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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

アカントアメーバ

2010-07-12 10:22:22 | 日記
 目は悪くなかった。中学2年生までは。視力も2.0あった。視力検査の時、1番小さなCの文字が当たり前に見えてしまうので、多少見えないようなフリをしなければいけないのではないかと気を使ったほどだ。

 ところが中学3年になるといきなり見えなくなった。黒板の文字がぼやける。目も細めたり、端を引っ張ってみたりして目のレンズを調整し、なんとか板書を読んでいたら先生に「お前見えないのか?」と聞かれた。
 座高が高くて、ずっと教室の一番後ろにしか座ったことが無かった私が、最前列に座らせれることになった。
 それまでは一番後ろでのんびり窓の向こうの田んぼや空や鳥をながめていたのに、急に黒板だけを見るようになって、よけいに視力は悪化した。

 しばらくほって置いたが、一番前の席からでも黒板の文字が見えにくくなるに至って、とうとうめがねを作ることになった。
 黒ぶちのがっちりしためがねを授業の時だけこっそりかける毎日だったが、やがて慣れてくると、かけたりはずしたりするのが面倒臭くなってきた。常用するようになると、視力はさらにどんどん落ち、レンズはどんどん厚くなって、めがねが無いと生活できない今がある。

 今のように使い捨てのソフトコンタクトレンズなどがどこでも手に入るという時代でなかった。コンタクトレンズを使おうなどと思ったことは一度もない。ずっとめがねをかけた生活をしている。

 冬、暖かい電車に乗ると目の前が真っ白になる。めがねが曇るのだ。両手がふさがっている時など、白いサングラスをかけたかのような顔で、じっとしていなければならない。
 夏、ゴルフの打ちっぱなしなどに行くと、ポタリとたれた汗がめがねに溜まる。水中でゴルフボールを打っているような感覚になりながらクラブを振りぬく。ボールをにらみつけるたびにポタリと来るのでそのたびに拭くのも面倒くさい。

 めがねは不便だ。
 だが、先日、アカントアメーバ角膜炎という最近流行の病気について聞いて、ま、めがねも悪くないか、と思うようになった。
 アカントアメーバはどこにでもいる微小生物らしい。それがコンタクトレンズ上で繁殖し、角膜に転移して広がる。コンタクトレンズで傷ができた角膜はたちどころにアカントアメーバの巣となり、角膜は白濁して最悪の場合、失明する。
 角膜上に棲みついてしまったアメーバを目に悪影響を与えずに撃退する薬品や手術は今のところ無いらしい。だから一度角膜に棲みつかれてしまうとなかなか厄介なことになる。

 これを防ぐためには、コンタクトレンズを毎日こまめに「こすり洗い」することだそうだ。本来コンタクトレンズとは、そういう面倒なメンテナンスが必要な代物なのだ。目が見えなくなるリスクを考えたら、面倒でもきっちり手入れをするか、めがねに変えるのがよかろう。
 めがねには不便なことも多いし、ファッションセンス的に考えても嫌がる若者は多かろう。しかしアメーバが目に棲みついている美男美女、というのは、いただけない。やはり美男美女は健康であって欲しい。

 根本的には、めがねもコンタクトレンズも不要な、目を悪くしないための教育が必要なのだろう。リアルな目も、心の目も、健康でよく見えるほうが良い。


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