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生後半年

 太郎の狂犬病の予防接種に行ってきた。それと、フィラリア予防の薬ももらってきた。普通の車ではもうとても運べないほど大きくなったので、塾のバスに乗せて行ったのだが、ドアを開けてやっても自分からはうまく乗れない。後ろから腰を抱えるようにして「よっこらしょ」と乗せたら、すぐに座席の下にうずくまってしまった。やはり気が弱いのだろうか・・。
 獣医に着いて、ドアを開けると同時に飛び出してきた。車は嫌いなのかもしれない。弁慶は車に乗せてやると、すぐに窓から顔を出し、風を顔に受けながら気持ちよさそうに乗っていたのに・・。当然のことだが、犬にも一匹一匹個性があって、それを比べてみるのも面白い。体躯の大きさだけ見れば、ほぼ弁慶と同じ大きさにまで成長したように見えるが、いざ体重計に乗って調べたら、25kgだった。2か月前は17kgだったから、8kg増えたことになる。だが、弁慶は確か35kgはあったはずだから、まだまだ大きくなるはずだ。
「秋田犬は生後1年半くらいまでは大きくなりますよ」
獣医の言葉に、思わずため息が出てしまう。
「私の体験では50kgの秋田犬がいました」
「50kgですか・・」
まさかそんなに大きくはならないだろうが、食欲だけはかなり旺盛な犬なのであながち無理な数字ではないような気もする。もしそんなに大きくなったら、散歩になんかとても連れていけなくなってしまうだろう。半分の重さでも辟易するぐらい力が強くて、診察台に載せるのさえ一苦労だというのに・・。
 
 狂犬病の注射はあっという間に終わった。太郎は注射を打たれても、何の反応もしない。やはり鈍感な犬なのだろうか。フィラリアの薬は体重を40kgまで大きくなる場合を想定して、それに見合った量をもらってきた。来月の初めから11月まで毎月1個ずつ飲ませなければならない。弁慶の時は決められた頃に飲ませるのを忘れてしまって、焦ったことが何度かあったので、太郎には忘れずにきちんとやるようにしなくてはいけない。フィラリアだけには罹らせたくないから・・。



 妻が会計をしてる間、獣医の建物の前の庭で写真を撮った。本当は顔も写したかったのだが、こちらが思うようにはなってくれなかった。それでも秋田犬特有のしっぽがクルンと巻いた様子がよく分かって、なかなかの一枚が撮れたように思う・・。
「ちっとも鳴かないんです、って言ったら、『あれだけ大きな犬なら、いるだけで十分番犬の役目をしますよ』だって」
「そりゃそうだけど、鳴かずに檻の中に入ってりゃ、いないのと同じだよな」
そうは言っても最近はほんのたまに、太郎の鳴き声を聞くようになった。たぶん「腹が減った!!」と私に知らせたいのだろうが、知らぬ間に野太い声になっていて、少しばかり驚いた。あれで吠えたてられたらさぞや迫力があるだろうな、と思うだけに余計、「もっと鳴けよ!!」と言いたくなる。
「弁慶も子供の頃は鳴かなかったっけ?」
「どうだったかなあ。大人になってから、知らない人が通るたびに大きな声でずっと吠えてたのしか覚えてないなあ」
 
 どんなものにも「時機」がある。きっと太郎も時機が来れば番犬の役目を立派に果たすようになるだろう。そう思って楽しみに待つしかない、今はそう思っている。 
 
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