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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

小物の準備

2014-03-31 08:09:47 | 日記
 明日から社会人という日に、どんなことを考えていたのだろう。もうかれこれ30数年前のこと。どこか別の世界の話のようだ。薄っすらとした記憶をたどると、当時も今と同じように桜が咲いていて、春とはいえ、ちょっと寒かった。初日の朝、私はかなり早く会社に着き、会社の扉がまだ開いていないのを確認し、ビルの前で知った顔は来ないかと寒さをこらえてぶらぶらしていた。ビルの入り口の黒い大理石の床の上に風に運ばれた桜の花びらが所々淡い色の模様を作っているのを見ながら、誰かがそれを踏んで滑って転んだら大変だとぼんやり考えていた。最初に来た知った顔は3年ほど先輩で、入社前の顔合わせで話したことのある人だった。先輩がスーツの上に濃紺のトレンチコートを羽織っているのを見て、まだ寒いからコートを着て行った方がいいのでは無いかという母の言葉を「いらない」と強く否定して出てきた自分を反省したのをなぜか鮮烈に覚えている。これから何が始まるのか考える余裕もなく、着るものの心配で頭がいっぱいだったのかもしれない。不思議と会社のビルの前で待っていた記憶以外に初日の記憶は一切無い。思い返せばあれから様々なことがあったわけだが、なんだかあの日の次の日が今日であってもおかしくないような感じがする。あの時、玉手箱でも開けてしまったのだろうか。

 幼稚園から小学校に上がる時にランドセルや靴を新調するように、明日から社会人という日、私はもしかしたら身の回りの細々としたものを探して歩いていたかもしれない。スーツと靴とバッグは、就職活動のようなそうでないようなたった1社きりの採用試験の時に購入していた。ある化学メーカーだった。そちらに受かっていたら今とは違うブログを書いていたろうか。おそらく若干の差はあろうが大きな違いは無いだろう。どこで何をやっても結局は不器用に同じ生き方をするしか能がない。

 名刺入れ、定期券入れ、ハンカチ、ネクタイ、ワイシャツ、ソックス、そんなあれやこれやを当時私は持っていなかった。必要がなかったからだ。化学メーカーの時の就職試験には都合3回ほど出かけたが、ワイシャツもネクタイも父に借りた。腕時計も借り、父が亡くなった今でも腕時計だけは借りっぱなしだ。

 名刺入れ、定期券入れはやけに高額なものを奮発した。どちらも10年以上使った。大変な愛着を持ったものだったのに、ボロボロになっても使っていたら新しいものをプレゼントされて、それ以来最初に買ったものをどこにしまったのか捨ててしまったのかまったく思い出せない。今の名刺入れはさらにその後の3代目、定期入れはカード入れとして使っていてやはり3代目になる。

 入社日間近までくずぐずし、直前になって横浜高島屋に駆け込んで必要なものを一気に揃えた。かなり高くついた。しかし、その時購入したものは皆その後長く使った。大事に使いたくなる品物を購入するのは、高くとも決して無駄ではない。

 明日から新年度。新しい生活を演出する新しい小物達を携えて、新しい仲間がやって来る。ちょっと早目に出社して、待ち切れなくて早く来てしまうかもしれない彼らがビルの前でウロウロしなくても良いように扉を開けて待っていよう。これから先、自分達の力で新しい扉を開き続けなければならない彼らのために。(三)


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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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