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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

禁煙席

2015-11-16 08:27:57 | 日記
 白黒だった映像に色を付けて復元し、時代の躍動感を感じて欲しいと特集する番組がNHKあたりでたまに特集放映される。確かに色の無い画面で見るのと比べると格段に、その世界が身近なものに感じられる。大した技術である。

 映像音声だけでなく、匂いなども含めた場の全体を記録するシステムは今のところまだ無い。しかし、いずれ出てくるだろう。もちろん、記録できるのだから再生もできる。そうなれば、テレビリモコンには匂いのボリュームなどが用意される。これを大きくしてしまうと、食事ができないような大変な場面も想定される。

 白黒映像に色が付いたように、匂い無しの映像に匂いを付けて時代の躍動感を伝える番組が作られるかもしれない。20世紀も21世紀も底辺に流れる匂いは火薬の匂いだろうか。そしておそらくはタバコの匂いが臨場感を醸し出す最大のものと言えるだろう。

 最近でこそ禁煙が進み喫煙者の肩身も広く無くなったが、私が社会人になった30年ほど前には滅びる前の恐竜のようにあらゆる職場は喫煙者で埋め尽くされていた。デスクの脇の灰皿は常に吸殻で溢れており、打合せも電話も何もかもがタバコを吸いながら行われたものだ。タバコの匂いが嫌いな人が間違ってタイムマシンで昭和に行ってしまったら、時代を謳歌するどころか、きっと出家して山にこもる。それぐらいタバコ臭に満ち溢れた時代だった。

 だから昭和のドラマや映画に匂いを付けて再現すると、どんなに良い香りがして来そうな女優さんや場面が展開されても、実はタバコくさいのがリアルなのである。

 平成になって相当時間が経ったが、都心の駅前には未だにあの頃のように部屋中煙で真っ白になる喫茶店がポツポツ存在して、生き残ったヘビースモーカー達が砂漠で出会ったオアシスのように利用している。

 たまたまそういうレアな場所に非喫煙者である私が飛び込んでしまう場合もある。一応義理で置かれた空気清浄機の隣あたりに設けられた禁煙シールが張り付いた席に座るのだが、北京のPM2.5もかくあらんと思われる白い大気の中で、よみがえる昭和の時代を思い出し、近いうちにこの状況をブログに書いてやるぞなどと考えて打合せにはまったく身が入らない。煙い。タバコくさい。

 店を出ても全身に付いたタバコ臭はいつまでたっても消え去ることなく、タバコ臭のカプセルの中に入って歩いているような感覚になる。匂いを再現するテレビが出来ても、使い始める前に、まずタバコ臭は再現しない設定にしてから使いたい。匂いの臨場感は快不快に直結しているのだろう。3D映画というのがあるが、匂い付きの立体映画はなんと呼ぶのだろう。リモコンのボリュームのように匂いを絞ることが出来ないと、映画館から逃げ出す人も出てくるに違いない。

 父も母もヘビースモーカーだった。そのせいか、苦手なはずのタバコの匂いも、ちょっとだけ懐かしく、たまにそんな映画を見てもいい。そう思う時もある。そんなことを考えながら、タバコくさい禁煙席で打合せをしたのだった。(三)


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株式会社ジェイエスピー
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