連で考えてみたいと思います。
*社内のメンバーでマラソン大会に出場しました!
働き方改革はご存じの通り、労働者がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を実現したり、雇用形態にとらわれない公正な待遇を確保するための施策で、主に2019年から各法改正に伴い、様々な動きが出ています。
働き方改革に伴う主な変更点は下記です。
①残業時間の上限規制(原則は月45時間、年360時間)
②年次有給休暇の年5日の取得義務化
③労働時間の客観的な把握を義務化
④高度プロフェッショナル制度の創設
⑤フレックスタイム制の拡充
⑥勤務間インターバル制度の導入(努力義務)
⑦産業医・産業保健機能の強化
⑧同一賃金同一賃金制度
⑨月60時間超の残業に対する割増賃金率引上げ
細かい内容はこの記事では割愛しますが、全体的に長時間の残業を抑え、休暇を取得しやすくすることで私生活の充実を図ってもらおうとする内容や、パート・アルバイトなどの非正規雇用の労働者の一定程度の待遇確保により、副業の選択などより自由な働き方を推進していく動きが主となります。
労働者側からすると、正社員と同等の待遇が確保されるのであれば、必ずしも正社員の選択を取る必要はないですし、労働時間も制限がかかることで大体の時間の目安がつくのであれば、空いた時間で副業をするという選択肢も取りやすくなります。平日は正社員として会社に勤め、土日はアルバイトやパートをしたり、個人事業主として活動するという人も今後増えていくでしょう。
そうすると、労働者としては「この仕事は長く続けられないな」と感じた場合、他の選択肢に流れる可能性が今までより高くなります。同じ会社に正社員として残り続けなくとも、収入水準を維持する選択肢が増えたからです。よって、社員に「この会社で長く働きたいな」と思われる環境作りは大切になってきます。
また、この情報社会にあって、悩ましい話ですが良い評判であれ悪い評判であれ、噂はネットを通じて瞬く間に広がっていきます。社員の健康や法律を無視した経営スタイルをとっていると、あっという間に社会に噂が広がってしまうのです。そのような観点からも、健康経営というのは大切なものです。
とはいえ、「健康経営とは具体的に何をすればよいのか?」と思われる方もいると思います。
まずは、健康経営とは関係なく当然のことなのですが、上記の法改正内容をしっかり押さえた上で対応する必要があります。社内の福利厚生制度を充実させるのも1つの有力な手法です。
取り組み事例として下記のようなものがあります。
・システム導入による業務の効率化を図った。
・コワーキングスペースの開設を行った。
・リフレッシュ休暇制度を設けた。
・運動習慣定着のためにウォーキングイベントを設けた(歩数に応じて表彰など)。
・女性社員が働きやすいよう子連れ出勤を認めるようになった。
・健康促進のため、昼食時にヘルシー弁当を提供するようにした。
など、あくまで一例ですが様々な取り組みがあります。
経済産業省などが取り組み事例を公表しておりますので、一度ご覧いただくとイメージがつきやすいかと思います。
社員の成長はもちろん、会社としても長く発展していくために「健康経営」、ぜひ一度検討してみてはどうでしょうか。
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