★ 土曜、日曜日は中学3年生の特訓が続く。ふと隣家からリコーダーの音が聞こえてきた。小学5年生の子が練習をしているのだろう。教科書に載っている「星笛」という曲。哀愁漂う美しい曲だ。
★ さて、澤田瞳子さんの「火定」(PHP文芸文庫)を読み終えた。737年、天平9年。奈良の都を天然痘が襲う。当時の日本の人口の25%から35%に及ぶ100万人から150万人がこのパンデミックで死んだという。政権を握っていた藤原4兄弟も相次いで感染し死亡。政権の無策が被害を拡大させる。
★ 主人公は2人。一人は20歳を超えたばかりの名代(なしろ)という名の下級役人。出世コースから外れた施薬院に配属され、その境遇に不満をもっている。もう一人は優れた医師で天皇の脈をとる侍医まで務めながら陰謀により失脚。無実の罪で獄につながれた諸男(もろお)という人物。
★ もし平時であれば出会うことのなかった二人。名代はパンデミック、医療崩壊に遭遇し、非業の死を遂げる人々、とりわけ子どもたちの屍を前にして、医術への志を強めていく。一方の諸男は恩赦で獄から出るものの、自らを陥れた人々への復讐を胸に秘めつつ、日々の糧を得るためにイカサマ宗教に加担する。
★ この作品が新型コロナウイルスが蔓延する前、2017年に刊行されたというから驚く。私たちがコロナ禍で体験している出来事が既に予見されている。
★ 中盤までは奈良時代の役所名の難しさなど親しみのない状況になかなか読みが進まなかったが、後半は一気にその世界に入ってしまった。時代考証といい、この作家はすごい。
★ さて、澤田瞳子さんの「火定」(PHP文芸文庫)を読み終えた。737年、天平9年。奈良の都を天然痘が襲う。当時の日本の人口の25%から35%に及ぶ100万人から150万人がこのパンデミックで死んだという。政権を握っていた藤原4兄弟も相次いで感染し死亡。政権の無策が被害を拡大させる。
★ 主人公は2人。一人は20歳を超えたばかりの名代(なしろ)という名の下級役人。出世コースから外れた施薬院に配属され、その境遇に不満をもっている。もう一人は優れた医師で天皇の脈をとる侍医まで務めながら陰謀により失脚。無実の罪で獄につながれた諸男(もろお)という人物。
★ もし平時であれば出会うことのなかった二人。名代はパンデミック、医療崩壊に遭遇し、非業の死を遂げる人々、とりわけ子どもたちの屍を前にして、医術への志を強めていく。一方の諸男は恩赦で獄から出るものの、自らを陥れた人々への復讐を胸に秘めつつ、日々の糧を得るためにイカサマ宗教に加担する。
★ この作品が新型コロナウイルスが蔓延する前、2017年に刊行されたというから驚く。私たちがコロナ禍で体験している出来事が既に予見されている。
★ 中盤までは奈良時代の役所名の難しさなど親しみのない状況になかなか読みが進まなかったが、後半は一気にその世界に入ってしまった。時代考証といい、この作家はすごい。