じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「強欲資本主義 ウォール街の自爆」

2008-10-28 06:12:46 | 
強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書 663)
神谷 秀樹
文藝春秋

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★ 世界経済が崩壊しつつある。私達は9・11で貿易センタービルの崩壊を目の当たりにした。同時多発テロは、想像を絶する、まさにありえない事件だったが、今の経済状況に同様な感じを受ける。まさに、私達は今、世界恐慌を体験している。

★ 「強欲資本主義 ウォール街の自爆」は、実にタイムリーな書である。今現在起こっていることが、どうしてこんなにスピーディーに出版できたのか、まずその点に驚いた。たぶん著者は今日のありさまを既に予見していたのであろう。

★ 長年ウォール街に身を置き、その裏と表、その正体を知り尽くしている著者だからこそ、今日の状況とその原因を見抜けたのであろう。マネーゲームに堕してしまった資本主義の変質を身をもって感じているからこそ、これほどまでに説得力のある文章が書けるのであろう。

★ 筆者は「世界バブルの大崩壊」を強欲と拝金主義の帰結と捉える。カネに群がる投資銀行、ファンドの人々の姿から強欲資本主義の本質をズバリと見抜き、その崩壊が今後の世界をどう変えていくのかを見通している。

★ 今尚、病状は進行中で特効薬もないし、処方箋は手探り状態だ。そんな中、著者は「共感」の回復などによる新しい資本主義の可能性も予言している。

★ 実に面白い本だった。「資本主義」の失敗の背景がよくわかった。資本主義は人間の欲望を巧みに利用した経済体制だが、倫理観や節度が失われたなら「欲望」が暴走、人間がカネの奴隷となってしまうことがよくわかった。「欲望」といったものは破裂するまで際限なく膨張することがよくわかった。

★ 以前、ある本で「創造的利他主義」といった言葉を知ったが、「欲望」をいかにコントロールできるのか、新しい技術革新と並んで、それはゼロ成長時代の人間に課された試練であろう。
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富の偏在

2008-10-27 17:52:07 | Weblog
★ 東証の株価が7000円を割り込む勢いだ。強欲な人々が財産を失っただけなら「どうぞご勝手に」ということだが、銀行や生保など集めた資金を株式で運用している企業はダメージが大きい。そうなると、金のめぐりが悪くなり、決済ができずに連鎖的に倒産する企業が増えるなぁ。

★ 真面目に仕事をし、そこそこ実績を挙げているのに金が回らないばかりに倒産とはもったいない話だ。

★ 世界は金余り現象。搾取と仮想で膨らんだマネーが、出口を求めて暴走している。株価から、石油や食糧の先物取引へ、更には円へと。「欲望」の暴走とも言えよう。

★ 人間の欲望には際限がない。かつてマックス・ウェーバーは「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を著したが、倫理などどこへ行ってしまったのだろうか。
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大変革期

2008-10-25 13:01:23 | Weblog
★ 久しぶりに「朝まで生テレビ」を終わりまで見た。今回のテーマは「経済危機」。

★ 今回の討論でわかったこと。アメリカがインチキな商品をウィルスのように世界にばらまいたということ。今日の経済危機が拝金主義の成れの果てだということ。その過程で大金をつかんだ人たちがいたということ。

★ これからは外需に頼れないと言うこと。かといって先行きに不安があるから内需の拡大も難しいと言うこと。

★ 結局、資本主義だから景気変動はやむを得ず、そのうち景気は回復するが、それまでは茨の道だということ。その間、どうやって食いつなげるかが課題だと言うこと。

★ 破綻する国家が出るかもしれないし、これを機会に覇権を拡大する国家があるかもしれないということ。

★ 今、まさに世界史的な大変革期を経験しているのかも知れない。

★ 先行きに対する不安は政治への不信感に根ざしている。後期高齢医療制度や年金への不信感。もはや国民は政治家の言葉を信じてはいない。政治家の「安心」などといった言葉は実に虚しい。

★ 今回の討論を見ていても与党議員の発言には説得力を感じない。いくら気色ばんでも大企業擁護の発言としか受けとれなかった。(ブルジョア政党だから仕方ないのか。)アメリカ発の恐慌とは言え、プチバブルと言われる中、国民生活が良くならなかったのは確かだ。自公政権下で格差が広がったのは確かだ。

★ 国民が政府を信頼できなくなると言うことは革命前夜の様相だ。
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アメリカの没落

2008-10-24 15:05:14 | Weblog
★ テレビを見ていたら、アメリカ議会の公聴会が報じられていた。グリーンスパン氏(FRB=連邦準備制度理事会前議長)が証言をしていた。

★ 今日の経済危機が予期できたかどうか。どうして何も手を打たなかったのか。政策判断を誤ったのではないか、と言った追究を受けていた。

★ ミスタードルと威光を放ったグリーンスパン氏だが、今やスケープゴートの状態だ。戦犯探しはどこの国でも同じようなものだと思った。

★ 中には擁護論もある。「誰にも今日の状況は予期できなかった」とか、「みんな同じ船に乗っていたのだ」という意見である。1億総ざんげ的な意見もどこの国でも同じだなと思った。

★ アメリカの没落は深刻だ。アメリカの消費に頼っていた諸国の先行きも暗いなぁ。

★ しかし、これも教訓なのだろう。見方を変えれば経済の自己修正機能が働いているともいえる。市場は資産を保有する日本人に「もっとカネを使え」と要求しているようにも思える。

★ 庶民感覚とは程遠いが、日本のあるところには財宝が眠っているのだろう。
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「大恐慌のアメリカ」

2008-10-19 06:07:48 | 
大恐慌のアメリカ (岩波新書)
林 敏彦
岩波書店

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★ ベルリンの壁が崩れた時は驚いた。世界を核戦争の恐怖に陥れた冷戦は呆気なく終焉した。阪神淡路大震災ではテレビに映し出される光景に目を疑った。関東大震災を想像した。そして今、私は世界恐慌を体験している。

★ 世界恐慌とはどのようなものか、どのように発生し、どのような経過をたどり、どのように終結するのか。それを知りたくて本書を読んだ。

★ 1929年10月24日木曜日、ニューヨーク・ウォール街は大混乱に陥った。繁栄を誇ったアメリカ合衆国のバブルが一瞬に破裂し、株価が大暴落したのだ。

★ 翌日には一時的に株価が持ち直したため、政治家達は楽観的な見方をしていたが、週明けからは地獄が始まる。10年間に渡る不況。それは世界に伝播し、世界大戦を経て終結する。

★ 今日の状況との類似に震撼する。

★ 本書はまず1920年代の繁栄するアメリカを描き、次にそれが崩壊する「暗黒の木曜日」とその対策に追われる政界、経済界、学会の動向を緻密な資料に基づき追跡する。当時の経済学の理論を平易に説明する入門書であると同時に、時代の証言を綴ったドキュメンタリーでもある。

★ 二人の大統領、フーヴァーとローズベルト(ルーズベルト)が対照的に描かれているのが印象的だった。ルーズベルトといえばニューディール政策が有名だが、彼が大統領に就任するや矢継ぎ早に繰り出す対策、ラジオを通して国民に直接「希望」を訴えるところも印象的だった。

★ 第5章の「大不況の経済学」では、実に示唆に富む指摘が豊富に紹介されていた。格差社会が経済成長にブレーキをかけるという指摘は今日の日本にもあてはまる警鐘だ。ハンセンという経済学者が「長期停滞論」で述べる指摘には70年の時を経ているとは思えない新鮮さを感じた。

★ 本書は1988年の初版で、すでに20年が経過しているが、碩学の書は先見性に溢れ、時を経て益々輝きを増しているように思えた。
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指導力不足教員

2008-10-18 10:25:52 | 教育
★ 文科省は指導力不足教員の統計をまとめた。今年度は371人。内訳は7割が男性で、8割が40歳代、50歳代だという。

★ 「指導力不足」の中身はさまざまだろうが、371人の背後には多数のグレーゾーン教員の存在が想像できる。

★ 指導力不足教員はなぜ生まれるのか。①採用の誤り、②初任者研修の不備、③加齢に伴う職能の減退、④一身上の理由などが考えられるのではなかろうか。

★ まずは、採用の誤り。団塊世代の大量退職にともない昨今の教員採用は比較的広い門になっている。それでも、「デモシカ」時代に比べれば、ある意味「優秀」な人材(優秀さこそが落とし穴とも言えるが)が教員への道を歩んでいると思われる。大分県教委のようなズルは問題外として、採用する側の眼もかなり洗練されていると思う。

★ それでも、適性を完全に見抜けないのは、民間企業でもありうることだ。一定程度の見落とし、見誤りはやむをえない。ただ、指導不足教員の内訳を見る限り、若年層は比較的少ない。これはまだ可塑性があるとみなされたり、指導不足を指摘されてもそれを素直に聞き入れる姿勢がまだあるからであろう。

★ 初任者研修についてはかなり充実してきているのではなかろうか。ただ最初に配属される学校の態勢、周りの人間関係はその後の教員生活に大きな影響を与えているようだ。

★ 加齢に伴う職能の減退は最も大きな問題であろう。教員社会は極めて単線的な職階制が敷かれている。職務内容も同じことの繰り返しでマンネリになりがちだ。さらにキャリアを重ねるごとに、期待される職能が変化、拡大する。年齢を重ねるごとに生徒との年齢差が広がり、相互に意思疎通が難しくなる。年齢に応じた距離感を保つことが極めて大きなテーマとなる。

★ とりわけ、40代、50代のオヤジは生徒からは理解されにくい。中でも、管理職をめざすわけでもなく、授業の達人や生徒理解のエキスパートをめざすわけでもない、いわゆるただなんとなく教員を続けている教員にとって、生徒から投げかけられる心ない暴言や冷たい視線、父母からのクレームなどは、プライドを傷つけられ、教員を辞めたくても今さら辞められないジレンマに日々苦しむことになるようだ。

★ それが、意欲の低下、生徒無視、心を閉ざしてしまうことになってしまうのであろう。

★ 一身上の都合は健康への不安や家庭問題が考えられる。そちらに気がとられて仕事に身が入らないという状況だ。これはどの業界でもありうることだ。

★ 教員の高齢化が進む中、とりわけ加齢にともなう職能の減退は問題だ。単線的な職階制は逃げ道もふさいでいる。

★ 私は教員は40歳にハードル(40歳定年制)を設けるべきだと考えている。教員は40歳までに、学校経営者、スーパーティーチャー、カウンセラーなど今後教員を続ける上で自らの専門性を高める方向を決めればどうかと考えている。40歳を越えれば単純な年功賃金ではなく、職能に応じた給与体系を考えるべきだと考えている。同時に、教員人事をより流動化させる必要があろう。教員の転職を促進したり、私企業勤務経験者や他業種勤務経験者を採用したり、人材を流動化させることによって、学校や教育界を活性化させる必要があると思う。
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カモ教育の行方

2008-10-17 11:46:39 | 教育
★今日の朝日新聞朝刊で「経済危機の行方」という記事を読んだ。岩井克人東大教授が書かれていたが、昨今の金融危機を非常にわかりやすく解説している。資本主義というものがよくわかった。危機の背景がよくわかった。 

★ 中学校では中間テストが終わり、いよいよ高校受験が迫ってくる。この時期、ひとつ思うことがある。「公民」についてである。中学3年生は、高校受験の関係から1月の第4週には学年末テストがある。年内はあと6~7週間、年明けは2週間程しか残されていない。その結果、「公民」の経済分野や国際関係分野が非常に駆け足になってしまっている。

★ 学年末テストの日程が動かせない以上、日本国憲法、基本的人権、平和主義、国会、内閣、裁判所、地方自治といった領域をもう少しテンポよく進める必要があるのではなかろうか。

★ プチバブルを背景にファンドが社会的な注目を浴び、教育現場でも「株取引ゲーム」が流行した時期があった。「麻雀放浪記」のドサ健のセリフ。「これからはカモ教育だ」というのを思い出した。

★ 儲ける人がいれば、損をする人がいる。甘い誘いには毒がある。欲に目がくらんで身を滅ぼさないように、素人投資家は細心の注意が必要だ。
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超絶技法

2008-10-12 23:55:25 | Weblog
★ NHKBS「名曲探偵アマデウス」を見た。今日取り上げられたのは、リストの「ラ・カンパネラ」。曲は聴いたことがあったが、初めてじっくり聴いた。すばらしい名曲だと思った。

★ 高音の鐘の音。それがメロディーと溶け合って絶妙な響きを奏でていた。

★ 私が知っている「ラ・カンパネラ」が第3稿で、この作品が出来上がるまでに第1稿、第2稿があり、第3稿にたどり着くまでに20年を要したと言うエピソードには驚いた。どの稿も超絶技法の技が炸裂しているが、第3稿は絶品だ。何気なく耳にしている音楽もこうやって解説してもらうと深いなぁと思う。

★ 日本では江戸時代末期から幕末の時代にこの作品が作られたそうだが、すごいなぁ。

★ ピアノや作曲では無理だが、私も何か超絶技法を身につけたいものだと思った。
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「生きて死ぬ私」

2008-10-07 03:52:32 | 
生きて死ぬ私 (ちくま文庫)
茂木 健一郎
筑摩書房

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★ おもちゃ箱をひっくり返したような本だった。多くの問題が投げかけられ、そのひとつひとつにそれぞれの宇宙が感じられた。これから、このひとつひとつの宇宙の法則を解明し、相互の関連づけることは大変だぞと思った。

★ 著者の茂木健一郎氏は「クオリア」という概念で。脳と心の関係を解明しようとする脳科学者である。NHKの「仕事の流儀」の司会では独特の雰囲気を醸し出している。

★ 本書は著者が33歳の作だが、随所にダイヤモンドの原石が散りばめられている。最先端の知的空間を旅する人の脳内を見るようだった。難解で、時としてついていけなくて息切れしそうになるけれど、刺激的な本である。読者は自らの到達点に応じて読むことが必要だろう。

★ 私が好きなテーマは「母と仏壇」「ウサギ」である。

★ 「母と仏壇」は著者の私的エピソードで、とても人間味のある話だった。「ウサギ」は、いつまでも心に残るエピソードだった。

★ 後半で「神の沈黙」が話題になっていたが、ウサギにもし神がいるなら、その神も沈黙を保ったことになる。深いテーマだと思う。

★ 「あとがき」で著者は本書の誕生記を披露しているが、意に反した内容の原稿を受け取り、「五木寛之なら・・・」と言ったときの編集者の困惑が目に浮かぶようで面白くもあり、気の毒でもあった。
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国民総幸福

2008-10-06 23:52:21 | Weblog
★ NEW23で「ブータン」が取り上げられたいた。ヒマラヤの小国ブータン、名前は知っていても内情はあまりよくわからない。レポートでは環境を重視している国として取り上げられていた。

★ 今回のレポートで面白かったのは「国民総幸福」という尺度だ。GNPとかGDPというのはよく聞くが、「国民総幸福」という言葉は今まで聞いたことがなかった。

★ 「幸福」という抽象的なものを数値化するのは難しいとは思ったが、言われてみれば、人間と言うのは幸福を求めて生きているのだから、「国民総幸福」は最も大切な指標かもしれない。例えば、物質的な豊かさが十分でなくても、国民が幸福ならその国はきっと「豊か」なのだろう。

★ 誰かの演説で幕末の日本人を紹介し、微笑が絶えない人々だったと言っていた。確かに一面的な捉え方ではあるが、今日の状況よりは幸福だったのかもしれない。幕末までさかのぼらなくとも、昭和45年ぐらいまではなんか幸せだったような気がする。

★ 「あなたは幸せですか」という問いかけも良かった。昔、ドキュメントで「あなたは誰ですか」という質問をひたすら問いかける番組があったけれど、「あなたは幸せですか」という質問も実に興味深い。今の日本でこの質問を問いかえれば、どういう答えが返ってくるのだろうか。

★ 今回の特集、秋葉原事件の犯人の自己中心的な動機を聞いた後だったから、一層心に残った。

★ 日本も早く、GDPよりも「国民総幸福」が重視される国にしていきたいものだ。
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